屋根の上にあるプラスチックのスモールハウス「Symbiotic House」

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コンクリート造りの建物の屋上に、Aフレーム型の小さな小屋が建っている。ここは、南米・エクアドル。高い高層ビルなどはないものの、スペイン統治時代からの伝統あるスペイン様式の建築と、コンクリート造りの工業的な建築が共存している南米らしい風景だ。

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建築したのは現地のEl Sindicato Arquitectura ( エル・シンディカート・アーキテクトゥーラ ) という建築会社。

「Symbiotic House(シンバイオティック・ハウス)」と名付けられたスモールハウスは、都市部の住居問題を解決すべく建築された。

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スモールハウスの大きさは3.6平方メートルほどで非常に小さい。遠くから見ると、さながらビルの屋上にとまっている小鳥か、岩の上にしがみついている「ヤドカリ」のようでもある。

鉄と材木で作られたプレハブのフレームに、プラスチックの壁を貼り付けた構造で、とても軽量で簡単な作りになっている。そのためコストとしては車を一台買うよりも安く、高騰しがちな都市部の住宅問題をコスト面でも解決しているのだ。

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ビルの屋上で見かける物置のような屋根部屋を想像していたが、室内を覗くと、ナチュラルテイストで、驚くほどおしゃれで快適な住まいになっている。
木のフレームはそのままむき出しにして、木のチップの壁材を床や壁に張っている。断熱材として使っているのはココナッツ繊維材だ。

小さなキッチンにロフトにある寝室、作業部屋に洗面所と、生活に必要な機能が全てコンパクトに揃っている。

出入り口にもなる大きなガラスの扉と、その周りのはめ込みガラスから自然光が差し込み、室内はとても明るい。

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大きなガラスの扉のすぐ脇の小さなテーブルは、置き場所を変えて、ダイニングテーブルやワークデスクに早変わり。スモールハウスではスペースの有効活用は必須となるので、簡単に移動できるテーブルはグッドアイデア。仕事合間に眼下に広がる街を眺めながら、コーヒーで一服、気分転換には最高の時間だ。

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コンパクトなキッチンはIHではなく、ガスコンロ、しかも4つ口。ガスはガス管から引いてきている。これなら本格的な料理もお手の物だ。今までの屋上にある屋根部屋のイメージをはるかに超える、豊かな暮らしぶりがわかる。

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水道や下水はビルのものをそのまま引っ張ってきている。
真っ平らなビルの表面からちょこんと出ている姿は、面白くもあり愛らしいが、やはりそのスタンスは、ビルに寄生して生きているまさに「ヤドカリ」のようだ。

ガスの配管や下水道の配管工事なども不要なので、取り壊しや移転も簡単だ。環境に優しいだけでなく、住居の維持コストもかなり抑えることができるのだ。

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このスモールハウスの最高の贅沢は、街の夜景を眼下に見下ろすことができる事。ビルの屋上に建ててあるので、遠くまで広がる家々にあかりが灯る景色は息をのむほど美しい。

屋上で人目につかない場所といえどもプライバシーは必要だ。そのため側面のガラスは、外からはすりガラスのように見えない仕組みとなっている。

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近代化が進むにつれ、仕事を求めて都市部に人口が集まり、地価高騰や宅地不足の問題が深刻になってくる。

このような現状の中で新しく都市部に移り住んだ住民は、今回のようなスモールハウスも選択肢として捉えることもいいのかもしれない。

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住居スペースの少ない都市部では、ビルの屋上に家を建てるという柔軟な発想を持つことで、多くの人が快適で、幸せな暮らしを手に入れることが可能になるかもしれない。

 

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