第3回:モロッコのコセマでお料理も美しく|デザインと料理にかこまれて

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皆さん、暑い夏を楽しまれているでしょうか?こんな暑い季節にはスパイスの効いたお料理が食べたくなります。
スパイスというと、インド料理を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、私の親しみのあるモロッコ料理でも優しい味わいのスパイスをいくつか使用します。

モロッコと言えば、絶妙な色の組み合わせが素敵なインテリアをたくさん見かけます。
街を歩くと、街全体がブルーで彩られたシャフシャエン、ピンクの街マラケシュ、言わずと知られた白い街カサブランカ。

どの都市も歩いてみると、家のドアのかわいさに気がつきます。少しくすんだ渋い、でもさまざまな色で塗られたかわいくておしゃれなドアたち。
思わず、そのドア、日本に持って帰りたいなぁ、なんて思わせるほどの個性的、かつ印象的な色使いと形のドアを見かけるモロッコです。

そんな色使いが上手な国、モロッコ。
今日はモロッコのキッチンではおなじみの、とても洗練されたデザインが素敵なコセマについてご紹介したいと思います。

コセマはフェズにあった老舗の陶器メーカーでした。
過去形になっていますが、実は残念なことに数年前の工場の火事が原因で工場が閉鎖されてしまいました。

その美しいイスラムのモザイクの装飾やトゥアレグ模様をモチーフにしたデザインが人気をよび、今でも多くのモロッコの家庭で愛され続けていますが、工場閉鎖により、マーケットなどでコセマを買う事ができなくなってしまいました。
ときどき、ふと迷い込んだマーケットで偶然コセマに出くわすこともありますが、とっても高い!
店のおじさんもコセマが貴重ということを重々承知していて、驚くような値段を言ってきます。値引き交渉が得意なわたしでもコセマに関してはおじさんたちに連敗です。

わたしはモロッコを訪れる前からコセマに魅了されていたので、モロッコでコセマの専門店を見る度にお店ごと買い占めたい、なんて恐ろしい願望が(破産しちゃいます)頭の中を何度も駆け巡ったものです。

今思うと、その時、たくさん買い占めておけばよかったなぁ、という思いでいっぱいですけどね(笑)
今でもモロッコを訪れるたびに、コセマとの偶然を楽しみに、マーケットをぶらぶらと歩くのが好きです。

コセマはモザイクのデザインの美しさ、タイルを表している四角と四角の色の組み合わせのかわいさが特徴で、わたしはどのデザインも大好きなのですが、その中でも特にトゥアレグ族のモチーフを表現したデザインが大好きです。

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トゥアレグ族はベルベル系の遊牧民で、青いターバンと民族衣装を着用することから青衣の民として知られています。わたしは、お料理でもベルベル民族の伝統的なものが結構好きなのですが、デザインでもやはりベルベル系のデザインが好きなんだなぁと思いました。

トゥアレグ族の文字は「ティフィナグ文字」と呼ばれていますが、なんだかコロンコロンとしていてとってもかわいい。
モロッコでは今でもこの文字を教えている小学校があるそうです。
トゥアレグ族は自分たちの民族アイデンティティを主張するためにこの「ティフィナグ文字」を使用するのだとか。

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さて、このコセマですが、ブルーを基調とした色使いが主で、そのブルーがまたなんとも言えず心に残る色合いなのです。
人々はこの青をベースとしたお皿をフェズブルーと呼びます。
フェズで生まれた青のお皿。

青いお皿はお料理をとても美しくみせてくれます。ルッコラ、エンダイブ、レッドマスタードなどのベビーリーフにたっぷりの砕いたクルミをのせてヴィネグレットソースを。
そんなグリーンがたくさんの色あいにもおすすめ。

ニンジンをチーズおろし器ですりおろし、マスタード、オリーブ、白ワインビネガーを混ぜ合わせたドレッシングに漬け込んだ鮮やかな色が食欲をそそるサラダに、深いパープルが美しいビーツのサラダ。
そんな鮮やかな色合いのお料理にも青いお皿は美しく存在を主張するのです。

にんじんらぺ
モロッコでもなかなか巡り会えないコセマ。日本ではなおさらでしょう。
もし偶然に出会う事ができたあなた、とてもラッキーですヨ!

【お知らせ】
2014年10月25日「MOROCCAN COOKBOOK Night and Day」(momo book)が発売。
素材の味を生かしつつ、体に良いスパイスを使うモロッコ料理。4種類のスパイスを使用してモロッコ料理を作りましょうということでとっても簡単に作れるお料理を(でも味は本格的!)たくさん紹介しています。
もっともっとモロッコ料理のおいしさが日本に広まりますように。

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