世界の小さな住まい方

ちっちゃいけど、とっても機能的で美しいバリアフリー・ハウス「STUDIO37」

石井敦子プロフィールアイコン | 2015.5.23
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カナダのブリティッシュコロンビア州の州都であるヴィクトリアは、同州南西部に位置しバンクーバー島の南端部にある。主要産業は観光と政府関連の人口33万5千人の都市である。

この地域では、住宅地で二つの住居を建てるというゾーニング規制を緩和するか否かの議論が行われていた。この動きを受けて、この地域の建築事務所Small Modern Living (SML)は、庭にも建築できるような小さなサイズの家の試作に取り組んだ。

今回ご紹介するのは、このSmall Modern Livingが手がけたその名も「STUDIO37」。たった37㎡のスペースに美しく機能的に生活に必要なインテリアが収まっている。彼らは魅力的で機能的な構造は大きなスペースを必要としないことをこの「STUDIO37」で証明した。

彼らに先見の明はあったようで、2012年にヴィクトリアの「ガーデンスイート法案」別の名を「横丁ハウジング法」が施行された。リタイア後に住むと同時に大学の街のビクトリアとして、有益な法案のようだ。高齢者にとっては、裏庭に作った生活空間による収入で介護者の支援を得ながら、より長く自分の家に住み続けることができる。また大学の学生にとっては、手頃な価格の賃貸住宅の増加が見込めるためだ。
さて話を「STUDIO37」に戻そう。

「STUDIO37」は片持ち梁の屋根で、外装は染色したさね継ぎの杉と側面にオレンジ色が美しいHardiePanelを採用した。玄関を入ると、傾斜した高い天井と天井まで届く大きな窓が2面に作られ、明るく開放的なため狭さを感じさせない。室内はリビングとダイニングのあるパブリックエリアとはめ込みベッドのあるベッドルームとバスルームなどのプライベートエリアが家の両端で別れており、その中央にモダンでスタイリッシュなキッチンが設えてある。キッチンはこの家では二つの役割がある。1つはキッチンそのものとして、もう一つはプライベートとパブリックスペースをつなぐ廊下の役割を果たしている。

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ベッドルームはスペースをより有効に使うために、家具に収納できるはめ込み式のベッドが採用された。ベッドを使用していない間は、ベッドを収納し、ベッドの下部に設えてあるテーブルを出すと、ベッドルームはたちまち書斎に早変わりする。こうして一つの部屋に二つの役割を持たせたのがこの家の特徴と言えるだろう。

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キッチンやベッドルーム同様、バスルームはランドリールームとしての役割も持つため、洗面所の脇に洗濯機と乾燥機が設えてある。(注:欧米では日本とは異なり、風呂場と洗濯室は別にあるのが通常だ。)ベッドルームとバスルームを隔てる扉として引き戸が採用されたため、通常のドアよりもずっとスペースを使う必要がない。

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一般的な家ではバスルームはリビングの隣に設置されることが多いが、「STUDIO37」ではあえてベッドルームの隣に配置され、十分にプライベートが確保されるように配慮した。更にバスルームは、車椅子でも使えるくらいの十分な広さがある。この家はすべてバリアフリー設計のため、玄関も含め十分な広さが確保されているので車いすでも不自由なく生活することができる。またキッチンのシンクの下にも車椅子に乗って人が作業しやすいように、膝の入るスペースが設けられている。

お年寄りから若者までハッピーになれる街づくりとそれを叶える最高のデザインの家。今後、ヴィクトリアでは「STUDIO37」がどんどん増えていくことだろう。

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Via:
smallhousebliss.com
smallmodernliving.ca
smallhouseswoon.com
tinyhousefor.us
ja.wikipedia.org

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石井敦子プロフィールアイコン

Writer 石井敦子

世界の小さな住まい方ライター担当。

1970年東京生まれ、鎌倉育ち。幼少から未知の世界を求めて三輪車で近所を徘徊。米国への留学をきっかけに徘徊の規模が世界へと広がる。好奇心旺盛で、異文化への興味は特に強い。お呼びがかかれば、インドの結婚式にも馳せ参じるフットワークの軽さと、虫以外はなんでも食べる食欲がウリ。異国の住民目線の生活を好むため、旅の手段も現地人の家に転がり込む居候型。世界中で家族を増やす計画を実行中。鎌倉在住。好きな言葉「Nothing is useless(人生に無駄な経験なし)」

TW:@azkoishii
HP:Nomad Azko的世界放浪

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