エコ&コミュニティ・フレンドリー。自転車の小商いは新しいトレンド?

via: velopresso.cc

フードトラックの次は自転車カートが来る。いえいえ、レースの着順じゃなくて、フードビジネス・サイトが予測するフード小売のトレンドの話です。今回は、これまでYADOKARIで取り上げてきた自転車カートの記事を交えつつ、「自転車の小商い」について考えてみます。

欧米でのモバイルショップ、ポップアップショップの流行において、これまでスモールビジネスを始める人たちが考えるのは、自走可能なトラックや牽引可能なトレーラーの利用でした。路面店をオープンするのと比較すると、格段に初期費用が安く、なにより毎月のテナント料や家賃がかからないという大きなメリットがあります。

ただし一方では、中古トラックやトレーラーの購入と改装の費用と手間、営業許可証の取得、駐車場所の確保、燃料費とメンテナンス費用など、フードトラックやファッショントラックのビジネスには頭の痛い問題がいっぱいあるのも現実。それらをすっかりクリアできるのが、自転車カートの小商いというわけです。なにより自転車というエコロジカルな乗り物と、一人で行う最小限のスモールビジネスとの相性はバッチリ。日本でも昔はお豆腐屋さんが、ラッパを鳴らしてモバイルビジネスをやっていましたね。

自転車カートの小商いで世界中でもっとも勢力を拡大しているのは、やっぱりモバイル・コーヒーショップ。中でもとびきりクールなカートといえば、世界初のペダル駆動コーヒーグラインダーを搭載した英国発の「Velopresso」でしょう。

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ペダルを漕いで豆を挽く、オフグリッドのコーヒーバイク「VELOPRESSO」

記事にある「Velopresso」は、ベロ(舌)とエスプレッソの造語ではなくて、「自転車」のフランス語「vélo」とエスプレッソとの組み合わせから。

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スウェーデンからは、「世界最速で広がっているカフェ・チェーン」というキャッチの「Wheelys」のコーヒーカートがホットです。

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移動販売の革命児!ミニマルでエコカワいい自転車カフェ「WHEELYS2.0」

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Wheelysは3,999ドルから始められるという初期費用の安さが最大の特徴。現在は「WHEELYS 4」の後の「WHEELYS MINI」と、ジュースバー、クレープやアイスクリームショップなどにカスタマイズ可能な「WHEELYS 5 OPEN SOURCE」がラインナップに掲載されています。ただしプロジェクト自体はSOLD OUTとなっていて、今後新しい展開を見せるかもしれません。

Wheelysは、アプリで呼べる自走コンビニエンスストア「Moby Mart」も中国の大学と共同開発中。本気で小売業界を革新しようと挑戦しているようです。

呼べばやって来る!SFチックな自動運転の無人コンビニ「MOBY MART」

そしてもちろん、自転車カートはDIYで自作することも可能。

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The Stopが主催するトロントの食フェス「ナイト・マーケット」にも、ユニークなデザインの自転車カートが出展されています。サドル下のポンポンやフレームのカラーリングがとってもチャーミング。デザートやスイーツのカートに良さげです。

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自転車カートを物販に使った例もありました。

デザイン性の高い度付き眼鏡を販売するスタートアップ Rivet & Swayの “Specs on Wheels(車輪の上の眼鏡たち)” と名づけられたカートです。惜しくも会社は2014年に解散してなくなってしまいましたが、歴史に残る自転車カートの名作だったとおもいます。

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三輪車でメガネを売るというチャレンジ。RIVET&SWAYに学ぶ小商い

自転車の小商いの最大のメリットは、街やコミュニティと繋がることが容易という点にあるかもしれません。鎌倉の移動ケーキ屋さん「POMPON CAKES」の立道さんのインタビュー記事は、たいへん示唆に富むものでした。

【インタビュー】なぜ路上でケーキ屋をするのか?POMPON CAKESの立道さんに聞く小商い|ちいさくはじめる小商い

「小商いをする人じゃなくて、ケーキ屋でもなくて、鎌倉という街を賑やかにしたい」「ケーキ屋をやりたいんじゃなくて、結局のところ、街を面白くしたいんです」と語る立道さんの考え方は、自転車カートを使った街のコミュニティへの貢献という新しい視点を与えてくれるものでした。

自転車カートは、街を自在に移動しながら、通りで見かけた人が呼び止める偶然の出会い。そこが、フードトラックと違うところかもしれません。そうした地域との関係性が日々だんだんと積み重なっていき、いつの間にかコミュニティになくてはならない存在になっていく。自転車の小商いの魅力って、そういうところにあるのかもしれません。

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