SCV Complex Cabinsは、ONA – Oficina Nómada de Arquitecturaがアルゼンチン・メンドーサ州ルハン・デ・クージョのラス・コンプエルタスに手がけた小屋だ。敷地は幅16m、奥行260m。細い帯のような土地が、山の方角へまっすぐ伸びている。
事務所の名前にある「Nómada」は、遊牧を意味する言葉だ。ひとつの場所に根を張るのではなく、土地ごとに向き合い方を変えていく。そんな構えを名に掲げるつくり手が、この一風変わった敷地をどう読み解いたのか。まずは、その土地の成り立ちから見ていきたい。
幅16m、奥行260mという土地
幅16メートルに対して、奥行きは260メートル。数字だけを並べても、この敷地がどれほど細長いかが伝わってくる。
正面から見れば間口は控えめなのに、奥へ歩けばどこまでも続いていく。そういう土地には、広さとは別の豊かさがある。
道から離れるほど、町の気配は薄れ、山の輪郭が近づいてくるのだろう。一本の土地の中に、距離そのものが体験として埋め込まれている。
町と観光回廊のあわいに建つ小屋
ラス・コンプエルタスは、大メンドーサの都市の縁と、ポトレリージョス・ダムへ続く観光回廊との境目にあたる。
町の暮らしが終わり、旅の風景がはじまる。その移り変わりの途中に、この小屋は置かれている。
完全に人里を離れるわけでも、町の中に埋もれるわけでもない。境界の土地だからこそ、日常と非日常の両方にほどよく手が届く。それは、小さな宿や拠点を考えるうえで、ひとつの理想的な立ち位置かもしれない。
在来の植物と、メンドーサの山並み
敷地のまわりには、在来の植生が広がっている。緩やかな斜面があり、自然の水路が流れている。
人の手で整えられた庭ではなく、もともとこの土地にあった草木と地形。それが、すぐそばの環境をかたちづくっている。
そして視線を上げれば、メンドーサの山並みが大きく開ける。細長い敷地の奥行きと、遠くの山の広がり。近くの足もとと、はるかな稜線とが、ひとつの風景の中で重なり合う。
写真はLuis Abbaによるもの。建築そのものを語る前に、まずこの土地の気配に耳を澄ませたくなる場所だ。
細長い土地、境界の立地、手つかずの植生、そして山への眺め。SCV Complex Cabinsを取り巻く条件は、どれも「広さ」ではなく「奥行き」や「つながり」に関わるものだ。
日本の町家もまた、間口が狭く奥に長い土地の中で、光や風、庭との距離を丁寧に編んできた。限られた幅の中にこそ、豊かな暮らしの余白は生まれる。遠いアンデスの麓の小屋は、そんなことを静かに思い出させてくれる。
SCV Complex Cabinsのデータ
- 物件名:SCV Complex Cabins
- 設計:ONA – Oficina Nómada de Arquitectura
- 国:アルゼンチン
- 地域:メンドーサ州ルハン・デ・クージョ、ラス・コンプエルタス
- サイズ:敷地 幅16m×奥行260m
- 写真:Luis Abba
SCV Complex Cabinsのよくある質問
Q. SCV Complex Cabinsはどこにある?
A. アルゼンチン・メンドーサ州ルハン・デ・クージョのラス・コンプエルタスにある。大メンドーサの都市の縁と、ポトレリージョス・ダムへ続く観光回廊との境目にあたる場所だ。
Q. SCV Complex Cabinsを設計したのは誰?
A. ONA – Oficina Nómada de Arquitecturaが手がけている。写真はLuis Abbaによるもの。
Q. SCV Complex Cabinsの敷地の広さは?
A. 敷地は幅16m、奥行260mの細長いかたちをしている。
via: https://www.archdaily.com/1040655/scv-complex-cabins-ona-oficina-nomada-de-arquitectura
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