ブラインドの開閉が街の景色を変える?アートスケープ的アパートメント「HONEYCOMB APARTMENT」

まるでブテッィクが積み重なっているかのようだ。ハニカム構造を意識したリズミックな外観にチューリップ色のブラインドが並んでいる。この建物の前を通る時だけは、なぜかスキップしたくなる。これほど人の生活に美と活力を与えてくれる公共住宅が今まであっただろうか。

スロベニア南西にある都市、イゾラ。ここの2つの住宅街区を対象に行われた若い家族向けの低コストアパートメントのコンペティションで賞を勝ち取ったのが、この「HONEYCOMB APARTMENT」だ。敷地は2800㎡。各棟には30世帯が入居できる。

立地はイゾラ湾とそれを囲む丘との間で、地中海性気候の影響を受ける。そのため日差しはかなり強く、遮光が重要なファクターとなる。各バルコニーには布製のロールスクリーンがついており、それを下せば日陰を作れる。ブラインドは屋内にあるものだという考えは、一種の固定観念にすぎない。また、サイドの仕切りには直径10cmの孔がいくつか空いており、夏の日でも隙間から風が通るようになっている。

室内は広くはないが、構造要素が露出していないので、モノを移動する際や模様替えの時も柔軟に動き回れる。また部屋の中から窓の方を向くと、手前の白壁より外のカラフルな布地の方が映えて見えるので、屋内外の境界がつかみにくく、まるでつながっているように感じられ自然と奥行き感が生まれる。それはもはや屋外のファサードというより室内のインテリアとして溶け込んでいる。

ハニカム構造が織りなす絶妙な立体感。さらに居住者の何気ない行動や生活パターンによりブラインドの開閉が行われ、建物の色調はダイナミズムに変化する。各人が普段通りシンプルに暮らしていても、気づかぬうちに互いが互いを楽しませる、まさにアートスケープ的な公共住宅だ。

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via: east-centricarch.eu, inthralld.com