呼べばやって来る!SFチックな自動運転の無人コンビニ「Moby Mart」

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中国・スウェーデン連合恐るべし。上海でテスト営業を行っている無人ストア「Moby Mart」は、Amazon GOの自走版とも言える、アプリで呼べるコンビニエンスストアだ。ソーラーパワーで動くオフグリッドな電気自動車で、完全自動運転機能を実装する予定だという。

 

Moby Martは、スウェーデン企業 Wheelys傘下のHimalafyと、中国の合肥工業大学の共同プロジェクト。Wheelysは自転車によるモバイル・カフェチェーンのスタートアップで、スターバックスの0.1%のコストで開業可能とうたっていて、ロイヤリティなしのフランチャイズにより世界70ヶ国以上に拡大中の躍進企業だ。自転車モバイルカフェと無人ストア?ちょっと意外な組み合わせ。

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Wheelysによって設立されたHimalafyは、無人ストア・テクノロジーに特化したR&D企業。スウェーデンのVikenという街にオープンした、世界初の無人ストア「Näraffär」の設立者 Robert Ilijasonが加わっている。小売業界の変革を狙い、“打倒!スターバックス”と鼻息も荒いWheelysが、無人ストアのテクノロジーに目をつけたのだろう。

Robertが24時間営業の無人ストアのアイデアを思いついたのは、ある日夜中に赤ん坊のミルクが切れてしまった経験からという。人口4000人ちょっとのVikenの街には、夜遅くまで開いている食料品店はなく、ミルクを得るために都会まで車を飛ばさなければならなかった。

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Moby Martは、店内にミルクや薬などの生活必需品を取り揃え、フロントにはファーストフード等の自動販売機が設置されている。スマートフォンのアプリを使って、近くのMoby Martを探して呼び出し、認証されたらドアが開き入店できる。

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店内にはAIを使ったバーチャルな店員「Hol」が、ホログラフィーで浮かび上がる。在庫のない商品のオーダーを受けたり、顧客の嗜好を学習してレシピやアイテムの提案をするという。

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キャッシャーはなく、お客自らが商品のバーコードをアプリでスキャンし購入する。代金はあらかじめ紐付けられた顧客の銀行口座から引き落とされる。特別な商品をオンラインで事前に注文してピックアップすることもできるので、配送サービスの手段としても使えるだろう。Amazonで注文した商品をコンビニで受け取るように。

万引き防止のために店内には監視カメラが複数設置されており、万引き行為を感知するとスマホにテキストメッセージが送信される。AIによるリアルタイムな映像分析の仕組みだろうか?いっそ「Hol」が浮かび上がって、「ジョンさん。スキャンお忘れですよ!」と警告したほうが、ゾクッとして効果抜群な気もするが。

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Moby Martの背面には400インチの巨大ディスプレイが設置されていて、デジタルサイネージによる広告やムービーなどが流される。マネタイズに広告モデルも組み入れているというわけだ。

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商品の在庫が少なくなると、自動的に物流拠点へ向かい補充する。Moby Mart同士で合流して補充し合うことも可能。コンセプトイメージではドローンを使った宅配もプランに入っている。Moby Martは10万ドル以下で中国で製造・販売するという。

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Moby Martの実現可能性は別として、実証実験が中国で行われていることには注目しておきたい。車体には外気の空気清浄機も設置されており、自走しながら中国の悩みのタネの大気汚染も解決しますよ、というアピールだ。Wheelysにとっては、中国市場でブランドを認知させておけば、さまざまな事業展開にとても有利だろう。

Wheelysはフェアトレードの有機コーヒー豆を扱い、自転車によるエコなグリーン・カフェをアピールしてきた企業だ。ゼロエミッションの電動自動車による無人ショップと、空気清浄による大気汚染対策は、ポリシー的には一貫している。

中国はライドシェアを始めとするシェアリングエコノミーの先端を走り、独立系のメーカーにはモノづくりのエネルギーがあふれている。消費者もモバイル決済などの新しいテクノロジーをすんなりと受け入れ、次代のコアテクノロジーとなるAIに関しては国家戦略として推進、いずれはアメリカを追い抜く勢いだ。WheelysがMoby Martをテストするには絶好の場所だったというわけだろう。

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Moby Martの自動運転の無人コンビニは、日本において交通弱者や買物弱者を救うソリューションになりうるだろうか。セブン-イレブンなどの小売大手が、出店していないエリアをカバーするためにネットワークをつくれば、コスト的にも割りに合うかもしれない。国内の貴重な小売データを中国が手に入れられるという問題は残るが。

いずれにしても、世界の小売業のベンチャーやスタートアップが手を組む相手として、日本が入ってないことが残念だ。変化を受け入れ、新しもの好きな国民性を持つ巨大マーケットと、変化を嫌い、膠着した考え方から抜け出せない国。世界から見て新しいビジネスを展開するなら、どちらを選ぶかは明白な気がする。少なくとも今のままでは。

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