第8回:生きる芸術「空き家を巡る冒険/空村(そらむら)編」|芸術は、生きる技術

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こんにちは。夫婦でアート活動をする檻之汰鷲(おりのたわし)こと、石渡のりおです。今回は、前回の続き、運命の空き家の話です。ここに空きスペースあります。ご興味ある方はどうぞご連絡ください。

第7回:生きる芸術「空き家を巡る冒険/運命の空き家編」|芸術は生きる技術 ⇒ https://yadokari.net/live-art/20682/

運命の空き家は巨大な長屋群

愛知県津島市に現れた運命の空き家は、名古屋の中心地から電車で30分、駅から10分の立地にありました。
軒を抜けると、昭和初期から時間が止まっているような空間が現れました。なんと敷地300坪に4軒の空き家が並んでいたのです。しかも、ひとつは2階建ての長屋、ひとつは1階建ての長屋、ひとつはオーナーが住んでいた2階の戸建、ひとつは50畳近くある講堂で、合計16戸ものスペースがありました。

この物件は、オーナーのおじいさんが80年前に建てたもので、まだ日本が貧しかった頃、町のひとたちが勉強をして貧しい生活から抜け出せるようにと、この長屋群をつくったそうでした。
この物語にぼくたちは魅了され、この空間を壊さずに利用したいという想いが溢れ出しました。そうして津島の空き家を再利用するプロジェクトが立ち上がったのです。

トンネル
写真
講堂小さい

「空」っぽだから作れる「村」

この機会をつくったプロジェクトメンバーの柚木さんには、いつか村をつくりたいという夢がありました。ブラジルで幼少期を過ごした柚木さんは、日本の小学校に転入して、はみ出さずに横に並ばせるような環境に違和感を持ったそうでした。

人を同じようにしてしまうのではなく、違いをもっと際立たせて、想いを同じにする人が集まって暮らせば、委縮せずに個性を伸ばして生きていける、そういう暮らし方をつくれないだろうか、柚木さんはこの空き家に、そういう村をつくる構想を始めていました。やりたいことを勇気を持って始められるような場所です。

ぼくらは、場所の名前を仮に空村(そらむら)と名付けました。初めてこの場所を訪れた日、空がとても青かったからです。この場所は、まだ何もない空っぽの家、まさに空き家。だからこそ、いろいろな夢を実現できる可能性があるのです。

最初にぶつかった課題は、こんな大きな空間をどうやって改修していくのか、どうやって利用者をみつけるのか。
「1カ月で改修するミニマルで低予算のプランをつくれないだろうか。」
柚木さんが提案しました。

あなたがつくる場所がある

そのアイディアをカタチにできる仲間がいました。木造建築家の鳥羽さんです。鳥羽さんは、名古屋で生まれ育ち、京都で木造建築を学び、その技術をいつか自分の生まれ育った場所で活かしたい、と考えていました。
鳥羽さんは、
「入居者が自分で改修するのはどうでしょうか?しかも、ぼくが素人でも1カ月で改修できるプランをつくります。」と言いました。

この空き家には、現在、お年寄り家族が2世帯暮らしています。オーナーは、入居者に迷惑の掛からないカタチで、この場所を再生したいと考えていました。そこで、ぼくら夫婦は、この津島市に2015年の春に移住して、プロジェクトメンバーの協力のもと長屋全体ではなく、一戸ずつ改修する計画を実践してみることにしました。

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画像左端の三重県に近い濃いピンクが津島市、紫色が都市部
鎌倉時代以前から、交易の中心地「津島湊」として発展
織田信長のパトロンとして栄え莫大な富を築いた
明治以降は日本で初めて毛織物業が始まった場所として栄えた津島市

住んだり、つくったり、売ったり、集まったりする場所。好きに改修してみたい人、商売をしてみたい人、移住を検討している人、ものづくりのスペースを探している人、ここに空きスペースあります。みんなのやりたいをカタチにする空村(そらむら)は、来年の春からスタートします。次回は、津島市がどんな場所なのか、ぼくたちが出会ったコトやヒト、その魅力と可能性を紹介します。

ご興味のある方は、
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