木製電話ボックスのプライベート空間。カナダの「Loop Phone Booth」
オープンオフィスに、堅木で造られた家具のようなプライベート個室はいかがでしょう。「Loop Phone Booth」は、メイプルやウォールナットの天然木を使い、カナダの職人が手作りで製作するオフィス用電話ボックス。木の香りがする空間にこもれば、ビデオ会議もリラックス、良いアイデアがひらめくかもしれません。
Loopフォンブースは、オープンオフィスで働く人々のために設計された、プライベートな防音ポッドです。オフィスワーカーに、電話やビデオチャットのための空間や、“自分だけの静かな時間”を過ごせる場所を提供します。会議室を占有したり、デスクから遠く離れた場所で、オンライン通話を行う必要がなくなり、オフィスの生産性を向上させることができます。
同様のプライベートスペースには、以前YADOKARIで取り上げた、全米で急成長中の再生ペットボトルの防音ブース「ROOM」があります。フラットパックのキットで配送される「ROOM」と違い、Loopフォンブースはオーダーを受けてからカスタム生産され、完成品がデリバリーされます。
Loopフォンブースは、『ウェスタン・リビング・マガジン』誌の2016年デザイナーズ・オブ・ザ・イヤーを受賞。デザインと製造は、カナダ西部エドモントンを拠点とするデザイン会社、OneTwoSixデザインが手がけています。
Loopフォンブースの開発は、エドモントンのネット・ゼロ・エネルギー商業ビル「モザイクセンター」の依頼を受けて開始されたものです。センターは、壁の少ない広いオープンスペースで構成され、チームビルディングと共同作業向けに最適化されていました。プライベートな空間の必要性を再認識した運営会社は、OneTwoSixデザインにソリューションの設計を頼みます。
2つのフォンブースのモックアップと1つの完全に機能するプロトタイプが製作され、数カ月間にわたってオフィススペースでテストされました。テストとクライアントからのフィードバックの結果をもとに、防音性能を向上させるための、ゴム製ガスケット付きのマグネット式ドア、室内の防音壁パネル、空気流のための小型ファンとLEDライトを制御する感圧スイッチなどが装備されました。
OneTwoSixデザインは、インダストリアルデザインのクリエイティブスタジオですが、社内に木材や金属、プラスチック加工のための、設備の整った工場スペースを持っています。3Dプリンターや、5軸と3軸のCNC旋盤などを使った、迅速なプロトタイピングによるデザイン開発が持ち味。この工場で職人たちが、Loopフォンブースを1台1台受注生産しています。
フォンブースのサイズは、高さ206 × 幅126 × 奥行き75cmで、重さは250kg。10mmの透明強化ガラスと美しい曲線の木張りの外観は、デザイナーならではの木製家具のような仕上がりです。
ブース内には、ビルトイン・ワークデスク、エルゴノミクスに基づいたチェア、ホワイトボード、LED照明、2ファン換気システム、対人センサー、ACコンセントを標準装備。オプションで、USBとネットワークポートを追加可能です。
エクステリアの木材、インテリアの色やシートの選択、ガラス面のオプションなど、豊富なカスタマイズに対応しています。カスタマイズ可能な選択としては、ガラスをすりガラスに交換でき、外装の天然材はメイプル、チェリー、ウォールナットの3種類が用意されています。
背面パネルの素材も、ガラス、フェルト、コルクの3種類から、シートは布張りとビニール張りから選ぶことができます。カスタマーは、Webサイトのページで好みの素材や色を選んで、インタラクティブに反映される完成イメージを確認した後、見積もりのリクエストを送信する仕組みになっています。
現在Loopフォンブースは、オープンオフィスやコワーキングスペースのほか、輸送ターミナルや公共施設など、北米の様々な場所で使われているということです。
オフィスの手軽な個室で、“インスタントプライバシー”を確保できるLoopフォンブース。カナダの自然が反映された木製電話ボックスは、日本で言えば畳敷きの感覚かも。ほっと落ち着ける小さな空間は、仕事のリズムを手軽に切り替えられるナイスなアイデアだと思います。