利用する人に優しいガラスの城?「Jektvik Ferry Quay Area」

「Jektvik Ferry Quay Area (イエクトベッキ・フェリー岸壁エリア)」と名付けられたこの建物、一体なんだと思われるであろうか?

実はこの建物は、イエクトベッキ・フェリー乗り場のサービス棟として、新たにノルウェイ人の建築家Carl-Viggo Hølmebakk(カール・ヴィゴ=ヘルメバック)によって設計されたものだ。フェリー乗り場で必要なのは待合室とトイレだろう。それらの機能を備えたのがこの建物だ。

そもそもこのプロジェクト自体非常に実験的なものだった。用途は待合室とトイレという非常に実用的なものではあるが、このプロジェクトが実現しようとしたのは、透明性と構造のハーモニーだ。それらを追求した結果このような美しい姿の建物となった。
極寒のノルウェイの海沿いにひっそりと佇むこのガラスの城。柔らかい光が建物全体から発光していて、大きなランタンのようでもある。

620_341_Jektvikquayarea_carlvigo_db_02
プレハブのアルミニウム外骨格がガラスでできた外壁を構造的に支え、ガラスが建物全体を覆っている。外壁に沿ってパイン材の支柱が張り巡らされ、装飾のない平坦で乳白色に輝くガラスのプレーンな壁面に風合いを出している。内側は無機質なイメージだが、外観はパイン材が活きてどこか柔らかな雰囲気だ。

室内でも使用されたすりガラスや色ガラスの様々な組み合わせから構成されているガラス壁面や扉などによって、それぞれの部屋に異なる透明性と透光性を与えている。
アルミニウムの骨格の組立は工場で行われた。工場の天井に届かんばかりの大きな構造を作り上げる様相は圧巻だ。
フラットガラスの天井の上に寒たい空気が閉じ込められた屋根裏部屋が設けられ、ここで換気の集約や照明などが機能している。

620_341_Jektvikquayarea_carlvigo_db_07
このプロジェクトの作業タイトルは「エビ」だった。なぜなら、エビは内臓が半透明な殻により透けて見えるように、この建物もガラスやファイバーグラスの透明な層を通して構造や内部を部分的に見ることができるためだ。

特殊な工法によって、多くの厳しい細部への要求がこの家に課された。
建物は周辺地域の地面と同じ高さにしたため、車いすやベビーカーや大きなスーツケースを持った人にも入りやすいバリアフリー設計になっている。

620_341_Jektvikquayarea_carlvigo_db_13
鋼製の格子が建物全体を囲んでいるため、フレームに邪魔されず透明な壁がずっと床面まで続いているのが美しい。また、この鋼製の格子の下の空間は二重壁構造になっており、換気通路となっているため、室内の機密性が高まった。 全体照明は天井部分に搭載したLEDリニアライトで構成されている。また手元に明るさが必要な部屋によってはダウンライトが使用されている。使用されている色や視覚的コントラストは視覚障害者にとっても見やすいものが採用されている。

現在は新たにキオスクやインフォメーションセンターの建物が南側に拡張される予定で計画されているそうだ。出来上がりが非常に楽しみだ。

620_341_Jektvikquayarea_carlvigo_db_03
Via:http://www.designboom.com/http://www.archdaily.com/