ミニマルハウスの原点、戦争真っ只中でも快適な暮らしを 「The Box」

スウェーデンの森の中。木々に囲まれた何もないところにポツンと一軒の家が。こちらが今回紹介するミニマルハウス「The Box」
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時を遡り1941年、第2次世界大戦の真っ只中にこの建物は建てられました。イギリス人建築家でスウェーデンで生活していたRalph Erskineは戦争の影響を受けて、仕事が減り、生活が苦しい状況に。しかし、愛する妻と娘たちのために、なんとか生活する場を作らなければと窮地に追い込まれた末、建てられたのがこの家です。たった2部屋、電気も水道も通っていないけど、この当時では考えられないほどの機能を備えたこの住まい、なんと家も家具も全てRalph Erskineとこの土地の持ち主でもある友達、たった2人で建てられました。
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広さたったの20㎡、大きな煙突で仕切られた2部屋のこの家は、1部屋がキッチン、もう1部屋はリビング、寝室、仕事場を兼ねた多機能スペースというような間取り。スウェーデンの長く暗い冬でも、太陽光をめいいっぱい取り込めるようにと南側にある多機能スペースの南側はなんと一面ガラス張り。手作りの作業机は壁に折りたためば壁と一体化!なにより驚きなのが、昼間にはソファーとしても使えるベッドは天井まで上げることができるんです。

戦時中の1941年から1945年までの4年間、Erskine一家はこの家に住んでいました。その後も夏の間一家の別荘として何十年もの間、家族の成長を見届けてきました。でもやっぱりお別れの時が…..建物が老朽化し、とうとう崩壊してしまったのです。

この写真で見ている家は実は1989年に寄付金で建てられたレプリカ。長い間家族を支えてきた「The Box」は今度は人々に支えられて現在も人々を見守っています。これこそがミニマルハウスの原点ではないでしょうか。
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via:SMALL HOUSE BLISS A NAVE DO BOM GOSTO