写真家は海を旅する「A Van in the Sea」

満天の星空、ベールのようにたなびく雲。暗い海は静けさをはらんで横たわる。そんな光景の中、ぽつんと佇むキャンピングカーは、やわらかな明かりを窓からこぼして生き物のように海を見つめている。

これら写真は、多くの賞を受賞する写真家、Alessandro Puccinelli の作品だ。タイトルは「A Van in the Sea」。

2011年、写真家は「Hymer 1983」という中古のキャンピングカーを買った。レトロで愛嬌のあるこの車に乗って、彼はポルトガルの南海岸を旅している。商業的な活動からゆるやかに離れて、自分の好きなものを撮り続けるために。2013年、寝る前に日課のように撮る写真が「A Van in the Sea」というシリーズになった。

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海は、彼の人生に欠かせない存在だ。大いなる知識の源泉であり、人生を導いてくれる海を、写真家は生涯のモチーフとして撮り続けている。

大好きな海のそばで、旅をしながら生活をする。足であり寝床でもあるキャンピングカーは、そんな生活には欠かせない相棒だ。その姿を写真家は、遠く離れたところからレンズ越しに見つめる。カメラが夜の僅かな光をとらえるのを待つ間、潮騒の中で彼は何を思うのだろう。

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Hymer 1983 は大きな車だけれど、こうして広大な自然の中に置かれていると、とてもちっぽけなものに見える。けれど、けなげに明かりをともしてくれているから、なんだか安心する。どんな場所にいても、どこを旅していても、それは確かに帰る場所であり、ホームなのだ。

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via: http://www.ignant.de/