東京の離島暮らし

第4回:東京の島々をつなぐアート「時の航路」| 東京の離島暮らし

石原純子プロフィールアイコン | 2014.9.11
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夏の終わりを感じる夕陽

観光シーズンが終わり、秋の足音と共に静けさが戻り始めました。
新島と伊豆大島では8/30〜9/14まで「第4回国際現代美術展 アートアイランズTOKYO 2014」が開催されています。今年のテーマは「時の航路」。展示場所は小学校や民宿、港の船客待合所などの街角です。
まずは「夏期限定の花火屋」のあいづやさんへ行ってみました。

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独楽さんの作品が目をひく建物も素晴らしいです

こちらのお店は陶芸家の駒ヶ嶺独楽さんのお店です。長年、新島小学校の図工の先生をされていました。現在は世田谷にお住まいなのですが、夏期のみ新島で花火販売、ビーチグッズレンタル、陶芸教室をされています。「未来住まい方会議的」二拠点暮らしをされているのです。
また娘さんの三彩さんも陶芸家で、独楽さんと共にあいづやさんでえほんと雑貨の販売をされています。新島へ来る前に出会い、島でお会いできる日を楽しみにしていました。

こちらのお店との出会いは、7月下旬にお店が開いているのを見かけ、ふらりと立ち寄ったのがきっかけです。その時は「8月の終わりに、華道家の平間磨理夫さんと陶展やるから遊びに来てね。」と教えてもらい心待ちにしていました。独楽さんと三彩さんの器に、華道家の平間さんがいけばなをするといいます。
秋の気配が始まった8/30が公開制作の最終日に、足を運んでみました。

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独楽さんの作品のうち、黒茶色のものには太古からのパワーを感じ、乳白色のものは大地の重みを感じました。実は釉薬に使っているのは新島の砂です。その土地で生み出されたものは、その場所にあると生き生きと輝く気がします。

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日々、白砂を生み出している白ママ断層。日本とは思えない壮大な景色。

「私の作品は裏にあるのよ。」と三彩さんに案内され中庭から住居へ向かうと、和室いっぱいに作品が展示されていました。その作品の想像以上の大きさ、温かさに言葉を失ってしまいました。

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「出舟 入り舟 泊まり舟」と題された作品は、ワイヤーで吊るされた植物達を島とし、陶器の小鳥が羽を休めたり、島を目指したりする様子が作られています。

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「手に取って触っていいからね。仕事の休憩時間に遊びにきてここでゴロリと寝ててもいいよ。」とおっしゃる、三彩さんのお人柄が溢れるこの空間は、本当に居心地の良い場所でした。

窓から見える木々も、額で縁取られた絵画のよう。離島は島自体が大きな美術館のようだと感じます。一歩踏み込めば、外の世界からは隔絶され、独特の文化から生まれた建物や言葉、芸能が心に響いてきます。

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独楽さんと三彩さんの作品に生けられた草花や流木は、平間さんが半径500m以内で集めてきた植物だそうです。私は夏の間仕事が忙しく散歩をしていなかったので、初めて見る植物たちに驚いてしまいました。

「島に来て自然の中にいると、名前の知らない草花ばかりで、自分の無知さ、ちっぽけさを感じました。」と三彩さんに話すと「都会にも多くの植物があるのよ。気付かなかっただけだよ。今度帰った時は見つけられるようになっているから。それだけでも島に来た価値はあるよ。」心に深く残る言葉をいただきました。海外旅行から帰ると日本の良さがわかるように、国内でもそれは同じことなのですね。

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新島にはコンビニが無く、スーパーは午後7時に閉まってしまいます。信号は2つだけだし、夜9時には人通りもなく真っ暗です。島の人は「何も無い所だよ」と言います。でも私は、窓から何も遮ることのない空や海を眺める時、みずみずしい採れたての野菜をもらう時、道端ですれ違った知らない人と話をする時、豊かさを感じます。

心を満たすアートと、豊かさ溢れる島は相性抜群です。新島と大島のみならず、伊豆諸島の島々がアートで繋がる日が来ると良いなと思います。

多くの人や車が行き交い、一晩中明かりや音が溢れる都会へ帰ったとき、私は何を見つけるのでしょうか。三彩さんの言葉を胸に、上京する日が待ち遠しくなりました。

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石原純子プロフィールアイコン

Writer 石原純子

1980年、川崎生まれ。海も山も無い大都会で育つ。「誰かの夢を叶える仕事」に憧れて、高校生の頃より建築を学ぶ。二級建築士。設計事務所や建材メーカーで働く。

憧れの仕事をいくつもできたが、朝から晩まで仕事に追われ体調を崩す。そんな時にヨガと出会い、自分自身と向き合う。「美しい海があって、自然を感じながら生きられる場所で暮らしたい」と気付き新島への移住を計画。2014年4月に移住を果たす。新島でツリーハウスカフェ、ハンモック宿を始めるのが次の夢です。

FB:junko.ishihara.792

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