世界の小さな住まい方

ビオトープを中心に建てた、自然と共に過ごす家「THE POND HOUSE」

石井敦子プロフィールアイコン | 2015.5.8
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オーストリアのオーバーエステライヒ州の州都リンツは、人口20万余のウィーンやグラーツに次ぐ第三の都市だ。ここはオーストリア最大の工業都市であると同時に、古い伝統文化の遺産をも残している。このリンツから北西に11キロの距離にあるグラマシュテッテンに今回ご紹介するスモールハウスがある。

美しい自然の庭園に囲まれた、人工池の上をまたぐように作られたこの家は、その名も「THE POND HOUSE(池の家)」。
この人工池は化学物質や機械を一切使用せず、植物や生物など自然の力で水を浄化している。自然の草花や小動物や魚が生息しやすいように人の手を加えていく考え方は、ビオトープとして日本でも広く知られている。

ちなみにビオトープとは生物の住息環境を意味する生物学の用語だ。これはウィーンの隣国ドイツで生まれた概念であり、ドイツ連邦自然保護局ではビオトープを「有機的に結びついた生物群。すなわち生物社会(一定の組み合わせの種によって構成される生物群集)の生息空間」と位置づけている。

ビオトープとしての庭園と一体化したスモールハウスを施主から依頼されたのは、国内3都市で建築事務所を展開しているHammerschmid Pachl Seebacher Architekten。彼らは過去にもさまざまな曲線や直線を用いたモダンなパーキング、店舗や家など幅広い建築を手掛けている。

建築家は、窓一杯に池が見えるように池の上に家の半分が突き出るように設計した。カーポートのある家の裏は池から傾斜した低い位置にあるため、4本の金属の支柱で高さの均衡を保つことで、土地に大きく手を加えることなくありのままの姿を保っている。木造建築の家の壁面の粗挽き松の板はスウェーデンの汚泥で黒く塗装され、背景の草木と見事に融合しているのが分かるだろう。

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家の間取りは、50㎡のシンプルな長方形のスペースに、LDKと広い浴室とベッドルームが直線状に配されている。室内の天井、壁面、床には油を塗った樺材のベニヤ板が使用され、キッチンと暖炉部分のみグレーのファイバーセメントパネルが使われた。
巨大なガラス窓のおかげで家のどこにいても池が見渡せるようになっていて、リビングの窓の反対側壁面にはキャビネットが設置してあり、ところどころが小さな窓になっているところが洒落ている。

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巨大なガラス窓の両脇にはふたつの扉が作られ、池に突き出たデッキへと出られるようになっている。デッキは池を渡り、池の横にある庭と家の裏のパーキングへとつながっており、デッキが広くとってある場所で、暑い夏は日陰を作るための布をはったり、蚊帳を吊り下げて、半アウトドアの部屋としても使うことができる。

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広いデッキをダイニングにして家族と過ごす日曜日。遅い朝食をとりながら、四季折々の様々な草木が目を和ませ、庭や池に訪れる可愛らしい訪問客に目を細める。忙しい日常につかれた都会人なら誰もが憧れる生活だろう。

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Via:
smallhousebliss.com
hpsa.at
archdaily.com
en.wikipedia.org
db-city.com
gramastetten.ooe.gv.at
wikipedia.org

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石井敦子プロフィールアイコン

Writer 石井敦子

世界の小さな住まい方ライター担当。

1970年東京生まれ、鎌倉育ち。幼少から未知の世界を求めて三輪車で近所を徘徊。米国への留学をきっかけに徘徊の規模が世界へと広がる。好奇心旺盛で、異文化への興味は特に強い。お呼びがかかれば、インドの結婚式にも馳せ参じるフットワークの軽さと、虫以外はなんでも食べる食欲がウリ。異国の住民目線の生活を好むため、旅の手段も現地人の家に転がり込む居候型。世界中で家族を増やす計画を実行中。鎌倉在住。好きな言葉「Nothing is useless(人生に無駄な経験なし)」

TW:@azkoishii
HP:Nomad Azko的世界放浪

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