フランク・ロイド・ライトの一風変わった教育と、建築学生の粋な試み
米国アリゾナ州、スコッツデール郊外のタリアセン・ウェスト。ここは、あの名高い建築家フランク・ロイド・ライトが冬の間過ごしたスタジオであり、また世界中から集まった建築学生が、ライトの唱えた「有機的建築」について学ぶ場所でもある。
タリアセン・フェローシップに参加した若者は、屋外テントやシェルターを各自で作り、そこで寝起きしなければならない。建築学生の一人、デイビッド・フレイジーは、廃墟跡をうまく再利用してシェルターを建てることにした。小屋の形状は、既存のコンクリートブロックや煙突に合わせて設計。近くの山を無理なく眺められるよう、方角も調整した。
テントとの違いは、テンポラリーではなく耐久性があることくらいで、バスルーム、キッチン、電力もなしという究極のシンプルさを追求している。夜は、棚に置いたキャンドルだけが頼りだ。とりあえず寝られれば十分というわけである。
もはや家というより、ドナルド・ジャッドやリチャード・セラを彷彿とさせる一塊のミニマル彫刻だが、その存在感は抜群だ。
過去の隕石のように見捨てられていた廃墟が、今やガラス窓に太陽を輝かせ、砂漠の真ん中で恍惚と光を放っている。過去の遺産の欠片にまた一つ、新たな価値が生まれようとしている。
Via:http://www.decoist.com/2014-03-18/tiny-cabin-glass-steel/