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ニンゲンらしく、アフリカぐらし

第5回:アフリカの大地に野菜を育てる|ニンゲンらしく、アフリカぐらし

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バンベニ 桃
北九州出身。南アフリカ在住。雑貨作家、ノンフィクション・エッセイ作家。2006年〜2009年にユーラシア大陸横断、アフリカ一周の旅を体験。民泊とヒッチハイクを繰り返し、文化、言語、料理、宗教、政治などを直に学ぶ。訪れた国は75カ国を超える。南アフリカで現在の主人ラスタと出会い、結婚。二児の母。トランスカイのウムタタという小さな町と、村の生活を行き来している。人間とは本来他の生き物と同様、自然と循環して生きていくものなのだと実感。地球と循環して生きたいというコンセプトで天然素材で雑貨を作っている。これまでブログやライブトークなどで、旅の経験やアフリカの生活を生かしシンプルに生きることを発信している。

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6月。南半球はこれから冬が始まろうとしている。最近は日照時間がぐっと短くなってきた。比較的過ごしやすい気候のここ南アフリカのトランスカイも冬は雪は降らないものの結構寒くなる。アフリカと言っても南アフリカはアフリカ最南端なのだ。

丘の上にある私の村、トゥフイーニ村もだんだんと寒くなってきた。

村の人は一人一人、顔を合わすたびに丁寧に挨拶する。
「やぁ、元気かい? 嫁さんは元気かい? 子供たちは元気かい? お母ちゃんは元気かい? 家畜はどうだい?」こんな具合に。こんな小さな村だから村に住む人たちはみんな顔見知りで、しかも毎日こうして挨拶し合うのだ。
忙しい町の生活の中ではたくさんの人と一日顔を合わせ、挨拶もそそくさと終わらせてしまうことが多いけど、こうしてのんびりとした時間を持つのもいい。

畑で野菜を育てる生活

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村の畑に冬の野菜の種を少しずつ蒔き始めた。
先月末に植えたグリンピースがもう芽を出していた。蔓が動物のように見えておもしろい。
空高くまっすぐ伸びるとうもろこしや、地面にまぁるくできる大きな花のようなキャベツ。
今年の夏は大豊作だったピーマンは丸いものや縦長いもの、曲がってるもの、大きいものといろんな形でおもしろい。

野菜を自分で作り始めて野菜のおいしさと、その植物の不思議な美しさ、土を触る生活の素晴らしさに気がついた。
うちの畑でできる野菜はたいてい不揃いな形で、中には虫が食べている跡などあり、それが自然でとってもおいしいのだ。
形や大きさにこだわるよりも、味やどうやって作られたかにこだわることの方がよっぽど意味があるということに気がつけたのも野菜を自分で育て始めてからだ。

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旅をしていろんな国を見てきた。経済重視している国もあれば、宗教を重視している国もあった。自給率が高い国もあれば、輸入に頼っている国もあった。大きなスーパーがたくさんある国もあれば、地元の人たちが集まる小さな市場しかない国もあった。王様が文化を大切に守っている国もあった。

その国その国で国民の生活は違った。人間は生まれた場所で生活が随分と違う。
多くの国では食べ物は自給されていて、大きなスーパーなどはなく、地元の人たちで行われている市場で食料品、衣類などは買われていた。そしてそんな国に限って「貧しい国」などと呼ばれている現実があったのだ。国の自給率が高い、さらには個人の自給率が高い国が「貧しい」と呼ばれるのは何かが違う気がした。

全ての人間が食べ物を「買う」ことしかできなくなったら、この地球はどうなってしまうのだろう。全ての人間が地球の反対側からも食べ物を調達するようになったら、どんだけの燃料が無駄になるのだろう。

豊かな生活に欠かせない「食」

「豊かな生活」を思い描く時、やはり私は世界中で出会った友達や家族のことを考えるのだ。

どうしたら私たちはみんな平等に豊かに暮らせるのだろう。
そう考えた時、豊かな暮らしの一つに自分の食べる物を見直す必要がある気がしてならない。ヨーロッパの最高級の物が食べられることより、安心のできる自分で育てた野菜を口にする方が健康で豊かだと思うのだ。そしてその道こそ、私たちみんなが豊かに暮らせる方法ではないだろうか。こんな飽食の日本だ。少しでも自分で食べ物を生産する大変さを知ることで、食べ物を自然と大切に思えるのではないだろうか。

もし野菜を作る土地がなかったとしても、プランターに植えたり、地元の物を買うことや、安心できる環境で育った野菜を買うことで健全な食生活をもたらしてくれる。
「そんな時間はない」と言い訳することはしたくないのだ。私は「仕事」とはどこかの社長のために働くのではなく、自分の家族のために働くことだと思っている。そう考えた時に野菜を自分で作ることは、必死になって自分の時間をすり減らして働くより大切な仕事のような気がしてならない。

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今年は豆が豊作だった。
この豆はコサ族の古くから次がれた固定種で、一掴みの豆を種にしてたくさんの豆を収穫できる。とてもカラフルで美しい。味もまた格別だ。乾燥させておくと保存がきくのもうれしい。

自然の恵みを感じる

大陸性気候のこの地は冬は雨が降らない。昼と夜の寒暖の差が激しいため朝早く畑へ出ると朝露の水の玉が葉の上にキラキラと光っているのだ。この乾燥地帯で育つ植物はこの朝露を葉をいっぱい広げて集める。その生命力はとても力強い。
畑で野菜の世話をしていると、いろんな昆虫を目にするのもおもしろい。カボチャなど時にはミツバチの力を借りて受粉したり、自然の恵みを食べていると感じることができる。
有機野菜を大量に作ろうと思うと難しいけど、自分の食べるぶんだけ作るくらいならそんなに難しくはないのだ。

大切に育てた野菜が実りの時期を迎えた時、この喜びはたまらない。その野菜を料理する喜び。そして食べる喜び。
私はカボチャやかぶの皮などはきれいに洗って天然のパン酵母を起こしている。我が家のカボチャの皮とわたで起こすパン酵母は元気もりもりだ。
雑草もこの地の物はおもしろいものが多く、摘んでは花瓶に活ける。

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雨に感謝して、お日様に感謝して、みみずに感謝して、時には自然に畏怖して、こうして自然に生きさせてもらっているといつも実感できる野菜作り。
毎日食べてるものだから、やっぱり自分で作りたい。
人間らしく生きること、それは自然に身を任せて生きることかもしれない。

The Roast 週末二拠点生活、タイニーハウスで大切な人と極上のコーヒー体験を
月極本3 特集「好きなお金、嫌いなお金。」
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