売り払って続けるバンライフ。“イケメン”フォトグラファーのアドベンチャーな生き方
高規格にカスタマイズしたバンに住んで、飽きたら売り払って、新しいバンコンでバンライフを続ける。20代のアドベンチャーフォトグラファー&フィルムメーカー、トーマス・ウッドソンの生き方です。ラグジュアリーに仕上げられた、3台目のメルセデス・バンコンは現在売出し中。
全米各地を移動して、スキーやロッククライミング、マウンテンバイクに熱中するバンライフを送るトーマス。アメリカ南東部のサウス・カロライナで育った彼は、大学卒業後にコロラド州ボルダーに移住、グラフィックデザイナーとして働きはじめました。ボルダーの山地で、アウトドアスポーツのスキルはプロ級に上達。自身の代理店 Human Designも共同設立し、順調なキャリアを築いていきます。
トーマスは2013年の映画祭で、ジョーイ・シュスラーのショートフィルム『The Bus: A Journey Up North』に出会います。この作品は、植物油の廃油を燃料にしたスクールバスで旅するアドベンチャームービー。トーマスは「アドベンチャーフィルムこそ、本当に自分がやりたいことだ」と確信します。
翌2014年にトーマスは、偶然見つけたクライスラー「ラム・プロマスター 1500」の新車を、所有するホンダ・エレメントを下取りに出して購入。4カ月かけて3Dモデルでフロアプランを慎重に検証し、2カ月でコンバージョン作業を完了させました。こうして、ガールフレンドのブリットと愛犬とのバンライフがスタートします。
バンのキッチンのウィンドウと、換気のために屋根のファン部分がカットされています。断熱には、遮熱材リフレクティックスやリサイクルデニム、硬質ウレタンフォームが使用されています。
バンには、各32リットルの給排水タンク、2バーナープロパンストーブ、ポンピングシンク、2基の150Wソーラーパネル、マウンテンバイク収納用に設計されたクイーンサイズベッドなどを装備。トーマスのバンコンの特徴は、オフグリッドなバンライフの実験場として、すべてソーラー発電システムを搭載していることです。
インテリアの仕上げには、ビートルキルパイン材をさね継ぎし、コルクボード、接着タイル、ビニール厚板のフローリング、防水加工の布張りパネルが使用されました。
夜間のバンは、プロジェクターで屋外シアターに。
プロマスター 1500のバンは、購入してから1年後に新車以上の値段で販売されました。高規格なキャンピングカーの需要は高くても、自分でコンバージョンをおこないたいという人は少ないのが現実。トーマスの1年間毎日“試乗”されたバンコンに、高値を払う人がいても不思議じゃないわけです。
2台目のバンコンは、同じくクライスラーの「ラム・プロマスター 3500」。広いサイドオーニングとウィンドウで、開放感のある空間を実現しました。
470Wのソーラー発電を搭載し、高いヘッドスペースには183×122cmのベッドに変身する6人がけの対面ダイネットがあります。白を基調とした清潔感のあるインテリアに、バーチ材のテーブルとカウンタートップがアクセントになった上品なデザイン。
夜にはムード照明で、室内をロマンチックに彩ることも可能です。
天井部とシート下収納に加え、後部からアクセス可能な奥行き76cmの十分なギア収納を備えています。マイナス30℃の外気温まで対応可能なディーゼルヒーター、40リットルの冷蔵庫も完備。こちらのバンコンもすでに販売済みです。
最後のバンコンになるかも?とトーマスが予告する3台目は、2017年式「メルセデス・ベンツ スプリンター4×4」。
ルーフトップに大型ギアのためのルーフラックと200Wソーラーパネルを備え、3M「シンサレート」中綿素材と硬質ウレタンフォームによる、断熱・防音仕様が施されています。
フローリングには丈夫なコイングリップラバーを使用、2つの回転シート、107×188cmの折りたたみ式ソファーベッドを備えています。
ウォールナットのカウンタートップとテーブル、2バーナーストーブ・シンク、電動ウォーターポンプ、冷凍冷蔵庫、ディーゼルヒーター、雨センサー付きファンという豪華な装備となっています。
ゆったりとしたカウチソファーでは、ごろ寝も可能。
こちらは、110,000ドル(約1200万円)で絶賛売出し中。
「今は年に1回バンを取っ替えて、生活のための仕事は何もしていません。それに飽きてしまって落ち着きたいと思ったら、バンを売り出して家の頭金にすることができるでしょう。 もしくは、バンコンを年に1〜2回行って、住宅ローンのための十分な資金を得た後にどこかに土地を買い、バンに住みながら貸し出してもいいかも」とトーマス。アドベンチャーアスリートは、頭もスマートなようです。
トーマスのバンライフへの挑戦は、彼の内向的な性格の殻を破るのに役立っていると語ります。何人もの見知らぬ人がロードトリップの際に、好奇心満々で質問してきます。新しい土地でのアクティビティのために、こちらから積極的に地元の人とコミュニケーションを取る必要もあります。
トーマスが、バンで暮らすことの一番のお気に入りな点は、悪シーズンがないということ。
「冬の間、驚異的なスキーが楽しめるワイオミングのジャクソンホールに滞在して、ちょっと寒すぎるから数日後にはマウンテンバイクができるボルダーに戻るつもり。春になったら、ロッククライミングのために砂漠に出かけます。僕は自分の環境を完璧に管理しているというわけ。人から見たら、ちょっと馬鹿げているけど」。
トーマスは現在、正確に言うとバンライフではなく、トラックのキャブライフにチェンジしています。バンコンの次はキャブコンに移ったのでしょうか。トラックに架装するコンバージョンではなく、走破性を犠牲にしないオフロード仕様にこだわっている点は、さすが本物といった印象。
2019年1月には日本を訪れて、北海道の十勝岳でスキーと温泉を楽しんだようです。
実際にはトーマスは、バンコンだけで生活費を稼いでいるわけではなく、アウトドアブランドの写真撮影やプロモーション映像制作によって利益を得ています。したたかに、“いまを生きる” 若者のアドベンチャーライフをもっと知りたい方は、こちらのVimeoのビデオリストをどうぞ。きっとあなたも、Freaking Cool(超クール)なトーマス・ウッドソンのファンになってしまいますよ。