数千円なら意外と稼げる!?旅先で仕事を作る方法。

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旅先で仕事を作る!?

みなさんお仕事は何をされていますか?数え上げればきりがないのですが、「仕事」というと「雇われてするもの」と考えている方が多い気がします。

会社に雇われて、課長や部長や店長や先輩の指示に従い働いて報酬を得る。個人事業主や経営に関わる人でないかぎり、ほとんどの人はそうして仕事をしているのではないでしょうか。

一方で、自分の趣味や特技を駆使して「仕事を作ってしまう」という事も可能です。今回はひとつの例として、僕が旅先で写真屋をしていた時の事を紹介します。

自転車日本一周時代

それはちょっと昔の事で、2010年前後に自転車で日本一周をしていた時の話です。

その時は北海道から沖縄までふらりふらりと走り回っていたのですが、大都市についたら短期のバイトを探し、ちょっとお金を貯めて次の街に行くという事を繰り返していました。これは「そろそろお金無くなりそうだし、働くか。」という感じで必要に迫られてやる事が多かったように思います。

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旅する写真屋

ここまではよく有る話だと思うのですが(いや、そんなに無いか。)そのうち、旅行中に撮っていた写真を現像して路上に並べて売り始めました。

写真など、旅先で手に入れた物を売っていたから屋号は「tabiya(旅屋)」

開店時間はだいたい夜8時〜11時頃、全国各地の商店街のアーケードで、閉店後のお店のシャッターの前に陣取り店をひらいていました。営業許可もなく、グレーゾーンというかほぼクロなんでしょうが、警官の方からは見つかっても注意ぐらいで済んでいました。

最初は自信が無いから1枚100円で売り始め、そのうち「お代はお気持ちで。」という感じでお客さんに値段を決めてもらう形になり、最後の方になると写真の裏に路上詩人みたく「あなたの目を見て詩を書きます。」みたいな事も始めて(ただ写真を売るだけより多くお代がもらえました。)、最終的には1日3000円ぐらいは稼げるようになっていました。

カンパのような意味合いで買ってくださった方もたくさんいたと思いますし、微々たる額ですが、自分の作った物に値段がつくのは初めてで、すごい嬉しい事だったんです。それに日本一周中は毎晩テント暮らしでしたので、ヘタすれば2日ぐらいはそれで暮らせましたから。

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お金より安心が欲しい。

旅の写真屋をしていて良かったのが、安心感が得られた事。

僕は期間を決めず、お金が無くなったら旅は終わり、という風に放浪的な旅をする事が多いものですから、手持ちのお金が減ってくると気持ちが焦り始めます。

これは世界を旅している時もそうでしたけど、お金が無くなると色んな所でケチくさくなったり、心の余裕がなくなってくるんです。貯金ゼロ、イコール、メシが食えない。という状況になりますから必死です。

欲しいのは、お金で買える「一ヶ月先にメシが食える安心感」でした。だから旅先で仕事があって、収入があるのってすごく嬉しい。

また、副産物的なメリットとして、写真屋に来てくれるお客さんとの出会いで日本全国に友達が増えました。彼らとはいまだにやり取りが続いていて、たまに飲んだりする仲の人もいます。

数千円なら意外と稼げる。

数十万の収入を定期的に得ながら旅をするのはたしかに難しい事ですが、生業(なりわい)レベルの仕事をしながら旅先で収入を得るのって、わりと簡単だったりします。

特技が有ればそれをお金に換える事も可能です。どちらかと言えば、大道芸人に近い感覚でしょうか。とにかく得意な物を人に見せて、“おひねり”をもらう。自分が売れる物を売る。始めるのになるべくお金と手間はかけない。

例えば、美容師さんならハサミとイスと新聞紙があれば路上で床屋さんが出来ます。漢字圏じゃない国で、筆と墨と紙が有れば、お客さんの名前を漢字で書いてあげるだけでも“おひねり”がもらえると思います。

世界の絶景を写真に撮ってwebの写真素材サイトで売っている人にも会いましたし、足袋を日本で仕入れてきて外国の道ばたで「ニンジャブーツ」として売ったらバカ売れしたという話も聞いた事があります。

ココナラ(http://coconala.com/)ようなwebマッチングサイトを利用して、海外でできる依頼をこなす、なんて事や、ドキュメンタリー映画「僕たちのバイシクルロード」(http://www.bicycleroad.jp/)の主人公、自転車で世界一周したイギリスの若者二人のように、旅日記をまとめ、路上で売るなんてことも可能です。

他にも、路上折り紙屋とか、物価の安い国で買った民芸品を物価の高い国で売るとか、色々アイデアはありそうです。

なにも億稼ぐ必要はないんです、数百万円でなくってもいい、旅先でも数百円〜数千円なら意外と簡単に稼げます。

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そして次の仕事へ。

写真を路上で売るという経験は、以前お話しした海外でのライター仕事やスポンサー獲得へと間接的に繋がっていきました。

「企画を立てて、企業や出版社に持っていき、代わりに物品を提供してもらう。」事も「写真を並べて道行く人に買ってもらう。」事も同じ「自分が売れる物を売ってみる。」という考え方に基づいています。

たぶん、路上で写真を売るというトレーニングをしていなければ、企画の持ち込みなんて恐ろしい事はできなかったに違いありません。

自分が売れる物を考えて、実際に売ってみる。これは旅をしながら仕事をしていくための、ひとつのトレーニングになると思います。

いまからでも始められる事なので、ひとつ、練習だと思ってやってみてはいかがでしょうか。

 

◆今回の写真は「働く」をテーマに選んでみました。
1枚目:ドイツ・ベルリンの歩くホットドッグ売り、歩きながら、焼いて、挟んで、売ってます。
2枚目:トルコ・アンカラ旧市街の豆屋のおじさん。
3枚目:ハンガリー・ブダペストの自転車タクシー。
4枚目:インド・アウランガバートの体重計屋さん、ひと乗り1ルピー。