庭の物置小屋を森の作業部屋に変身。フランスの「the forest house」

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庭の片隅にある日当たりのよい小屋は、フランスの首都・パリに本拠を置くJCPCDR アーキテクチャがデザインした、作曲のための作業部屋。クライアントは、最近フランスの田舎に家族で引っ越したミュージシャンで、「リラックスしながら仕事ができるような、スタイリッシュな作業部屋を作って欲しい」との依頼を受けた。そこで、昔ながらの庭によくある工具や農具が置いてある物置小屋を、作業場に変身。プロジェクトの名前は「the forest house・ザ・フォレスト・ハウス」つまり、森の家となった。

この小屋の建築素材は100%エコに配慮した素材を使用しているため、環境にも優しい。例えば、木材などは最寄りの製材工場にあった切れ端の中から取ってくるなどしている。近場で調達することで、いわゆるカーボンフットプリント(炭素の足跡)を減らすことにも一役買っている。

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「100%エコという割には鉄のフレームやガラスなども使われているのでは?」と思われた方もいるかもしれないが、これらは、放置されて朽ち果てた工場の建築素材を再利用している。そのためエコであり、建築費用は日本円にして125万円ほどの低予算に抑えることができた。さらに、全てのパーツを現地でカットし、現地で組み立てている。

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壁のように窓ガラスを多く使うことによって、太陽の光を部屋いっぱいに取り込むことができるため、フランス北部の寒い冬でも、日中、陽が照れば暖かに過ごすことができ、室内も明るい。庭の木々や植物などを室内から眺めることが出来る。

小さな電気ストーブと、家具は、作曲用のデスクと休憩用のソファのみでシンプル、まさにミニマリズム的な哲学が宿っている。

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壁の半分はガラス張りになっているが、音楽制作専用の机の前はあえて白い壁になっていて、仕事に集中出来るように設計されている。

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休憩用のゆったりとしたソファの後ろの白い壁には、横長のガラス窓がはめ込まれ、小屋裏の大木の葉っぱが、絵画のように見える。
作曲は物を一から生み出す大変な作業で、ときには、長時間のデスクワークになることも。そんなとき、庭の植物や木々の揺らめき、雲の流れなどを眺めながら、ソファで横になっていると、疲れも吹き飛びそうだ。

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作曲用のデスクの斜め右上の角は、三角形に切り取られた窓ガラスになっていて、空を見上げることができる。長時間、パソコンに向かって作業をしていて、作曲作業にいき詰まったときなど、青空や雲の流れ、星空など、時間とともに移りゆく景色を眺めることが出来たなら、最高の気分転換になることだろう。

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近年、「働き方改革」なるものが声高に叫ばれるようになり、リモートワークなどを取り入れている会社や、友人も増えてきたように思う。
他でもなく、筆者自身が「ノマド」として生きているため、作業時の環境やスペースの大切さというのは身にしみて理解しており、それが働き方に大きな影響を及ぼすように思う。
実際、自分の家で仕事をしたいと思っても、自分の住処の中に作業部屋を作るとなると、仕事内容や個人差にもよるだろうが、日常生活と仕事の時間の区別がつけにくくなることが多い。

今回の小屋のように、自分の家の敷地内に母屋から数歩離れるだけで、狭くても快適な作業空間を作ることができたなら、生活と仕事のメリハリをつけることができるのかもしれない。通勤のストレスもなくなり、作業効率も上がって、新たなアイデアやイマジネーションが湧いてくることだろう。しかし、地価が高く、庭が狭い都市部では夢のような働き方かもしれない。

 

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