カメ?サイ?カタツムリ?彫刻みたいなスモールハウス「Accordion House」
ここは北欧スウェーデン。
スェーデンで第二の大きさを誇るGothenburg(ゴーサンバーグ)から車で約3時間ほどに位置するノルウェーの国境にほど近いÖvre Gla(オーブレグラ湖)のほとりに今回のスモールハウスが「顔」をだす。
写真から見てわかる通り今でいうなら「インスタ映え」しそうな建物と言えるだろう。
Övre Glaの周辺はもともと釣りが盛んで、そこにもともとあった小屋は釣り用のキャビンだった。
その元の小屋から「亀の頭」を付け加え、リビングルームを増設したのが今回のスモールハウス。
尖った角から、さらに煙突がでており、まるで火を吹いて突進する甲殻動物のサイのようでもある。
また、このメディアに賭けているわけではないが、小さな住まいから姿を現したヤドカリのようでもある。
横に取り付けられている窓が目を模しており、いずれにしても動物から何か着想を得たことは間違いない。
このスモールハウスの名前は「Dragspelhuset(ドラッグスペルフセット)」英語では「Accordion House(アコーディオンハウス)」となる。
デンマークのRotterdam(ロッターダム)に本拠を置く建築家Maartje Lammers(マールチェランマーズ)とBoris Zeisser(ボリス・ツァイサー)のカップルが建築した。
なぜAccordion Houseかというと、上で「カメの頭」や「ヤドカリ」と述べたように、この頭の部分は本当にそれらの動物と同じく、ゆっくり伸ばしたり、縮めたりすることができるからだ。
スウェーデンの夏は暑さも厳しくなく、涼しい風が吹き、過ごしやすい。
日が1日沈まない白夜が有名だが、そんな日の光を浴びようと、このスモールハウスもニョキニョキと頭を出す。
頭の別の側面は、光を取り込み、外の自然との密に接するために大きな窓ガラスを設置している。
スウェーデンの冬は寒々しく、過酷。
夏の間の白夜とは対照に一日中真っ暗な極夜も発生する。
そんな時は家により厚さを作り、空間を小さくして、暖房効果を高めるために、頭を元の殻に戻すことができるのだ。
この本当に生き物のような有機的な建築は、この頭の部分にローラーのベアリングを仕込むことで実現している。
延長部分に関してはカンチレバー、つまり片持ち梁となるため、それ自体が頑丈でしっかりとした構造である必要がある。
そのためこの部分は鉄のフレームを使い、その上から木製のタイルを貼り付けた。
この木製のタイルはカナダ産のシダを細かく、四角く切って一つ一つ制作、貼り付けていった。
なめらかな表面を、このように微分的に埋めていくことにより、
それでは中を見てみよう。
小さくても使いやすいオープンキッチンがあり、釣ってきた魚をすぐに調理できる。
なめらかな細長い木のラインを横にして貼り付けており、木ならではの暖かさとスカンジナビアの北欧デザインが見事に融合している印象だ。
伸びる頭の部分の中はリビングエリア。
インテリアも独特で、壁や天井まで、全面にトナカイの皮が貼られている。
ここから単純にシンプルさではない、別の形のスカンジナビアデザインを垣間見ることができる。
この黒がべの部分は元々あった小屋で、寝室として利用している。
上にベットをもう一台吊り下げることで、追加でゲストが来た時もしっかりと対応出来る。
お風呂場は別の場所にあり、天然の水を利用している。
自然と一体化した建築が美しい。
不思議な形をしているが、ここはGlaskogen(グラスコーゲン)自然保護区でもあるので、完全に自由に作ったわけではなく、現地の条例や法律をしっかりと守りながら制作した。
例えばこのキャビンのすぐ脇を流れる川を覆いかぶさるようにしてはならないため、そのギリギリ近くまで顔が伸びている。
また、キャビンの大きさは約30平方メートルほどでこれもこの地区の条例を遵守したものだ。
日本も季節があり、夏と冬では住まい方が違う。
このように可変型のスモールハウスに住むことによって真に快適なyadokariな暮らしができるのかもしれない。
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