ツリーハウス / 未来をつくる「人」

ツリーハウスつくろう(7) ~小林 崇さんに学ぶ、ツリーハウスはじめの一歩~| 未来をつくる「人」

きむらかずたかプロフィールアイコン | 2015.1.20
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今回は、僕が出会い影響を受けた『人』ツリーハウスクリエーター 小林 崇さんと、その世界について体験レポートを綴っています。
ツリーハウスビルダー養成講座は、いよいよ樹上の第2デッキ制作に入ります。

樹上にデッキをイメージする

地上デッキ(第1デッキ)制作を終えたツリーハウスビルダー見習い達は、いよいよ樹上へと作業現場を移していく。
地面に基礎を置いて制作する地上デッキ(第1デッキ)と違い、樹上の幹周りに制作する第2デッキは、何度説明を聞いても僕には想像が出来ずにいた。

コバさんは、じっくりとホストツリーと向かい合い、僕らビルダー見習い達にイメージを伝え始めた。
第2デッキはTAB(ツリーアタッチメントボルト)と第1デッキからの柱で、デッキの土台となるビーム(強度のある最も太い角材)を支えることとなった。
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まずは、第1デッキを作った時同様に、垂木でアタリを付けていく。ここからは、樹上のツリークライミング班と、地上班に別れ作業が進行していく。
ここで、第2デッキの様子が僕にも少しずつ見えてきた。まるで柱が頬杖をつくような格好になる訳だ。思っていたよりも高い位置にデッキが組まれる。ツリーハウスが乗るトップデッキは、ここから更に上となる。どんな姿になるのか、今から楽しみだ。
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樹上デッキを組み上げる

前回のレポートでも触れた通り、今回の講座でツリーハウスを制作している現場は山道途中の広場。クレーンなどの重機は持ち込めない。当然だが、人力で材を樹上へ上げる。

材上げには人力による倍力システムを活用する。
“倍力システム”は、“滑車の原理”を応用した、レスキュー等の現場で用いられるロープワークだ。滑車の数が増えれば小さな力で大きな重量を持ち上げることが可能だ。しかし滑車が増えれば長いロープや多くのギアを必要としたりと、複雑なロープワークとなるため、状況に応じたシステム構築が求められる。
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今回組み上げる第2デッキは、樹上4mあたり。ツリークライミング班と、地上班が息を合わせ、ビームの引き上げから作業が始まった。クライミング班が曲芸のような体制に入る。笑顔が消えた……。
樹上に吊り上げられた重量のある材を、地上から人力で引き上げ、空中の人間があつかい調整する。最初は安定した作業進行をするだけでも大変で、特にビーム設置へ向けた数センチ単位の微調整は、大変困難な作業に感じられた。
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ここでようやく、TABが水平直角に設置されている重要性を認識する。もし、このボルトが曲がっていたり、あるいは幹の弱い箇所などに設置されていたら、どう考えても、その上にビームを置いて、デッキを組み上げることはできない。
一日掛かりで、ようやく2本のビームがTABと頬杖のような柱に固定され、樹上のデッキの土台が姿を現した。作業のあまりの大変さに、この時点で早くも達成感を持ってしまった。
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樹上デッキは、幹を挟んだ線路の上に、頑丈な簀子(すのこ)が乗ったような状態だ。ビームの上に根太(ビームに次いで太い角材)を固定し、そこへ根太と垂直になるように床板を張っていく。
ここで重要なのは、ビームや根太のあたりを早々に切り落とさないことだ。現場合わせが多いツリーハウス制作では、この後の作業でどんな変更を必要とするか解らない。その為、使える材は目一杯残し、仕上げの段階で外形を整えていく。
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根太に作業用の床板を仮張りして、何とか形になった。
樹上デッキに立ってみると、周りを樹々に囲まれた空間は、不思議と落ち着く。谷側を覗くと高度感もまずまずあり、冒険心もくすぐられる。
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空へ伸びる階段

コバさんの創るツリーハウスは、自然の持つ美しい外形を生かした曲線美の作品が多い。曲線を多様することは技術的にも難度が高く、ビルダー見習い達が講座で建てる今回のハウスでは、直線的な外形も用いることになった。
だが、それにより別の問題に直面した。自然の曲線に、直線を置く難しさ。幹や枝には当然直線は存在しない。どう生かし、どう交わし、どう設置するか。森の中で、巨大で複雑な知恵の輪をしているようなものだ。
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階段造りは、何度もデッキと地上の作業場を行き来し、その度に寸法を微調整する。削って、直して、合わせて、相談し、戻して……、結局、樹上に向かって幅が狭くなっていくという独創的な形に落ち着き、かえって大変難しい構造となってしまった。だがその分、階段にもちょっとした遊び心が加わり、結果とても心地良い納まりとなった。ツリーハウス制作は、現場合わせが肝心だ。
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この階段、登った視線の先には遮るものが無い。樹冠の向こうに見える空へ階段を登っていく感覚だ。訪れる方々に森の空気をいっぱいに吸い込み、ワクワクしながら樹上の世界へ向かって頂けたら嬉しい。
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改めてホストツリーの根元から見上げてみた。荒削りだけど、まだ仮だけど、小さいけれど、僕らはやっと樹上に、僕らの居場所を造れたんだ。ツリーハウスつくろう。いよいよ面白くなってきた。
初めての樹上デッキ組上げは、苦戦を強いられながらも、こうして喜びと心地良い疲れの中で終了した。
その姿が少しずつ見え始めたツリーハウス。これから更に高い樹上、樹冠付近へと作業は進行していく。
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ツリーハウスビルダー養成講座を通し、山や森、樹々、土に触れる時間が増えてから、人工物に囲まれた都会に戻るその瞬間、強い違和感を感じるようになった。忙しい毎日に戻れば、その違和感はたちまち消えてしまう。この現場に戻るのは、そんなヒトとして、動物として最も根源的な、なにか、言葉に出来ない感覚を取り戻しに行くためであるのかもしれない。

このツリーハウスが完成したら、誰かがここに大切な感覚を取り戻しに、山や森、樹々と触れ合うために訪れるためのきっかけになれば。そんな風に今は思う。

ツリーハウスクリエーター 小林 崇さんと、その世界についての体験レポート。
次回、トップデッキ制作につづく。

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Writer きむらかずたか

千葉県出身。音楽大学にてEuphoniumを専攻。卒業後、楽譜出版社に勤務、編集企画を担当。趣味のマラソンをきっかけに、各種スポーツやアウトドア生活に挑戦。職業、世代や性別、地域を越え、多くの人々と出会い繋る。現在、会社員の傍ら『未来住まい方会議 YADOKARI』『自然体験 僕らの家』各サポートスタッフとして活動中。これまでに出会った多くの仲間と集い、新たな同士と繋がり、日本の新しい幸せを創る為、活動中。故郷の千葉県・外房地域に“つどい・つながり・つくる”施設を造る事が当面の目標。

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