屋根の上にあるプラスチックのスモールハウス「Symbiotic House」
![](https://i0.wp.com/images.dwell.com/photos-6063391372700811264/6558058573056315392-large/fogged-glass-grants-residents-a-city-view-while-maintaining-privacy-from-neighboring-onlookers-constructed-from-four-larger-pieces-timber-and-steel-structures-walls-are-packed-with-coconut-fiber-insulation.jpg?resize=1140%2C765&ssl=1)
コンクリート造りの建物の屋上に、Aフレーム型の小さな小屋が建っている。ここは、南米・エクアドル。高い高層ビルなどはないものの、スペイン統治時代からの伝統あるスペイン様式の建築と、コンクリート造りの工業的な建築が共存している南米らしい風景だ。
![](https://i0.wp.com/images.adsttc.com/media/images/5d37/f210/284d/d1aa/9b00/0062/slideshow/6_web.jpg?resize=1140%2C760&ssl=1)
建築したのは現地のEl Sindicato Arquitectura ( エル・シンディカート・アーキテクトゥーラ ) という建築会社。
「Symbiotic House(シンバイオティック・ハウス)」と名付けられたスモールハウスは、都市部の住居問題を解決すべく建築された。
![](https://i2.wp.com/images.adsttc.com/media/images/5d37/f28a/284d/d17b/f100/01c0/slideshow/7_web.jpg?resize=667%2C1000&ssl=1)
スモールハウスの大きさは3.6平方メートルほどで非常に小さい。遠くから見ると、さながらビルの屋上にとまっている小鳥か、岩の上にしがみついている「ヤドカリ」のようでもある。
鉄と材木で作られたプレハブのフレームに、プラスチックの壁を貼り付けた構造で、とても軽量で簡単な作りになっている。そのためコストとしては車を一台買うよりも安く、高騰しがちな都市部の住宅問題をコスト面でも解決しているのだ。
![](https://i2.wp.com/images.dwell.com/photos-6063391372700811264/6558057528175333376-large/a-small-dining-table-is-situated-near-the-front-door-for-city-views-during-breakfast-or-dinner.jpg?resize=1067%2C1600&ssl=1)
ビルの屋上で見かける物置のような屋根部屋を想像していたが、室内を覗くと、ナチュラルテイストで、驚くほどおしゃれで快適な住まいになっている。
木のフレームはそのままむき出しにして、木のチップの壁材を床や壁に張っている。断熱材として使っているのはココナッツ繊維材だ。
小さなキッチンにロフトにある寝室、作業部屋に洗面所と、生活に必要な機能が全てコンパクトに揃っている。
出入り口にもなる大きなガラスの扉と、その周りのはめ込みガラスから自然光が差し込み、室内はとても明るい。
![](https://i0.wp.com/images.dwell.com/photos-6063391372700811264/6558058459628429312-large/theres-a-dedicated-workspace-between-the-kitchen-and-front-door-for-use-as-needed.jpg?resize=1067%2C1600&ssl=1)
大きなガラスの扉のすぐ脇の小さなテーブルは、置き場所を変えて、ダイニングテーブルやワークデスクに早変わり。スモールハウスではスペースの有効活用は必須となるので、簡単に移動できるテーブルはグッドアイデア。仕事合間に眼下に広がる街を眺めながら、コーヒーで一服、気分転換には最高の時間だ。
![](https://i0.wp.com/images.dwell.com/photos-6063391372700811264/6558083904298078208-large/the-kitchenette-has-a-stove-and-an-oven-and-enough-counter-space-for-home-cooking.jpg?resize=1140%2C760&ssl=1)
コンパクトなキッチンはIHではなく、ガスコンロ、しかも4つ口。ガスはガス管から引いてきている。これなら本格的な料理もお手の物だ。今までの屋上にある屋根部屋のイメージをはるかに超える、豊かな暮らしぶりがわかる。
![](https://i0.wp.com/images.dwell.com/photos-6063391372700811264/6558083863440695296-large/the-home-can-be-placed-on-any-flat-surface-where-there-are-connections-to-water-and-sewage-apartment-building-roofs-are-an-ideal-fit-but-finding-complexes-willing-to-host-the-structures-may-be-a-challenge-along-with-addressing-access-to-roofs-for-those-dw.jpg?resize=1140%2C641&ssl=1)
水道や下水はビルのものをそのまま引っ張ってきている。
真っ平らなビルの表面からちょこんと出ている姿は、面白くもあり愛らしいが、やはりそのスタンスは、ビルに寄生して生きているまさに「ヤドカリ」のようだ。
ガスの配管や下水道の配管工事なども不要なので、取り壊しや移転も簡単だ。環境に優しいだけでなく、住居の維持コストもかなり抑えることができるのだ。
![](https://i1.wp.com/images.dwell.com/photos/6063391372700811264/6558046621667573760/large.jpg?resize=1140%2C760&ssl=1)
このスモールハウスの最高の贅沢は、街の夜景を眼下に見下ろすことができる事。ビルの屋上に建ててあるので、遠くまで広がる家々にあかりが灯る景色は息をのむほど美しい。
屋上で人目につかない場所といえどもプライバシーは必要だ。そのため側面のガラスは、外からはすりガラスのように見えない仕組みとなっている。
![](https://i2.wp.com/images.adsttc.com/media/images/5d37/f123/284d/d17b/f100/01bd/slideshow/2_web.jpg?resize=1140%2C641&ssl=1)
近代化が進むにつれ、仕事を求めて都市部に人口が集まり、地価高騰や宅地不足の問題が深刻になってくる。
このような現状の中で新しく都市部に移り住んだ住民は、今回のようなスモールハウスも選択肢として捉えることもいいのかもしれない。
![](https://i2.wp.com/images.adsttc.com/media/images/5d38/6be5/284d/d13c/1700/0020/slideshow/3_web.jpg?resize=1140%2C641&ssl=1)
住居スペースの少ない都市部では、ビルの屋上に家を建てるという柔軟な発想を持つことで、多くの人が快適で、幸せな暮らしを手に入れることが可能になるかもしれない。
via: