美しい湖上のボートハウス「FLOATING HOUSE, LAKE HURON」
透明な水、ピンクの花崗岩、うねる松の木、美しい海岸。カナダと米国にまたがるヒューロン湖は北米5大湖の一つ。カナダ側オンタリオ州、湖の北東に位置するこの素晴らしい景観にそぐうことは勿論のこと、この入り組んだジョージア湾の入江に建物を建てるのは至難の技だ。
オンタリオ州シンシナティに住むワープル夫妻は、夏場のバカンスをこの地で過ごすようになって数年が経つが、最近、3エーカー(12,000㎡)のU字型をした島(岩場)と築2年のコテージと2階建てのボートハウスを手に入れた。
「少し怖かった。大変そうだ。それでも、誰でも一度で気にいる場所」
そう言う彼ら夫婦にとって、この島を手に入れることは大きな決断だった。
夏は暖かく、空気の澄んだ美しい湖上の岩場だが、風向きは常に変わる。毎日予想がつかない。島にあるボートハウスは、安全面でも問題があり、リフォームを余儀なくなされるものだった。また夫婦の希望は、複数世代が夏のバカンスを楽しめること。
自分たちでプランを考えてみたが、やはり、この立地での建築やリフォームは一筋縄では行かなかった。問題を解決するには、建築家の独創的なアイデアが必要だった。
トロント(オンタリオ州都)をベースとする建築グループMOSのMichael MeredithとHilary Sampleは、ネックレスのように島の周囲を囲む建築群を提案した。そのうちの一棟が、この湖上に浮かぶ家、「FLOATING HOUSE, LAKE HURON」。この不思議な家、この土地に最も適したカタチになっている。
2階建のこの家の上階には二室の寝室、子供たちには二段ベッド、書斎、ギャラリー、そして二つの窓から見える「ドラマチックな景観」を備えている。湖上の外部空間に対しオープンに広がる下階の船着場が、内外をシームレスにつなぐ空間を実現している。シーダー材(ヒマラヤ杉の一種)の外壁は雨ざらしになることで密度が上がり、風や熱を遮ってくれる。
湖上の岩島。やっぱりこの立地での建設は困難を極めた。
そこで建築家は、プレファブ業者とともに、 建材の輸送費ダウン、組み立て場所の確保などを解決するために、この立地での3つの特徴を活かすことにした。
1. 湖を水路として使用する。
2. 部材の組み立てを湖岸で行う。
3. 浮きが組み込まれた鉄骨の土台を最初に組み立て湖まで牽引する。
季節が変わり、地球環境も変わり、水位は常に変わる。だったら、浮き(鋼製)の上に家を建ててしまえば良い。
みんなのワクワクなバカンスを乗せて、いつも「浮き浮き」している家が、こうして出来上がりました。
via: mos-office.net, archdaily.com