山と海との間に立つ家「La Loica&La Tagua」

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ここは南米、あの細長い形で有名なチリ。

そして今回の舞台は首都のサンティアゴから南西に150km、2時間半ほど車で走った海岸像の街、Navidad(ナビダッド)のMatanzas(マタンザス)。

南米は非常に独創的でユニークな建築物が多いが、特にチリはここでも多く紹介してきたように多くのスモールハウスが作られて来ている。

海辺に面した傾斜の強い丘の上にたつ2棟のキャビン。
それぞれのキャビンの名前はLa Loica(ラ・ロシア) とLa Tagua(ラ・タグア)だ。
どちらもその土地固有の鳥の名前から付けられている。

La Loicaは20平方メートルほど、La Taguaは25平方メートルほどの大きさだ。

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建築したのはチリの首都であるサンティアゴを拠点としている「Croxatto and Opazo Architects(クロサット・アンド・オパゾ・アーキテクツ)」という建築会社だ。
ホリデーホーム、つまり休日をゆっくりと過ごすための宿泊施設として作られた

傾斜の上に建設するにあたり、なるべくベース部分の面積を減らしたかったということもあるため、縦長のデザインが採用された。

 

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そのため、建物自体の目線が高くなり、より景色を楽しめる設計となっている。

傾斜からビーチまで遮るものが何もなく、距離も近いため、広大な太平洋の海の景色をそのままありありと享受できる。

また、構造としてCroxatto and Opazo Architects独自の秘伝メソッド圧力飽和を木材にさせいるらしい。

建築材として使われたのはリクレーム(返品)を受けたオークの木。
オークの木はそのままなら潮風にさらされて劣化してしまうが、石油オイルを防腐剤として使用している。
通常ならもう使われることのない素材を再利用しているという点で非常に環境にも優しい。

また、景観に非常にマッチした、違和感のない、有機的なデザインとなった。

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基本的な建物の形としてはキューブを積み重ねたフォルムをとっている。
海の天気というのは非常に変わりやすく、また海辺の潮風はほぼすべての物体を劣化させ、腐らせていく。

間に遮るものがなければ、なおさらそのダメージを大きく受けることになる。
そのため、なるべくその影響を受けにくいようにシンプルなキューブのコンクリートを上部に持ってきて、環境からのダメージを最小限にしている。

内装もリサイクルしたマツ木材を利用し、非常に温かみのある、過ごしやすい空間設計がなされている。
その温かみと過ごしやすさから、実際のスペースよりも少し大きく見える。

マツ自体が断熱材としての役割を果たす上、Osmoというものをその上からコーティングし、太陽やほこりからのダメージをも防ぐようにしている。

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入り口の扉を大きく開けば、外のテラスと中のリビングが一体となり、スペースを開放的に広々と使うことができる。

正面に取り付けられた大きな窓から、80メートル下の海やLobera(ロベラ)といった海から突き出した大きな岩を見下ろすことができる。

その他、ダイニングルーム、洗面所、キッチンが一階部分にある。

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はしごをつたって2階部分に行けばベッドのある寝室にたどり着く。
この2階部分も前、横ともに壁がガラス窓となっており、高い位置から大パノラマを望むことができる。
また、朝は朝日が窓から自然に差し込むため、バイオリズムに沿って自然に目を覚ますことができる。

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雄大な自然をどちらも諦めることなく、山も海も、両取りできる。
そのような土地に建物を建築するのは往々にして困難をともなうが、このようなスモールハウスならそれが楽に、そして非常に豊かな暮らしが実現できるのだ。

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