鶴川団地対談インタビューVol.3 団地の商店街の魅力は? 商店会会長佐藤さんにインタビュー

10月で鶴川団地に引っ越してきて、4ヶ月となるコミュニティービルダーの鈴木さんと石橋さん。

そんなお2人がよく活用しているのが団地内にあるセンター商店街です。スーパーはもちろんのこと、「まさるや」さんでお酒を買って、「千丸」さんでお野菜を買って涼しくなったら焼き芋も……そして「家に帰って作ろうと思っていたのに、美味しそうな匂いに釣られてつい立ち寄ってしまう」と鈴木さんが言うのが「肉の佐藤商店」さん。

今回は商店会会長でもある佐藤さんに、団地のこと、商店会のことについてお聞きしました。

 

団地の歴史とともに歩んできた佐藤商店

鈴木「こんにちは! いつも買い物させていただいています!」

佐藤「ああ、おすずさん。買いに来てくださってるんですか。嬉しいなあ」

鈴木「! おすずって呼んでもらえるの嬉しいです。今日はよろしくお願いします」

佐藤「お願いします」

――佐藤さんは普段、周りの方にはなんて呼ばれているんですか? お店はご兄弟でやっていらっしゃるんですよね。

佐藤「そうですね、お兄さんとか言われますね。でもこの歳でお兄さんは恥ずかしい(笑)」

鈴木「実は、家では石橋と『今日は佐藤のお兄さんがいたよ』って話したりしているんです」

佐藤「すでに呼んでくれていたんですね。ありがとうございます」

――では、早速ですが、まずは佐藤商店のお話を伺いたくて。これまでの歴史や、歩みなどを聞かせてください。

佐藤「団地ができたときからあるので、昭和43年からですね。もともとは川崎駅前にある、約80年の歴史がある宮代商店という大きなお肉屋さんの支店としてここに来たのが最初です。そこの支店の最初の店長うちの父だったんです。

普通、店長と言ったら何年かに1回は変わるものなんですが、父はずっとひとりでやっていまして。で、定年退職を機にのれん分けという形で、佐藤商店になりました。それが平成に代わる直前ぐらいだったかな」

鈴木「昭和43年から、だいたい約20年ぐらいですね。お父様はどれぐらいまで現役でなさっていたんですか?」

佐藤「10年ぐらいかな。肉の職人だった弟と入れ替わった形ですね。最初は私だけが手伝っていたんですけど、母が『忙しくてこれ以上は体を壊してしまう、頼むから戻ってきてくれ』って頼み込んで弟も戻ってきた形になります」

鈴木「当時から繁盛していたんですね」

佐藤「ずっとやっているので、地元の信用はあったと思います。最初は肉だけだったんですけど、時代の流れもあって、コロッケとかメンチカツとか、総菜もやるようになったんです。それが好評だったみたいで。うちの店構えを見てもらうと分かるんですけど、店頭に焼き鳥があって、匂いに誘われた人が店の中を覗く。そうしたらお惣菜があるから中に入ってくるわけですよね。で、視線を移すとお肉が並んでいるので、そうだ、肉屋さんのお肉を買ってみよう、となるわけです」

鈴木「すごい。綺麗な動線づくりがされているんですね」

佐藤「でも、総菜って手間がかかるんですよ。それで母が悲鳴をあげて弟が戻ってきた、となるわけです。でも常に新鮮なお肉と、オリジナルのお惣菜が並んでいるのは、うちの店のいい循環を作ってくれています」

大変なことも多かった商店会会長職 

――佐藤さんは、商店会の会長もされていると思うんですが、就任されたのはどういった経緯だったんですか?

佐藤「最初は大変だろうし、嫌で逃げていたんですけど(笑)会長が代わるたびに、誘われていたんです。それも3回も頼まれて。『大変じゃないよ、会長職なんて簡単だよ』という言葉にちょっとやってみようかと思ってしまったのが運のツキでしたね(笑)」

鈴木「会長さんになられたのは、鶴川団地ができて50周年迎えるときですよね。50周年記念誌も発行されて。大変そう……」

佐藤「あまりにも大変で、妻が『あんたがもし過労死しても商店街は何の保証もしてくれないのよ!』と怒られましたね。そこからセーブするようになりました」

 ――会長さんのお仕事って普段はどういうことされているんですか?

 佐藤「外部とのやりとりと、商店会のとりまとめですね。一応、代表だから必ず僕を通しますから。それで、各担当を振り分けたり、もしくは自分でやるか。あとはやっていることをみんなに知らせたり、大事なことはみんなの意見を聞いて決めていきます」

鈴木「初年度が50周年で、この2年はこういった社会情勢で……ハードな会長業ですよね」

 佐藤「分かってくれますか。そうなんですよ。50周年の記念があってその後にコロナ禍があって平穏の時代じゃないですよね。

そのほかにもっと重要なのが、鶴川団地の建て替えの件もあります。だからやらなきゃいけないなと思って引き受けたのもあったんです。普段の生活や商店街を根底から変えるような内容ですから。そして気づけばそういう役に流されちゃった、という」 

――死活問題ですし、ほっとけないところだったんですよね。

佐藤「そうなんですよね。どんなに商店街がにぎわっていたとしても、お店自体を団地内で継続するそうでないか決めてください、出てくださいって言われたら、商店街としては継続できなくなります。大きなスーパーができて残ったいくつかのお店が端っこにあって『昔は商店街があったんだけどね』と話すようになるのはあまりにも寂しい、と思ったんですよね」

鶴川団地で育った佐藤さんから見た団地の魅力

――佐藤さんから見た鶴川団地の魅力もお聞きしてみたいです。

 佐藤「団地、大好きですよ。団地にしか住んだことがないし、2歳のときからここで育って……あ、生まれたのは母の故郷だったので、町田鶴川で生まれたわけじゃないんですけど(笑)おすずさんはこれまでも団地に縁があったんですか?」

鈴木「おばあちゃんが団地に住んでいて、遊びに行くところ、という意識でした。孫としておばあちゃんちに面倒を見てもらっていたので、私の中では育ててもらった時間が多いですね」

 佐藤「そういう、団地が故郷みたいになってる人も結構多いですね。もともと団地に住んでた人が、子どもが生まれて外にでていって孫を連れて遊びに来る感じですね。代替わりして、団地内に新しい人が住むと団地も活性化するんですよね。でも、たまに遊びには来てくれても、なかなかそこに住むっていうわけにはいかない。次の世代の人に住んでもらわないと、空室が増えるだけでやっぱり寂しいですよね」

 ――鶴川団地でここが特徴だな、というところはありますか?

 佐藤「わかりやすいですよね、鶴川団地は。5丁目の賃貸がバーッと大きいのがあって、分譲で2丁目と6丁目がこのセンターを囲むように広がっている。コンパクトな形で商店街が一つポンとここにあってそこにセントラルさんの民間の商店街があって……。生活がこの中だけで完結してるんですよね。うちの母がよく言ってるんですけど、ここはもう便利で歩いて行けばすぐスーパーあるし、何でもあるから、もうほかは出なくてもいいわ、って」

――暮らしがひとつの団地の中で成り立つというのが魅力ですね。

 佐藤「そうですね。昔は団地の隣に総合病院もあったんですよ。弟はそこで生まれたんです」

 鈴木「へえー!」

佐藤「昔は銀行も団地内にあってし、病院も、郵便局、図書館もなんでもあって、というところだったんですよね」

――これから商店街と団地住民の関係性で理想の形はありますか?

佐藤「商店街といっても、個人店舗の集まりなんですよ。個人店舗というからには、それぞれの個性があります。今22軒の店があるんですけども、全く別の性格を持っているので、それぞれのファンがいる感じですね。昔住んでいた人が訪ねてきてくれることもあります。戻ってこられる場所があるという安心感があるのかもしれないですね。住民と商店街全体としてというより、住民と各お店との関係になると思います」

――確かに。ひとつひとつのお店との相性がいい人がここに来ている、ということですね。

 佐藤「他のお店の魅力を知ってもらって、そのお店の他の店のファンにもなってもらいたいというのは商店街としては、願いではあるんですけどね。実はスタンプカードも作っているんですけど、全部1つのお店だと使えないんですよ。どこか1カ所でも他のお店のスタンプがないといけない。他のお店の魅力を知ってほしくて作ってみたんですが、なかなか難しいですね」

鈴木「お店同士でコラボレーションするというのはどうなんですか? 例えば、コロッケパンとか」

佐藤「パンをパン屋さんで買って、うちで買ったコロッケを挟むような。自然にやっている人はいますね(笑)あと、うちのポテトコロッケは、ジャガイモを隣の八百屋さんから買っているので、自然にコラボしていますね」

鈴木「これはあそこのお店から仕入れたものなんだ、というのを知ったら、自分がお気に入りのお店から紹介してもらったみたいで、安心して買い物に行けるかも、なんて思ったりもしました」

佐藤「なるほど、そのアイディアいいですね。何かのきっかけになるかもしれないですね」

鈴木「商店街に好きなお店が多いので、知りたいという気持ちがあるのかも。ここにもおいしいお肉があって、野菜があって。その組み合わせで今日お酒に合うお供は何を作ろうかな、って」

佐藤「そういえば、お酒を買って、うちで焼き鳥を買っていくという人もいます。それもコラボレーションかもしれないですね」

おすずさん、もっと目立って!

――最後に佐藤さんから、鈴木さんとあと石橋さんに何かメッセージがあれば。

佐藤「せっかく若い人が住んで活動してるんだから、わかりやすいといいですよね。もうコミュニティービルダーって書いてあるTシャツなんかもトレーナーでも着てほしいぐらい」

 鈴木:「TシャツにでっかくCB(コミュニティービルダー)って書こうかな」

 佐藤:「おすずさんたちはさりげなさすぎるんですよ。団地に溶け込みすぎてる。もうちょっと目立ってください。恥ずかしいと思いますけど」

 鈴木:「がんばります!また今度、お肉いっぱい買いに行くのでよろしくお願いします」

 佐藤「お待ちしています」

鈴木さんと石橋さんが改造中のお部屋の写真を佐藤会長に紹介したり、以前、鈴木さんが住まわれていたシェアハウスの話で盛り上がったりとすっかり打ち解けたご様子のお2人。「もっと目立ったほうがいい」という佐藤さんのアドバイスをもとに、鈴木さんは「赤のTシャツを着て目立とうかな」とのこと。鈴木さん、そして石橋さんの姿を見かけたら、ぜひ声をかけてみてくださいね。

 

佐藤商店

住所:鶴川6-7-2-106

電話:042-735-5145

Fax:042-735-3753

定休日:木曜日
営業時間:10:00~19:00
※焼き鳥は火、金~日のみの販売