移動する家の可能性、モバイルハウスのある暮らし

【特集コラム】第3回:移動する家の可能性、アメリカ以外の世界のモバイルハウス事情

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世界中のモバイルハウスを通して、移動する住宅の可能性を考えるこのモバイルハウスの特集コラム。第2回目は、アメリカ国内のモバイルハウスについてお話ししました。第3回目の今回は、アメリカ以外の国にはどんなモバイルハウスが存在するのか見ていきましょう。

アメリカでは、キャンピングカーの人気と同じくして、モバイルハウスもどんどん普及しています。アメリカ国内は道路が広いので、大きなバスやキャンピングカーでも移動には困りません。しかし、ヨーロッパはアメリカと比べて道路が狭いせいか、モバイルハウスはアメリカほど多くないようです。それでも、ヨーロッパやオセアニア、その他の国で、モバイルハウスの需要はじわじわと増えてきています。

キャンパータイプのモバイルハウス

最初にご紹介するのは、ヴィンテージのキャンパーを利用したモバイルハウスです。オーストラリアにお住まいのLisa Moraさんは、ヴィンテージキャンパーのコレクターで、趣味が高じてヴィンテージキャンパーの雑誌まで発行してしまったそうです。

Mobilehouse.others 02お気に入りのキャンパーの前でポーズをとるLisaさん
Via: couriermail.com.au

所有のヴィンテージのキャンパー全てに名前をつけるほど、どのキャンパーにも思い入れがあります。住んでいるのも普通の家ではなく、キャンパーに住んでいて、その上、Lisaさんの服や身の回りの物も、ヴィンテージ品で固めるというこだわりよう。「お気に入りのキャンパーを手に入れて、好きな色やテーマでデコレーションする」のがLisaさん流です。

まさに、自分の「ドリームハウス」を手に入れたLisaさんは、「もっとたくさんの人にヴィンテージのキャンパーを楽しんでもらいたい」そう。お気に入りのキャンパーを手に入れたら、旅に連れて行ってもよし、自分の部屋やゲストハウスとして利用するものよし、ヴィンテージのキャンパーにしかない歴史を味わって欲しいと語っています。

Mobilehouse.others 03ヴィンテージ色いっぱいのLisaさんのキャンパー
Via: simplyfreshvintage.com

移動式ショップ・モバイルショップ

次にご紹介するのはモバイルショップです。以前に本ウェブサイトでも、ウェールズのエコロジカルな移動映画館「Sol Cinema」や、フランスのAirstreamのネイルサロン「Le Nail Truck」などのモバイルショップをご紹介しました。

小さいスペースながらも、あちこち移動できる便利なモバイルショップは、世界各国で見られます。イギリスの、Nellieと名付けられたヴィンテージのキャンパーもその1つ。1970年製のキャンパーであるNellieは、長い間、農場の片隅に打ち捨てられていました。それを見つけて修復したのは、Nostalgic Momentsというショップを運営しているSophieさん。錆びてボロボロだったNellieは、Sophieさんのお陰で、新品同様に生まれ変わることができました。

Mobilehouse.others 04SophieさんとキャンパーNellie

現在Nellieは、アイスクリームを販売する移動ショップや写真撮影、それに結婚式などの各種イベントに利用されています。可愛らしいNellieの外見が人の目に留まりやすく、更に、イギリスの古い街並みにもぴったりなので、どこへ行っても絵になりますね。

Mobilehouse.others 05イベントで大活躍のNellie
Via: www.nostalgicmoments.co.uk

バスタイプのモバイルハウス

そして次は、イスラエルの女性2人が改装したバスのご紹介です。イスラエル在住のTally SaulさんとHagit Morevskiさんは、古い市営バスをキャンピングカーに改装しようと思いつきました。2人のすごいところは、ファッション雑誌を見ているときにふと思いつき、特に決まったプランもないまま、バスの改装を始めました。

Mobilehouse.others 06TallyさんとHagitさんが改装したバス
Via: ynet.co.il

始まりが行き当たりばったりな感じもしますが、意外なことに、ボロボロだった市営バスが、お洒落なキャンピングカーへと変貌を遂げました。内装のあちこちには、2人のセンスが光る家具やデコレーションが設置されており、キャンピングカーというより、モダンなアパートのようです。
思いつきでここまでできるのは、元々洗練された感覚の持ち主なのかもしれませんね。

Mobilehouse.others 07内部はとてもお洒落に仕上がっています
Via: gas2.org

車タイプのモバイルハウス

最後は、イギリス出身のOverlandersです。Gywn SwiftさんとLinzi Allcockさんのカップルは、Kermitと名付けた1996年製のLand Roverで、現在南米を旅行中です。前年も車で中央アメリカを旅しましたが、今回の旅は、残りの南米を18ヶ月で制覇しようというもの。まず、旅はチリから始まり、北上してブラジルへ、その後、南下して最北端のアルゼンチンへ向かう予定です。

Mobilehouse.others 08旅行中のGwynさん(左)とLinziさん(右)
Via: travellingweasels.com

前回の中央アメリカを旅行した際には、拘置所に入れたれたり、ナイフで襲われたりと、怖い目にもあったそうです。それでも、Overlandersとしての旅は止めようとは思いません。「旅で、火山の噴火を見たんだ。クジラと一緒に泳いだこともあったね。それに、たくさんの親切な人たちにも会えたし」と、2人は嬉しそうに話します。
「お金では買えない経験」をもたらしてくれる車での旅は、2人の人生にとって、またとない思い出を生み出してくれるのでしょう。

Mobilehouse.others 091996年製のKermit the Land Roverには、ルーフトップテントが取り付けられています
Via: dailypost.co.uk

今回の「移動する家の可能性、アメリカ以外の世界のモバイルハウス事情」はいかがでしたでしょうか。前回同様、「クリエイティブになること」が、どのモバイルハウスにも必要になるようです。モバイルハウスの改装や、デコレーションなど、そういった工程を経て学べることがたくさんあるからです。

それに加え、「古いものを再利用する」ことで、アップサイクル(再利用して、物自体の価値を引き出すこと)にもつながります。新しいものを買うのではなく、古いものだからこそ再利用して長く使いたい − それが、今回ご紹介したモバイルハウスのオーナーに共通することです。

普通の家に住むのではなく、あえてモバイルハウスに住むことや、キャンパーをショップにする、そして車で旅に出るということは、「他の人と違うこと」を恐れないこと。枠にとらわれないモバイルハウスだからこそ、そういった貴重な経験ができるのかもしれませんね。

次回は、「日本でのモバイルハウスのある暮らしの可能性」についてお話ししていきたいと思います。

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Writer アプティグラフト佳菜

アメリカ在住。現在、アメリカの大学にてジャーナリズムを専攻し、学位取得を目指す。普段大学では、社会問題や法律に関係した記事を中心に執筆。

アメリカに移住してからというもの、アンティーク&ヴィンテージのグラスウェアや小物の収集に明け暮れ、他にも、時間が出来ると布小物を製作したり、写真撮影をしたりと、あちこちに手を広げては時間が足りないのが悩み。

将来は、とにかく日本語と英語でどんな記事でも書けるマルチなジャーナリストになれるよう、日々修行中。

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