上海で発見。森の中のU型ハウス「U-shape room」

 

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中国随一の経済都市といわれる上海は、人口が2400万人を超え世界一人口の多い都市でもある。人口の4割ほどが外部からの居住者で、国際都市としての側面もある。

「中国4000年の歴史」といわれる中国において、上海の歴史は実はそれほど古くはない。13世紀ごろにようやく街として整備されていき、14-17世紀くらいから貿易の主要な港として発展してきた。
1843年アヘン戦争後にはイギリス、アメリカ、フランス、そして遅れて日本も、上海に置かれた「租界」という居住地に移り住んだ。約100年間もの間外国文化に接してきた上海には、現在でも当時の面影を残す洋風建築が数多く見られる。

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今回Atelier tao+c (アトリエ・タオ+c) という会社がリフォームした「U-shape room (Uシェイプルーム) 」も、そんな歴史を受け継いでいる洋風建築。

「U-shape room (Uシェイプルーム) 」のある地域は、元々フランス居留地で、ブルジョア層の家族が住んでいた。その後、幾つかの世帯の手に渡りシェアフラットとなっていったが、近年になって衛生的な問題や、プライバシーもなかったことなどから次第に住む人が少なくなった。

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そんな面積42.0平方メートルの大きなリビングルームが一つしかなかった物件を、カップル向けに、プライバシーが守れる空間にリノベーションした。

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壁、窓、天井は既存のものをそのまま残し、内装の配置だけを大きく変えて改装。

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庭に面した特徴的なU型のアーチを描いたファサードは、元の家の造りをそのまま残している。アーチ型の窓の形状に合わせた収納兼ベンチも作り付けに。全面ガラス張りとなっているため、天気のいい日は窓際に座り、庭を見ながら読書や日向ぼっこも楽しめる。

一つの広いリビングをプライバシーのある部屋へと改装するために、カエデ材の合板でいくつものユニットをつくり、「しきり」として利用した。

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クローゼット、本棚、階段なども、カエデ材の合板で備え付け家具として作った。扉はつけずカーテンで仕切ったトイレ&シャワー室と、ステップフロアのオープンキッチンは、タイルの色を変えてうまく配置した。プライバシーは守りながら、元の広いリビングにあった開放感は残している。

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カエデ材は家具によく使われている素材で、今回の「家具のユニットを組み合わせて、空間の仕切りを作っていく」という部屋作りに上手く適合している。

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この「家具のユニット」で二階も形成していて、寝室やデスクがあり、一人の時間が過ごせるプライベートルームになっている。元のリビングが天井高だったので圧迫感がない。収納棚としての家具の配置の工夫が、空間を曖昧に区切る役割をしているようだ。

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二階にある作り付けのデスクは開放感があり、ファサードからの外景を楽しみながら作業を進めていくことができる。

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このようにベットを少し飛び出させることで、下からの視線も遮られデザイン的にも面白いアイデアだ。寝相の悪い人には、少し注意が必要かも。

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床の赤いタイルは、上海の公園などでもよく見かけるもので、上海らしい当時の面影を残している。

段差をつくり家具を配置することで、キッチンやシャワールームなども適度に視角を遮ることができ、プライバシーの保たれる空間になった。

室内全体がとても明るいのは、天井まであるU字の大きなファサードからふんだんに光が差し込むのはもちろんだが、元々の家の造りがワンルームということもメリットになっている。さらに、部屋を壁で区切らず、壁や家具も白いカエデ材を使用していることなども、部屋が明るい要因だろう。

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特徴的だけど住みにくいという昔の建物も、デメリットをメリットにする逆転の発想とアイデアで、非常に住みやすそうな、快適で魅力的な家に変えていくことができる。
今日本でも課題になっている、空き家問題。今回の 「U-shape room」のような発想も問題解決の一助になるのでは。

 

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