Red Submarine Cabinは、Wiki Worldが手がけたモジュール式のタイニーハウスだ。一棟ごとに建てる家というより、空間のシステムとして設計された「キャビン製品」として生まれている。
つくり手はこれを「Plug-in for the Wild」、つまり野生のためのプラグインと呼ぶ。デジタルファブリケーションの精度と、遊牧民のような自由な精神。その二つを重ね合わせたところに、この小さな住まいは立っている。
野生のためのプラグインという発想
プラグインという言葉が面白い。電源に差し込めばすぐに動き、要らなくなれば抜ける。そんな気軽さを、住まいに持ち込もうとしているのだ。
Wiki Worldが掲げるのは、高性能であること、ゼロフットプリントであること、そしてプラグアンドプレイであること。土地に重い基礎を打ち込み、長い工期をかけて建てる家とは、そもそもの前提が違う。
崖の上でも、森の奥でも。地球のいちばん辺鄙な場所に、傷あとを残さずに住まうことができるとされている。「とても無理だ」と思っていた荒野の家を、すぐに現実にする。それがこのキャビンの約束だ。
デジタルの木でつくるタイニーハウス
その軽やかさを支えているのが、Digital Woodと呼ばれる技術だ。木という古くからの素材を、デジタルファブリケーションの精度で扱う。
あらかじめ正確に加工された部材だからこそ、現地での手間を減らし、組み立てと設置を身軽にできるのだろう。手仕事のぬくもりと機械の正確さは、ここでは対立するものではない。
また、素材や機能にはいくつもの選択肢が用意されている。置かれる風景が変われば、求められる住まいも変わる。モジュール式の空間システムとして設計されているのは、そうした多様な土地に応えるためでもある。
Red Submarine、赤い潜水艦という名前も印象的だ。深い海へ静かに潜っていく乗り物のように、人を自然の奥へと連れていく。そんな想像をかき立てる響きがある。
痕跡を残さず、地の果てに住まうこと
自然の中に家を置くとき、いちばん気がかりなのは、その土地を傷つけてしまうことかもしれない。Red Submarine Cabinは、その問いに「残さない」という答えを出そうとしている。
訪れて、住まい、また去る。あとには元の風景が戻る。所有するのではなく、しばらく借りるように土地と関わる感覚だ。
タイニーハウスの魅力は、小ささそのものよりも、小さいからこそ得られる自由にある。このキャビンは、その自由を「どこにでも行ける」という方向へ、思い切り伸ばしてみせた。
かつて日本にも、組み立てて運び、また別の場所へ移せる小さな庵に暮らした人がいた。土地に根を張らない住まいは、案外わたしたちの感覚にも近いのかもしれない。
重い家を背負わず、風景にそっと差し込むように暮らす。Red Submarine Cabinは、そんな住まい方の可能性を、荒野の片隅から静かに示している。
Red Submarine Cabinのデータ
- 物件名:Red Submarine Cabin
- 設計:Wiki World
- 写真:Xhot
Red Submarine Cabinのよくある質問
Q. Red Submarine Cabinは誰が設計したタイニーハウス?
A. Wiki Worldが設計したモジュール式のキャビン製品だ。モジュール式の空間システムとして構想されている。
Q. Red Submarine Cabinはどんな技術でつくられている?
A. Digital Woodと呼ばれる技術によるデジタルファブリケーションでつくられている。
Q. Red Submarine Cabinはどんな場所に置ける?
A. 崖の上や森の中など、辺境の地にも痕跡を残さず設置できるとされている。ゼロフットプリントでプラグアンドプレイの住まいを掲げている。
via: https://www.archdaily.com/1184634/red-submarine-cabin-wiki-world
関連:トレーラーハウスの記事一覧/小屋の記事一覧/タイニーハウスの記事一覧