移動する家の可能性、モバイルハウスのある暮らし

【特集コラム】第4回:どうする?どうやる?日本でモバイルハウスを持つために

Mobile House Japan 01

世界中のモバイルハウスを通して、移動する住宅の可能性を考えるこのモバイルハウスの特集コラム。第3回目は、アメリカ以外の国のモバイルハウスについてお話ししました。第4回目の最終回は、日本の中のモバイルハウスの可能性について見ていきましょう。

モバイルハウスが普及しているアメリカの道路は、一般的に広く、モバイルハウスでの移動も簡単です。それに比べて日本の道路は狭いので、アメリカのようにはいきません。その上、日本でモバイルハウスをするとなると、自分の敷地の規模や法律なども絡んでくるので、 躊躇する方も多いと思います。
そうしたせいか、日本では、住居型や離れ家タイプのモバイルハウスはほとんど普及していないのが現実です。その代わり、ケータリングなどの、小回りの利く移動式ショップが広く浸透しているようです。

日本で住居型・離れ家タイプのモバイルハウスは可能か

まず、「日本で住居型モバイルハウスは可能か」ということに焦点を当ててみましょう。
日本では、台数は欧米に比べて少ないものの、多くの人たちがキャンピングカーで国内を旅行したり、アウトドアに行ったりと、キャンピングカーの需要が年々増えてきています。日本RV協会によると 、2013年の日本でのキャンピングカーの総保有台数は85,200台となりました。2005年と比べると、35,000台以上も増えています。しかし、行楽シーズンなどで利用する以外のキャンピングカーは、自宅の駐車スペースや敷地内に停めたままとなっているのではないでしょうか。

キャンピングカーを離れ家・オフィスとして利用してみる

そこで、空いているキャンピングカーを離れ家やオフィススペースなどとして利用してみるのはいかがでしょう。
日本RV輸入協会によると、キャンピングカーやバス(原動機を備えているもの)、そしてキャンピングトレーラー(Airstreamなどの、原動機を備えていないもの)を住宅、事務所、店舗として利用する際の法律(建築基準法)は以下の通りになります。

建造物扱いにならないもの
・地面に固定していないこと(ジャッキアップ等により設置)
・電気、水道、ガス等の脱着が容易にできること
・階段、デッキは本体と設置しないこと

建造物扱いになるもの
・ポーチやベランダが本体に取り付けられているもの
・ライフラインの脱着が容易にできないもの
・規模(床面積、高さなど)、形態、設置状況等から、すぐに移動できないもの

以上のことを踏まえ、「キャンピングカー(バスやキャンピングトレーラーも含む)を地面に固定せず、なおかつ速やかな移動が可能なもの」は建造物扱いにならず、自動車扱いになります。ですので、自宅の敷地内に置いたままのキャンピングカーを離れ家やオフィスとして利用しても、固定資産税がかかりません。旅行などに出かける場合には、キャンピングカーをそのまま使用すればいいので、特に改装することもないですし、「家とは別に自分の空間を持ちたい」という方にはうってつけではないでしょうか。

Mobile House Japan 02

Mobile House Japan 03置きっ放しにせずに、離れ家やオフィスとして利用するのも、メンテナンスの点で良いかもしれません
Via: nytimes.com

日本での移動式ショップの可能性

先にも述べた通り、住居型モバイルハウスと違って、日本での移動式ショップは広範囲にわたります。移動式ショップといえば、食べ物を扱うケータリングカーが一般的ですが、ここではちょっと面白い例を見てみましょう。

去年の10月まで、1986年製のシボレーのバンで本の移動販売をしていた三田修平さん。残念ながら、 現在は車の故障の為、車両の入れ替え準備中とのことですが、それまでの2年間、移動本屋さんとして都内を中心に、多くの場所に出店しました。
三田さんは、普段本を読まない人でも、お気に入りの1冊を見つけてもらえるように、と移動本屋さんを始めたそうです。出店する場所によって販売する本を変えていたという三田さん。「お店にお客さんが行くのではなく、お店がお客さんの近くまで行く、という発想」は、モバイルショップならではの利点ではないでしょうか。

Mobile House Japan 04濃紺の、シンプルなバンが良い味を出しています

Mobile House Japan 05バンの内部には、綺麗に本が並べられています

Mobile House Japan 06ドアから見える本と本棚を見ると、不思議と覗いてみたくなります
Via: Booktruck Facebook Official Page

第2回目でご紹介した、アメリカのSharliaさんのモバイルブティック同様、モバイルショップは店舗を借りる家賃がかからないので、経費が安く済みます。その代わり、公共スペースを利用しての販売なので、行政の許可が必要になってきます。取得する許可は、何を販売するか(食品を扱うのか、本やアクセサリーを売るのか)によって変わってきます。

日本では道路際での移動販売ができないので、空いたスペース(イベント会場や駐車場など)での販売が中心になるでしょう。そういったことを踏まえて、 フリーマーケットや各種イベントからスタートしてみるのもいいかもしれません。各種許可については、イベント、都道府県、市などによって違うようなので、その都度、特定の行政機関に聞いてみることをお勧めします。

日本での車タイプのモバイルハウスの可能性

先の3回の連載でご紹介したこの車タイプのモバイルハウスは、overlandersという、車で世界各国を旅行する人たちの話が中心でした。日本では、こういったoverlandersのように、会社を長期に渡って休んで(または退職して)、車で旅に出るという人はあまり現実的ではないかもしれません。そうなると、日本での車タイプのモバイルハウスは、キャンピングカーや車で行く、短期の旅行やアウトドアに限定されると思います。

そこで、大きなキャンピングカーは金銭的に無理、それに置く場所がないという方向けに、小さめのモバイルハウスはいかがでしょうか。日本RV協会によると、ワンボックスカーをベースにした「バンコン」と、軽自動車のキャンピングカーの需要が年々増えてきているそう。大きいキャンピングカーよりも、機動性の高い小型のモバイルハウスが人気のようですね。

例えば、軽トラックを改造した「ミニポップBee」は、トラックキャンパーのようなキャンパーシェルを乗せた軽トラックです。キャンパーシェルは取り外しできませんが、キャンパー部分にも2人乗れるので、最大4人での利用が可能です。天井部分がポップアップ式なので、寝る際には後部を広々と利用できるのが嬉しいです。

Mobile House Japan 07カラーにバリエーションがあり、内部もオプションで色々つけられるのが魅力のミニポップBee

Mobile House Japan 08天井のポップアップ部分を広げると、内部がかなり広くなります
Via: mystic.ne.jp

普通の車に寝泊まりする場合には、寝泊まりするスペースが限定されるので、第1回目でも話したように、狭い空間をどうやって広く使えるようにするかという点がキーとなってきます。
車の中が狭くて寝られない、という人には、ルーフトップテントを取り付けて寝泊まりするという方法もあります。更に、暑さ対策のためにサンシェードやサイドオーニングがあれば快適に過ごせるでしょう。寒い季節には、多めの防寒具も忘れずに。

Mobile House Japan 09車の上に取り付けられたルーフトップテント
Via: designboom.com

Mobile House Japan 10車の横に取り付け可能なサイドオーニング
Via: gooparts.com

車中泊の旅は、普通の旅行やキャンプでは味わえない時間をもたらしてくれると同時に、気軽に行き先や時間を決められるので、のんびりした旅が楽しめるのではないでしょうか。

全4回に渡ってご紹介したモバイルハウスの特集、いかがでしたでしょうか。海外では一般的になりつつモバイルハウスですが、 「住む=地についた建物」という概念からか、日本ではまだ普及していません。しかし、土地の上に建っているものだけが「家」なのでしょうか。家の形は人それぞれ、それに、「自分がどれだけ快適に住める空間」なのかが重要なのだと思います 。
全4回を通して見てきたモバイルハウスの可能性から、「小さくても自分らしい空間」を持てるヒントになればと思っています。

第1回:移動する住居という新しい選択、モバイルハウスのある暮らし
第2回:アメリカの移動する家、モバイルハウスのある暮らし
第3回:移動する家の可能性、アメリカ以外の世界のモバイルハウス事情

Via:
jrvia.jp(建築基準法)
jrva.com(統計)
magazineworld.jp
jcca.gr.jp
tabiyutaka.info
dornob.com

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Writer アプティグラフト佳菜

アメリカ在住。現在、アメリカの大学にてジャーナリズムを専攻し、学位取得を目指す。普段大学では、社会問題や法律に関係した記事を中心に執筆。

アメリカに移住してからというもの、アンティーク&ヴィンテージのグラスウェアや小物の収集に明け暮れ、他にも、時間が出来ると布小物を製作したり、写真撮影をしたりと、あちこちに手を広げては時間が足りないのが悩み。

将来は、とにかく日本語と英語でどんな記事でも書けるマルチなジャーナリストになれるよう、日々修行中。

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