【動画&レポート】未来の家を考える。これからの暮らし方と美意識(ゲスト:土谷貞雄 × モデレーター:YADOKARIウエスギセイタ)/未来住まい方会議Vol.4

私達がこれから住みたいのは、どんな家だろう?

ハウスメーカーやマンション・ディベロッパーが提供する既存の住宅展示場やモデルルームから家を選ぶことに、違和感を覚える人もすでに多いのではないだろうか。その家で本当に暮らしたいと思えるのか。そもそも、自分はどんな暮らしがしたいのか。家のことを考えていくと、それは自然に「暮らし方」を考えることにつながっていく。

現代は、個人の志向や価値観が細分化されている一方で、テクノロジーの発達によって、地域や文化、世代、国家の壁をも超えて、同じ価値観で個人同士がつながる状況も同時に起きている。世の中が大きく変わる中で、未来の暮らしと、その器である家は、どのようになっていくのだろうか。

土谷貞雄さんは、暮らしに関するアンケートや訪問調査、企業コンサルティングを実施しながら未来の暮らしの在り方を提案し続けている、日本の暮らし研究の第一人者。未来の暮らしの展覧会「HOUSE VISION」(代表:日本デザインセンター所長 原研哉氏)の企画プロデュースを2018年まで8年間行い、現在は中国・深圳にて都市生活研究所を主宰。

「未来住まい方会議」は、「住」の視点で新しい文化を探求し、この分野で活躍するクリエイターやオピニオンリーダーを招いて、未来の暮らし方や家の在り方を一緒に考え、創造していくことを目指すイベントシリーズだ。

第4回目となる今回は、国内外を問わず世界の住まい方や家の在り方を研究し続ける、暮らし研究家 土谷貞雄さんをお招きし、未来の家と暮らしについてトークセッションを行った。

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未来の家を考えることは、未来の可能性を広げること

2018年に北京で開催された「HOUSE VISION 3」には10棟の未来の家が提案された。「展覧会では答えではなくレファレンス(参照)を示している」と土谷さん。開催期間中は毎日、建築家はもちろん哲学者や経済学者、起業家などさまざまなゲストがトークセッションを行い、参加者と一緒に考え話し合う機会が設けられている。© HOUSE VISION. Photo: Nacása & Partners Inc

土谷さんは、2011年に始まった「家」を起点に未来を構想するプロジェクト「HOUSE VISION」を、建築家 原研哉氏と共に企画段階からつくってきた。2013年の東京を皮切りに数年ごとに開催されている展覧会では、さまざまな企業や建築家、クリエイター達がコラボレーションした「未来の家」が原寸大で建築・展示され、世界中から大勢の人々が詰めかける。3回目となった2018年9月には、北京「鳥の巣」前の会場に10棟を展示し、ハイスピードで進化を続ける中国において未来の暮らしを問いかけた。

土谷さん:「よく皆『未来について教えてください』って言うんです。僕も一生懸命答えてるんだけど、待てよ、と。やっぱり未来って分かんないなって、最近すごく思ってきたんですよね。“未来が分からない”ってことが分かる、ということがまず初めにあって、その分からない答えに向かって考え続けることが、いかにクリエイティブで楽しいか。

未来を考えるというのは答えを出すものではなく、未来のオルタナティブな可能性を広げること。今ある現在から予測した未来じゃなくて、皆の言う未来はきっと、『もっと良い未来をつくりたい』って考えているんだろうと思うんだよね。僕もそうです。

例えば今の中国で、環境問題や人口問題など、そのまま行ったら良くない未来になる予測があるけれど、そうじゃない未来の可能性を考えるということ。それが当たるかどうかじゃないんだよね。そこに向かって歩いていきたい未来を考えていくことに魅力があるんじゃないかと思うんです」

無印良品の家を開発したものの

土谷さんが開発に携わった無印良品の最初の住宅「木の家」。発売時は東京の旗艦店に実物が展示され、話題を呼んだ。

土谷さんは 「HOUSE VISION」を立ち上げる以前は、無印良品の家の商品開発を手掛けていた。かねてより土谷さんは、日本の家のデザインを底上げするために、1戸ずつ建てる従来のやり方ではなく、車のようにある程度大量生産できるよう、家を「商品化」をしていくことができないかと考えていた。そんな時、無印良品から住宅開発のメンバーとしてスカウトされ、描いていたものが実現できるかもしれないと気合いを入れて取り組んだ。

でき上がった最初の商品「木の家」は、実物が東京の旗艦店内に設置され、1日に600人が見に来るほど話題となった。しかし実際は、都市部ではこの規格住宅が収まるような広い土地がほとんど無く、なかなか購買につながらなかった。

皆、どんな暮らしをしているんだろう?

次に開発した無印良品の住宅「窓の家」。2008年度グッドデザイン金賞を受賞した。

続いて、もう少し分かりやすいデザインの家を、と開発した三角屋根の「窓の家」も、グッドデザイン金賞候補にノミネートされるほど高い評価を得るものの、発売当初の売れ行きは芳しくなかったそうだ。「木の家」での経験を生かし、多少のカスタマイズを許容できる仕組みにするなど改善を施したが、結果は思ったようにはいかなかった。

土谷さん:「そこで僕はどうやったら売れるかという前に、皆がどういう暮らしをしているのか?ということを調べようと思ったのが2007年なんです。今まではかっこいい家をつくろうと考えていたのがあまり売れなかったので、もう1回原点に帰って、人がどんな暮らしをしているのかを考えようとしたんですね」

そして土谷さんは、無印良品ユーザーへアンケートやインタビューなどを行うことによって、「暮らしの実態」を徹底的に研究することになった。

平均値からずれたキワの所に「暮らし」がある

土谷さんの暮らしの調査の成果は「無印良品と考える未来の形」(みんなで考える住まいのかたち研究会編集・土谷貞雄編集/エクスナレッジ)という書籍にまとまり、販売もされている他、無印良品のウェブサイトでも見ることができる。

調査には、明らかに数字で分かる調査(例えば、世帯あたりの人数や持ち物の数など)と、観察を必要とする調査(例えば、ここに物が散らかっているのはなぜか?など)がある。特に後者は訪問調査によって行うため、実施する人数が限られる。そこで訪問調査によって得られた仮説を、今度はインターネット上で多くの人に聞いていく。このネット調査を無印良品のユーザーに対して毎月約1万人、1年間で約10万人に対して行なった。

そこで土谷さんが気づいたのは、全体の平均値からはみ出した部分に、個性や固有の暮らしが表れているということだった。

土谷さんが無印良品時代に、調査結果をもとにコラムで提案した間取り。家族のベッドを壁際に並べてカーテンで区切るという極端なアイデアに、ユーザーからはたくさんのコメントが寄せられた。

土谷さん:「全て平均値で暮らしている人なんて、いるわけないじゃないですか。でも、マーケティングとかで考えようとすると、平均値で捉えようとするわけです。例えば、収納についてのアンケートで持ち物の数を調べた時に、靴の数の世帯平均27足と出る。それで家の商品開発をする時に、27足の靴を置く場所を考えても発想が広がらないんです。

ここで、家族全員で12足の人とか、1人で200足という人を見つけてインタビューに行く。200足持っている人はマニアですから、もう靴の持ち方じゃなくて、“靴とは何か”みたいな靴の哲学を教えてもらうわけです。そういうのを聞くだけで、靴に対する考え方が変わりますよね。暮らしというのは、そういうロングテールのキワの所にあると気づいたんです」

土谷さんはこうした調査の「キワ」から得た気づきをもとにコラムを書き、時には家の間取り図に落とし込んだ形でユーザーに向けて発信し続けた。その提案に関して、一晩で200人以上のユーザーからフィードバックが送られて来ることもあった。その中には当然、賛否両論があるわけだが、それが良いと土谷さんは言う。

見る・聞く・観察する、そこからすべてが始まる

「HOUSE VISION」においても、「さまざまなメーカー・企業と共に、彼らの持っている技術やサービスを、どんな未来へ向かう物語として作っていくのかを大事にしている」と土谷さん。Via: http://house-vision.jp/exhibition/2013.html

こうした調査とフィードバックを積み重ねるうちに、当初10万人だった無印良品の家のメルマガ会員は、やがて100万人近くに増加した。その中から「無印はこんなに家のことを一生懸命考えているんだ」と、無印良品の家に関心を持つ人や、欲しいという人が現れ始めた。物を売ろうと思っていた所から、一緒に考えるという関係に変わることによって、全く違う地平線が見えてきたと土谷さんは言う。

土谷さん:「分からないことを分かっていくこと、分からないということに気づいていくことが非常にクリエイティブなんです。実は課題は初めからあるわけじゃなくて、そのプロセスの中で感じていったり、発見していったり、ということなんですね。見る・聞く・観察する、そこから全てが始まる。デザインとは、形をデザインすることじゃなくて、どんな課題を発見していくかが全てなんじゃないかと」

Multi Creative Society

イベント内で土谷さんが示した、未来の暮らしのヒントとなる図。「今まで作ってきた非日常に刺激を求める『演劇的な暮らし』から、どうやってこの1杯のお茶にクリエイティブを作るか、みたいな、日常の中にクリエイティブを見つけ出して行く作業が、これからの豊かさなんじゃないかな」

土谷さんと親しかった、くらし研究家の辰巳渚さんはかつて、家事について土谷さんにこう語ったそうだ。家事労働という言葉に代表されるように、20世紀になって家事が「労働」として、しかも「労働を支える労働」として社会の中で低く位置付けられ、合理化の対象になったことが間違いだと。身の周りを整え、きちっと食事を作って、日々のリズムを繰り返していく家事は、息をするのと同じように、誰もがやらないと生きていけないものなんだと。

そんな「日常」をクリエイティブにしていくことこそ、未来の豊かな暮らしではないかと土谷さんは言う。

土谷さん:「未来の暮らしというのは結局、生活の中に『創造性・クリエイティブなこと』があるということではないかと思います。今世紀の最大の課題は、全ての人がクリエイティブであれ、ということなんですよ。合理性や利便性で標準化されていく世界から、そこで切り落とされた人間一人一人の多様性や個性、マイノリティというものを、どうやって取り戻していくのかということが必要で、それこそがクリエイティブなんです」

【第2部】トークセッション

イベントの第2部は、YADOKARIのウエスギも加わり、9つのテーマの下、会場の参加者と共に語り合った。そのハイライトをご紹介する。

暮らしの美意識

シェアハウスに住む若者も多いが、それは「合理的」な選択ではなく、「美意識のある暮らし」だと土谷さんは言う。

参加者:「今、クリエイター達と一緒にシェアハウスに住んでおり、今日のお話にあった、暮らしの中で日常に非日常を見出す、クリエイティビティを見出すという点が最近考えていたことと合致しています。24時間の中で、今までは仕事と生活を切り離して考えていましたが、仕事をしている時間も、犬の散歩をしている時間も、銭湯に行っている時間も、24時間全てが自分にとって豊かであれば、人生幸せなんじゃないか、みたいな感覚があります。土谷さんの『暮らしの美意識』をお伺いできたらなと」

土谷さん:「合理性というのはどこかを切り捨てることなんだよね。でも、シェアもそうだけど、面倒なこといっぱいありますよ。私の話だけど、北京のシェアハウスに住んでいる時に、賄いのおばさんがすごいお節介な人で、隣で料理していると、僕のオムレツに玉ねぎとかシイタケとか入れてくるんです(笑)。朝はプレーンオムレツなんだって決めているのに入れてきちゃう。でもその人との関係は、ちょっと嬉しいですよね。やっぱり『ありがとう』っていう気持ちになる。人と付き合うってことは、そもそも面倒なことなんです。他にも、全く1人で暮らしていたら今日は掃除しなくていいやとなるけど、人と一緒だと、やはり元あった場所に戻そうとか、コミュニティの中のルールに従っていきますよね。

『そうやって、意識的に何かをやっていく』ってことが美意識だし、美意識は哲学だと思うんだよね。『こういうふうに生きていく』と決めたルールを守っていくことが、自分の生き方を決めていく。ただ合理的に便利やスピードだけを求めていたら、やらないことたくさんあるじゃないですか。そうじゃなくて、朝起きたらとにかく掃除をするってことなんです。辰巳渚さんの『息をするように家事をする』というのは、そういうことを教えてくれたような気がして。それが『美意識』ということ。

美意識というのは、美しいものを見るということじゃなくて、『生き方のリズムを律していく』ということだと思います。つまり、欲望のままに生きないで、ある摂理というか、自然のリズムに自分を合わせていくことじゃないかと思うんですよね」

次世代都市「深圳」

中国のシリコンバレーとも言われる深圳は、世界でも先進的な次世代都市。土谷さんはこの都市で週に5日間過ごし、日本と行き来しながら暮らしの研究を行なっている。

ウエスギ:「深圳は今、中国のシリコンバレーと言われつつあって、先進的なシェアの概念も入りつつ、環境都市であり、テクノロジーも進んでいる状況の中で、土谷さんは住まいに対して研究を始めたじゃないですか。中国の若者達はどうかなっていう所をお話ししてほしいと思っているんですが」

土谷さん:「難しい話題ですね。日本は一つのグループというか、結構分かりやすい国なんですよ、島国だし。僕が中国に行ったのが28年前だけど、まだ高層ビルがなかった。それが今は街中、50階、60階の高層ビルがバンバン建っている状況で、僕がディベロッパーのアドバイザーをやってプロトタイピングすると、1個のプロトタイプで2万~3万戸つくる。ちょっとスケールが違うよね。

その中で多くの若者が、アメリカやヨーロッパ、日本で勉強して帰ってきている。成熟社会、つまり成長経済から衰退に向かっていく経済を経験している国で勉強した若者達は、まだ成長を続けている中国の中にいながらも、すでに他の国で成熟社会の予兆を知っていて、どこか違うんじゃないかと思っている。

中国の場合、他の国が歩んできたような、徐々に成長して成熟していくということじゃなくて、一つの社会の中に、まだ成長を夢見ている人達もたくさんいるし、すでに未来の他の国の現実を知って、同じようにその哲学を持っている人達もいるわけです。なので、田舎暮らしやミニマムな暮らし、みたいなことを始めている人達もいる」

「北京と深圳は、同じ時間軸で全く違う発展の仕方をしている所に日本との違いを感じたし、次世代都市を見ることで、自分達のこれからの豊かな暮らしの在り方を改めて考えさせられた」とウエスギ。

ウエスギ:「北京の講演の時に『小さな暮らしどうですか?』って写真見せたら、『僕は3億円のマンションの方が良い』みたいなことを言われたりとか(笑)でも深圳での講演の時は全然そんなことなくて、若者が『分かるよ、良いよ』って答えを返してくれて。それがなかなかすごいなと」(2018年11月の北京のハウスビジョン講演、および2019年3月の深圳家具展での講演。小さな暮らしについて)

土谷さん:「そういうことも起きてるんだよね。政治の街 北京、金融の街 上海、ビジネスの街 深圳、と言われていますけど、もう少し深く入って行くと、さっき話したように、それぞれの街に多数のレイヤーが存在しているんですね。中国のこの20年ぐらいの変化はハイスピードで、しかもその変化に他の国の流行も混じっているから、可能性としては、小屋を建てに行こうよ(笑)。そのムーブメントもあるってことかな。中国が、今の大多数の発展思考の価値観で未来をそのまま行けるとも思わないし、皆も思ってないんだよね。ただ、どういうふうにつくっていくのかという答えはなかなか見つからない。その意味では例えば小屋を持って行ってさ、皆でつくってみるというのはいいね」

未来の家

「社会問題には、僕らのレベルで解けることと、『制度』という問題がある。起きてきた小さな問題を社会全体の仕組みとして整えていく必要があるし、政治についても遠いものじゃなくて、僕らとして、もう少し関わっていった方がいいかもしれないね」と土谷さん。

参加者:「行政の立場として固定資産税の課税に関わる仕事をしています。固定資産税の課税で実際に土地を見て行くと、昔の大きかった家がどんどん分割されて小さい宅地になって分譲されているケースが数多くあります。政治・行政と関わっていくお立場として未来の家を考える中で、小さくなっていく土地、小さくなっていく家について、何かお考えがあればお伺いしたいです」

土谷さん:「固定資産税という税金システム・制度の問題と未来の暮らしをどう考えるか。制度がうまく適応していないので、変えなきゃいけないんだけど、1人の人が所有している土地に税金をかけるという今までの考え方が、もしかすると未来には合わなくなるかもしれないね。例えば財産的な価値を持っている家や土地だったらいいんだけど、日本中には、地方でバリューが全くない土地や、もらってくれる人もいない土地が多数発生している。それは税金をどうするかではなくて、そういう土地をどう使っていくかという話なんですよね。本当の問題は、今バリューがない所にどうバリューをつくっていくかということなので、もしかすると税金の話と、経済システムや金融システムと一体になって変わっていく可能性があるかもしれないですね。

その時に、土地の所有がどういうものなのかとか、1人が1個の土地を所有するのかということすら変わるのかもしれない。複数人、または大勢で1個の土地または複数の土地を所有するとか。既存のルールを変えるというよりは、それを飛び越えて新しい仕組みが生まれてくるかもしれないですね」

未来の家への関心は、これからの日々を美意識を持って過ごしたい、という皆の願望から生まれてきているようだ。

最後は会場の参加者同士で、「あなたが暮らしたいのはどんな家ですか?」というテーマの下にディスカッションを行なった。会場からは、「どんな家というよりも、誰と暮らしたいか、どういうふうに幸せになりたいかということにビジョンを持っている」「シンプルだけど日々の暮らしが美意識につながる、やはりハード面よりもソフト面が重要」「結婚や子育てなどのライフステージに合わせて変わる家」などの声が聞かれた。

こうした会場の声に対して土谷さんは、まさにその通りだが、一方で社会が大きく変わっている中で、その「誰と」を疑ってみることや、「変化する家」も一つの家で変化を許容するのではなく、社会が家の流動性を担保できるような仕組みをつくることも大切とコメントした。

「未来の家はどうなりますか?」と答えを求めるのではなく、どんな暮らしをしていくことがこれからの美意識に合致するのか、その時、家の形はどうなるのかを考え続けることが、今の延長ではない、より良い未来を引き寄せる。Via: http://house-vision.jp/exhibition/2013.html

考え続けることでオルタナティブな未来はやって来る、と土谷さんは私達に語った。今ある未来ではなく、自分達でつくっていく未来には初めから答えはない。自分達で発見し、そこに向かって考え続け、歩き続けていくことで実現していく。

未来は予測するものではなく、自分達でつくっていくものだ、ということが、土谷さんからの、終始変わらぬこの日の強いメッセージだった。

(執筆:角舞子)

◎今回のゲストスピーカー

土谷貞雄

暮らし研究家/都市生活研究所 代表(中国・深圳)/貞雄 代表(日本・東京)
「HOUSE VISION」企画プロデューサー

プロフィール
1960年東京生まれ。1989年日本大学理工学部修士課程修了後、イタリア政府給費留学生としてローマ大学留学。1994年帰国後、ゼネコンにて施工、設計、営業などの業務を経験し、住宅部門の商品開発などに注力。2001年M&Aコンサルタント企業に転職し、住宅系の営業支援業務に従事。2004年良品計画のグループ会社ムジネット入社、2007年よりムジネット取締役に就任。この間、無印良品の家の事業を責任者として推進した。2008年コンサルタントとして独立し、株式会社貞雄を設立。日本中国企業の商品開発からプロモーションまで一貫した住宅商品開発支援を行なっている。

ライフワークとして住まいに関する研究を行っている。その一環として未来の暮らしの展覧会「HOUSE VISION」(代表・日本デザインセンター原研哉氏)の企画プロデュースを2018年まで8年間行う。並行して日本を始め、アジア各地で研究会や、暮らしに関する調査、展覧会などを定期的に行っている。現在は、中国・深圳にて都市生活研究所を主催、中国の暮らしの未来探索に多くの時間を注いでいる。

◎パネリスト

ウエスギセイタ

YADOKARI株式会社・共同代表取締役/暮らし研究家

プロフィール
暮らし(住まい方・働き方)の原点を問い直し、これからを考えるソーシャルデザインカンパニー「YADOKARI」。暮らしに関わる企画プロデュース、タイニーハウス企画開発、遊休不動産と可動産の活用・施設運営、まちづくり支援イベント、オウンドメディア支援プロモーションなどを主に手がける。

また、世界中の小さな家やミニマルライフ事例を紹介する「YADOKARI(旧:未来住まい方会議)」、小さな暮らしを知る・体験する・実践するための「TINYHOUSE ORCHESTRA」、全国の遊休不動産・空き家のリユース情報を扱う「休日不動産」などを企画運営。250万円の移動式タイニーハウス「INSPIRATION」や小屋型スモールハウス「THE SKELETON HUT」を企画販売。

自社施設として可動産を活用した日本初の高架下複合施設「Tinys Yokohama Hinodecho(グッドデザイン賞、ソトノバアワード 場のデザイン賞)」、可動産イベントキッチンスペース「BETTARA STAND 日本橋(暫定終了)」を企画・運営。黒川紀章設計「中銀カプセルタワー」などの名建築の保全再生にも携わる。

著書に「ニッポンの新しい小屋暮らし」「アイム・ミニマリスト」「未来住まい方会議」「月極本」などがある。

YADOKARI:https://yadokari.net/