世界の小さな住まい方

プレハブの固定概念が変わる、美しい22㎡の小屋「My First Home」

伊藤 愛プロフィールアイコン | 2015.5.6
  • facebookでシェア
  • ツイート

box-clever
「プレハブの小屋=工事現場で見かけるユニットハウス」。そんな私たちの固定観念を覆すような、簡素だけれど美しい22㎡の小屋が南アフリカの西ケープ州にあります。この空間の持つシンプルさとリラックス感は、小さな暮らしを求める人々の心を捉えて離さない、不思議な魅力をたたえているようです。

My First Homeと名付けられたこの小屋は、Wolf Architectsを主催するWolfさんとMelanieさんの庭を挟んだ一角に試作品として建てられました。数年前、2人はケープタウンの中心部にある工業ビルの小さなオフィスを、コンパクトで多機能な仕事場兼リビングスペースにコンバージョンして暮らしていました。彼らの40㎡の小さなオフィスを見た沢山の人たちが、自分たちも同じように設計してもらえないかと声をかけてきたそうです。そのような経験から2人は小さな空間に興味を持ち、この小屋がデザインされました。

0205
この小屋はWolf家では主に離れのスタジオとして、またゲストが訪れた際の宿泊用に使用されています。「ここだけで全て事足りることや居心地の良いことが素晴らしいんだ。自分だけの、完全にプライベートな空間にいるってことがよくわかると思うよ。」とはWolfさんの弁。クリエイティブな仕事では時に静かに自分の内にこもる時間も必要なのでしょう。あまりにも居心地がよくて、こちらの小屋で過ごす時間の方が長くなる、そんな逆転現象も起こってしまいそうです。

box-clever-tub07
My First Homeは全部で4タイプあり、こちらのタイプは3.6m×6m、およそ22㎡の広さがあります。気になる内部は仕事場にもなるリビングスペース、ミニマムなキッチン、その上に寝室がわりのロフト、そしてこのサイズの小屋には珍しいバスタブのついたコンパクトなバスルームで構成されています。
特徴的なのがリビングで存在感を放つ3段のベッド。真ん中の段はシートを倒すと下段のシートの背もたれになり、あっという間にくつろぎのソファースペースが出来上がります。ベッドとして使う時は一番上の段へ上るのに右側の本棚をはしご代わりに使うなど、小さな住まいならではの工夫は訪れたゲストに新鮮な驚きを与えてくれることでしょう。

0306
晴れた日はリビングの窓を大きくあけて、2m×6mのウッドデッキでゆっくりと食事を楽しんだり、寄せ植え作りを楽しんだりと思い思いに過ごせそう。このデッキスペースはWolf Architectsの考える小さな家には必要不可欠なもの。アウトドアリビングへのアクセスのしやすさは外せない贅沢なのだそうです。部屋のように囲まれた空間はなくても、リビングと一続きにすることで内部との一体感が生まれ、実感する以上の広さを感じることができるのではないでしょうか。

box-clever-tub04
彼らは「我々は快適すぎると周囲との接点を失う」と言います。多少不便でもそこから知恵を絞ったり、外に出て周りの人たちと助け合ったり、交流する機会を小さな暮らしは与えてくれます。ひとりになりたい時はその適度な狭さが居心地の良さを生み、窓を広く開け放てば開かれた空間として外の風景とつながり、訪れた人々を大らかに迎え入れてくれます。夫妻がじっくり時間をかけて導き出したプレハブのMy First Homeは、「小さいけれど豊かな空間」の良きお手本と言えるかもしれません。

Via:
houseandleisure
wolfandwolf

  • facebookでシェア
  • ツイート

YADOKARI「未来働き方会議」オープン!

伊藤 愛プロフィールアイコン

Writer 伊藤 愛

1975年、北海道羊蹄山麓の雪深い町に生まれる。
半ミニマリスト的生活を送る中で小さな家に興味を抱く。
元々美しい家やインテリアが三度の飯よりも好き。

学生時代訪れたイギリスで古い建築が市井の人々の生活の場として機能していることに感銘を受ける。
そのノリで札幌市郊外の中古住宅に住み、真夜中に突如思いつきで家のペイントを始める「ゲリラ的DIY」を敢行するも、
往々にしてあまりに微妙過ぎて家族にも気付かれていない。

そんな生活から一変、降って湧いた引っ越しで持ち家や車を手放すと、人生一度きりという言葉がリアルに迫ってきた。
今では美しい風景を求めて旅に出たいとウズウズする毎日。

伊藤 愛の執筆記事一覧 »

▼「未来住まい方会議 by YADOKARI」の購読はFacebookが便利です。