Local Life @ Okinawa

地域でひとつの本棚をつくる、商店街にある「みんなのほんだな」|Local Life @ Okinawa

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未来住まい方会議をご覧の皆さま、はじめまして。
南の島、沖縄よりコラムを書かせていただく事になりました。真崎莉緒と申します。

沖縄の碧い海に恋い焦がれ、温暖で心地よい気候に魅了され、何度も旅行を繰り返すようになり、ついに引っ越してきてしまいました。
海のそばに住まうこと、地方移住、地方都市の今……ローカルで見つけた様々な情報を皆さんにお伝えしてゆきたいと思います。

“今”のリアルなローカルを

様々な働き方が選択できるようになった現代では、IターンやUターン、地方移住という選択をする人も増えました。しかし、そのハードルはまだ少し高いように感じます。
ローカルで見つけた面白さや魅力を紹介してゆくことで、好きな場所へ自由に住むという選択を、誰もがもっと気軽にできるような未来になって欲しいと思っています。
様々な場所から人が移動してきて住むようになったローカルでは、新しい文化やクールな取り組みが次々と生まれています。今回は、商店街で生まれた街を元気にするアイデアをご紹介します。

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子どもからお年寄りまで。みんなでシェアする本棚

沖縄といえば有名な国際通りがありますが、その裏通りにはたくさんの商店街があります。
細い道にたくさんの店、人、人……。沖縄で一番と言っても良いほど、人が集まる場所です。
那覇市にある中心商店街地域は地元で「マチグヮー」の愛称で親しまれています。「マチ」とは市場のことで、「グヮー」とは親しみをこめて「小さい」ということ。
活気あふれるこの場所では、いつ訪れても「発見」があります。そんなマチグヮーを歩いていて、素敵な取り組みを見つけましたので皆さんにご紹介します。

様々なシェアリングサービスが普及し、近年では多くの人々の生活に取り入れられています。国際通りの裏、パラソル通りの一角にあるアーケード下に「みんなのほんだな」が誕生しました。古き良き空間のなかに生まれたこのサービスは、地元の老若男女に愛され、利用されています。

「みんなのほんだな」とは、1日に3冊まで本を持っていけば本棚にあるものと交換することができる、いわば物々交換スペースです。
商店街の人たちをはじめとして、地域に住む人たちや、時には外国人や旅行者も利用する「みんなのほんだな」には、ジャンルも時代も、そして言語も様々な本たちが並びます。本棚の真ん中には黒板も設置されていて、時には街の情報やイベント案内なども書き込まれたりするとのこと。地域の利用者ひとりひとりの趣味や興味がうつしだされたオリジナルな空間ができるという点でも、図書館とはまた違った良さがあります。

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自分が置いた本が、しばらく経って棚から無くなっていたりすると、見ず知らずの誰かに趣味を共有できたような気持ちになります。地域でひとつの本棚を持つことは、本との出会いだけではなく、これまでは他人同士であった地域の人たちとの距離を縮めてくれるきっかけになるのではないでしょうか。自分の人生を変えてくれたような1冊をこの本棚に置けば、それは手に取った他の誰かの人生を動かす事になるかもしれません。

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地域活性は、自分たちのできることから

「みんなのほんだな」は、商店街の活性化のため様々なイベントや事業を行う、なは市場振興会を中心に運営されています。同会の新里理事長は「自分たちができる範囲で取り組めて、老若男女が気軽に楽しめる。そんなスポットを市場内に作りたい」という想いでこのプロジェクトを進めたとのこと。商店街の人たちと協力し、自分たちの力で持続できるかどうかという事は、地域活性を考えるうえでとても重要です。

この「みんなのほんだな」立ち上げにあたっても、家主や店主の協力を得て、もともとは下駄専門店の陳列ケースだった場所を提供してもらったとのこと。市場で働く人たちと色塗りを手掛けるなど、あまりコストがかからないよう協力しあって作られたそうです。

若い店主が増え、閉じられていたシャッターが開いてきたという商店街。「新旧の店舗が並ぶ独特な雰囲気もこの商店街の味。その味も生かしながら、今後も多くの人が集える魅力あるスポット作りに取り組んでいきたい。那覇発の本棚が全国に広がり、その地域の活性化に役立てばよいと思っている」と新里理事長は語ります。

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読み終えた本を持って「みんなのほんだな」に立ち寄ると、近くで商店を営むご年配の方が声をかけてくださり、その時無人だったこの本棚の使い方を教えてくれました。商店街には、ご年配のおばぁ、おじぃが営む店が多くあります。一方、若い人たちが今回のような取り組みを行っており、商店街全体を巻き込んで街づくりが行われています。沖縄でいう「チャンプルー」は方言で「混ぜこぜにした」というような意味ですが、この場所にもそんな「チャンプルー文化」を感じました。

「みんなのほんだな」の本を手に取る人、近くの椅子で休憩をする人。通りを行きかう人の距離は、どこか近いような気がしました。こうやって作られた人の集う場所では、地域の人たちのコミュニケーションが生まれています。商店街を行き交う学生の中には、通学路を別の道から、この通りにしたという話も出ているそうです。

老若男女、誰でも参加できるこの取り組みを通じて、商店街から離れてゆく若い人たちがまた、この場所へ気軽に足を運び、楽しむことができる。そんな場所になってゆけばよいと思いました。それぞれの家の中にあるはずの本棚を、商店街の真ん中でシェアしてみるという今回の取り組みは、商店街の片隅で生まれた、地域のコミュニケーションを考えるための鍵と言えるのではないでしょうか。

写真提供:なは市場振興会

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