「働き方」を考えると「生き方」が見えてくる
前回のコラム「小さな暮らしで考える、住む場所と働く場所」では、みなさんからお答えいただいたアンケート結果から、これからの住まい方の輪郭がぼんやりと浮かび上がってきました。ただ、そこから垣間見えるのは、住まい方と働き方を調和させることの難しさです。
都心にオフィスが集中し、郊外に住居が集積することによって、住む場所と働く場所は遠く引き離されています。それによって長時間・長距離通勤が日常化し、地域のコミュニティで生きることはほとんど不可能になっています。
働き方を変えずに職住を近接させるためには、住む場所を都心へ近づけなければなりません。ただ、都心へ近くなるほど、当然、住まいのコストは上昇します。その上昇コストを軽減するための手段が小さな暮らしであり、住まいのダウンサイジングによって家賃や生活費などの数万円のコストダウンができる…。
これは前回の記事で紹介したシミュレーションですが、それはあくまで、働き方を変えない前提でのものでした。確かにそれによって職住近接が実現すれば、長距離通勤から解放され、時間の余裕が生まれます。ただ、それがすなわち豊かな暮らしなのかというと疑問が残る。ベターであるけれども、ベストであるかどうか、みなさんも賛否両論あるかと思います。
本当に豊かな暮らしを求めていくためには、「衣食住」だけでなく「働」(働き方)を含めてトータルに暮らしをチューニングしていく必要がありそうです。
今回は働き方の観点から小さな暮らしについて考えていきます。