YADOKARI

【イベントレポート】この広場で過ごした思い出を絵に込めて 鶴川ラクガキオンガク祭5

2025年02月07日

団地で暮らす「コミュニティビルダー」が団地住民や地域の方々と一緒に、鶴川団地の新たな魅力を創造・発信していく未来団地会議「鶴川団地プロジェクト」。2021年から鶴川団地のコミュニティビルダーとして活動されてきた石橋さんと鈴木さん、もうすぐ5年の月日が経とうとしています。

これまで2人は、地域の方々と一緒に様々なイベントを行ってきました。特にセンター商店街の広場を舞台に行われる、音楽とアートがテーマの「鶴川ラクガキオンガク祭」は多くの人が集まる人気企画です。

今回は約一年ぶりの開催!鶴川に所縁のあるアーティストの音楽ライブや読み聞かせ、アートのワークショップなど。子どもも大人も一緒になって楽しめる、ラクガキオンガク祭の魅力をお伝えしていきます!

ラクガキエリアは二つ!定番の紙芝居でパフォーマンスもスタート

ラクガキオンガク祭は、その名の通り一日中絵を描いて、音楽を楽しめるイベント。なんとこの日だけは特別に、広場の地面にラクガキし放題!数日経てば自然と消えるチョークを使って、なんでも自由に描いてOKです。

毎回ユニークな発想に出会えるので、徐々に増えていくラクガキを見るのも、このイベントの楽しみの一つ。

もちろん大人だって参加OK!ケンケンパの円を描いている方も。誰か遊んでくれるかな?

そしてこの日、もう一つのラクガキコーナーとして準備されたのが、商店街のシャッターです。団地の建て替え工事に向け、商店街のお店が一部閉まっているため、工事着工までの期間に風景が寂しくならないようにシャッターアートが施されています。

センター商店街の風景が変わっていっても、ここで暮らした記憶はそれぞれの胸の中に残っていきます。みんなで過ごした楽しい時間、ここに生きていた人々の証を形にできたら。そんな思いを込めて、シャッターに自分たちの顔を描くワークショップが企画されました。

ワークショップの講師を担当するのは、この素敵な企画を考えてくださった作家の犬山さきさんです。

シャッターのラクガキスペースは大人気で、どんどん個性豊かな顔が描かれていきます。どのような仕上がりになるのか、こちらも出来上がりが楽しみです!

また、今回は冬場の開催ということもあり、焚火で暖をとれるスペースも用意されました。受付で配布されるマシュマロを焼くこともできます。団地の広場で焚火なんて、普段はできない特別な体験にワクワクします。

さて、広場の中心ではみんなお待ちかね、コミュニティビルダー二人による紙芝居の読み聞かせが始まりました。

クリスマスにまつわるお話に、子どもたちも集まりじっくり耳を傾けます。最後は一緒にお絵描きができる、絵描き歌の本を読んでくれました。

鈴木さんと石橋さんの楽しい語り口に合わせて、子どもたちも一生懸命に絵を描きます。「描けたー!」と誇らしげに報告してくれる子、黙々とお絵かきを楽しむ子、それぞれ全力で参加する姿が印象的でした。

紙芝居の後は、音楽ライブもスタート!一組目のライブにはハ〜モニ〜ズが登場。第一回目のラクガキオンガク祭から出演してくれている、鶴川発のバンドです。

音が鳴り出すと広場の空気もさらに明るく彩られていきます。大人も子どももノリノリです!

演奏後のハ〜モニ〜ズ、ひろしさんにお話を聞きました。

「ラクガキオンガク祭ならではの、大人も子どもも一緒に楽しんでいる様子が見られてよかったです。この場所の温かさを感じるほどに、より一層なくなってほしくないと思いました。今まで積み重ねてきたものが失われず、またここに戻って来られるように、今日みたいなイベントが続いていくといいですよね。」

続いて登場してくれたのは、trineeed(トライニード)の3人です。みんなの知っている名曲から、ミュゼットやアイリッシュなど、異国を感じる音楽で旅をしているようなひとときを味わえました。

演奏後のtrineeed(トライニード)のみなさんにお話を伺いました。

「ここには初めて来ましたが、お店がたくさんあって賑やかな商店街ですね。先ほど食べた佐藤商店(精肉店)のコロッケ、最高でした!パン屋さんとお肉屋さんをはしごしサンドウィッチが作れるなど、イベントの時にお店が協力し合える関係性も素敵です。」

ラクガキオンガク祭の定番グルメを食べつつ後半へ!


時間はすっかりお昼時。今回もラクガキオンガク祭でしか味わえない鶴川団地オリジナルサンドウィッチ、「団地ウィッチ」が食べられるということで、パフォーマンスの合間に作っていきたいと思います。

まずは受付で包み紙をゲットして、ベーカリー フジヤへ向かいます。甘いパンやお惣菜パン、種類豊富な手作りパンを楽しめるお店です。ここでは専用のコッペパンとお好みでサラダを調達します。(とっても美味しそうだったので、他のパンもゲット!)

続いてお隣の佐藤商店へ移動して、中に挟むおかずを選びます。どれも美味しそうでかなり迷いましたが、「この辺りで一番オイシイ!!」というポップの文字に惹かれてメンチカツに決めました。

最後にフジヤのコッペパンとサラダ、佐藤商店のメンチカツを合わせれば…

ボリューム満点なメンチカツサンドの完成です!美味しくてあっという間に完食してしまいました。

ラクガキオンガク祭の定番といえば、センター商店街の音楽教室、「和音の木」のみなさんによる駄菓子屋さんもやってきました。終始子どもたちに大人気のブースです。

向かい側には、鶴川中央公園にある冒険あそび場「つるぼう」のみなさんのブースが。毎回立候補でお手伝いに来てくれる子どもたち、今回はヨーヨー釣りとポップコーンの販売をしてくれました。

普段の活動にはどうやって参加できるのか、つるぼうのみなさんからメッセージをいただきました。

「普段は月曜日と木曜日以外の10時〜16時半の間、鶴川中央公園で活動しています。いつでもふらっと遊びに来てくださいね。年齢制限は特にないので、大人の方もOKです。」

興味のある方はぜひ鶴川中央公園を覗いてみてください。

一緒に楽器を鳴らすワークショップも

パフォーマンスも後半に差し掛かり、今度は商店街の音楽教室「和音の木」によるパーカッションのワークショップが始まりました。

普段講師をされている真野さんが、サンタ帽を被って登場!シートに並んだ色々な見た目の打楽器を、自由に手にとって音を出してみます。初めて見る楽器に子どもたちは興味津々です。

お気に入りの楽器を見つけたら、みんなで合奏タイム!クリスマスソングに合わせて、思い思いに音を出す姿はみんなとっても楽しそうです。

お手本を真似するのではなくて、自分で楽しんで好きな音を見つける体験は、大人にとっても心が解放される時間でした。これが音楽を始めるきっかけになる子もいるかもしれません。

ワークショップをしてくださった真野さんにお話を伺いました。

「和音の木には2歳から70代の方まで幅広く通っていただいています。最近ではお子様と一緒に楽器を始める親御さんもいらっしゃるので、本当にどなたでも気軽に来ていただきたいです。もうすぐ学生たちのバンドも新たに誕生しそうなので、次回はその子たちのライブも発表できたらいいですね。」

最後に登場してくれたのは、町田出港バンドのみなさん!町田を拠点に地元民がメンバーとして集い、日本各地の民謡やオリジナル曲でみんなを踊らせるお祭り獅子舞バンドです。

チンドン太鼓のリズムに合わせて、獅子とバンドメンバーのみなさんが広場を練り歩きながら登場。にぎやかな音色にみんなの顔もほころび、自然と身体が動き出します。

『町田出港節』など町田愛が詰まった曲をはじめ、人間味溢れるエネルギッシュなライブに会場の一体感も最高潮に。子どもも大人も一緒になって踊ります。

演奏後の町田出港バンドにお話を伺いました。

「いつの間にかみんながこの広場に集まって、楽しく過ごしているという光景が変わらずにいいなと思いました。毎回感じることですが、こういう瞬間に関われることが嬉しいですし、少しでも力になれたらと思って演奏させていただきました。」

イベントの最後に、シャッターのラクガキコーナーを見に行くと、とってもかわいく仕上がっていました。この日、鶴川団地のセンター商店街広場に集まった人々で作り上げた、この場所でしか見ることのできない作品です。

ワークショップを開催していただいた犬山さんにお話を伺いました。

「初めてのワークショップで不安な点もありましたが、子どもたちが想像以上にノリノリで参加してくれて嬉しかったです。子どもたちの自由で迷いなく絵を楽しむ様子に圧倒されるほどでした。」

団地で過ごした思い出の1ページを作っていけたら

団地の広場の温かな空気の中、今回も笑顔の溢れる一日となりました。最後にコミュニティビルダーの2人にコメントをいただきました。

鈴木「もうすぐ5年目に突入するのですが、これまで出会ってきた方々との関係性を丁寧に深めていけたらと思います。ずっと続けてきた紙芝居も、今後挑戦したいアイデアをよく話すようになりました。例えば、オリジナルでお話とイラストも作ってみたいとか。自分達も楽しんで取り組めているのがありがたいですね。」

石橋「ただイベントを開催するのではなくて、子どもたちにとっての鶴川団地が、いつかふと立ち帰れる場所として思い出に残ればという気持ちで取り組んでいます。長年住まわれている方々が、団地の昔話を活き活きと語ってくださるように、”団地で楽しい思い出があった”と記憶してもらえたら嬉しいです。
ラクガキオンガク祭は、団地暮らしの日常に溶け込んでいるような、ゆっくりと時間が流れるところもいいですよね。」

・・・

時代と共に団地の景色、暮らし方も変わっていきますが、楽しく過ごした思い出は人々の心の中に残っていくはず。人が集まることで受け取り合った温かな気持ちやエネルギーが、きっと未来の自分の背中を押してくれる、そんな風に思えた団地の午後でした。

関連記事

「世界を変える、暮らしを創る」
ヒントが届く!

YADOKARIメールマガジン

メルマガ登録はこちら

© 2024- YADOKARI