ノース・フェイス（The North Face）とBMWグループのDesignworksのコラボによるキャンパーコンセプトが登場しました。プロジェクトは、ノース・フェイスが開発した革新的新素材「FUTURELIGHT」のプロモーションのためのもの。ゴアテックスを凌駕する防水性と通気性を実現した、100％リサイクル素材によるエコロジカルなファブリックに注目が集まっています。

2019年1月のラスベガスのCESで公開された、ドーム型テントのキャンピングトレーラー。デザインは、ノース・フェイスとBMWグループのクリエイティブ・コンサルティング会社 Designworksとのコラボレーションによるものです。来場者はVRの仮想空間の中で、ジョイスティックを操作してキャンパーの内外をツアー体験しました。実際のプロトタイプは2019年後半に公開される予定とのことです。

フラードーム型のテントは、フレームで支えられたFUTURELIGHTのシングルファブリックで構成され、エアレスタイヤの上に搭載されています。2人用のインテリアには、フロアレベルのベッドと上部のソファを兼ねる2段ベッドのみと至ってシンプル。ギャレー（キッチン設備）など余計な装備を排除して、ファブリック素材に注目を集めたかったということでしょう。

開発チームは、2008年にBMWが発表したファブリックボディのコンセプトカー、GINAの構造をリサーチ。2人乗りのロードスターGINAは、ストレッチ素材のスキンと可動式の下部構造を利用して、運転状況に応じて形状を変えることができるコンセプト。空力調整、フロントヘッドライトの外形、エンジンにアクセスするためのフードの開口部などが柔らかく変形します。

ノース・フェイスが開発に2年をかけたFUTURELIGHTは、消防士の制服に求められる規格を超えた防水性能と、ゴアテックス (Gore-Tex) の3倍という水蒸気透過率を実現。世界で最も先進的な通気性防水アウター素材と謳われています。

FUTURELIGHTは、ナノスピニングと呼ばれるプロセスを使って製造されています。ファブリックのメンブレン（薄膜素材）を、薄いシート状のフィルムに押し出して作る代わりに、ポリマーを最大22万個の小さなノズルからスプレーして作成しています。メンブレンは、マイクロファイバーによる多層のメッシュ構造となり、ナノサイズの無数の隙間は、水は通さず、空気と水蒸気を逃がすことができるというわけです。

メンブレンは、プロセスで使用されるノズルの数に応じて、5つの異なる重さに変更でき、ファブリックの通気性のレベルを調整することが可能です。ユーザーのアクティビティの種類や環境に合わせて、重量・伸縮性・通気性・耐久性・テクスチャーの異なるFUTURELIGHT製品を提供することができるというわけです。

伸縮性があり、触り心地が柔らかなFUTURELIGHTの生地には、100％リサイクル素材を使用。耐久撥水（DWR）加工には、ゴアテックスの新ラインナップと同様に、残留特性が高く人体に有害な界面活性剤・PFC（過フッ素化合物）を使用していません。FUTURELIGHTは、80回の洗濯サイクルの後も撥水性の80％を維持するとされています。製品発表までには、様々なアスリートやアルピニストによって、エベレストを含む8千メートル級の環境などで広範囲にわたってテストされました。

FUTURELIGHTを使用したウェアやバッグなどの製品は、2019年秋から発売される予定です。2020年にはライフスタイル部門以外のノース・フェイス製品のゴアテックス素材は、FUTURELIGHTに置き換えられるとのこと。耐久性にも自信が伺えます。

プロモーションでキャンパーのドーム型テントに使われていることから、FUTURELIGHTは難燃性を持たせてテントにも使用できることが期待されます。むっと蒸し暑く結露しやすいテントの居住性がアップし、フライシートの不要なシングルウォールですめば、設営と撤収もラクチン。

FUTURELIGHTのドーム型トレーラーが市販されれば人気が出そうです。分解可能な構造にすれば収納も簡単、軽量なのでけん引免許も不要でしょう。リアをハッチバック式に拡張できて、ギャレーやダイネットが展開できるアイデアとかどうでしょう。

Via:
newatlas.com
bmwgroupdesignworks.com
gizmodo.com
carbodydesign.com