【イベントレポート】学びと余暇が溢れる団地で見つける、豊かな日常のヒント まちやま まるごと スコーレvol.1

みどりが溢れ、遊歩道やいくつもの公園が整備された、穏やかな暮らしが根付く「町田山崎団地」を舞台に、団地に住まう人とまちの人、大人とこどもが入りまじり、心地いい日常を共にうみだしていく「まちやま プロジェクト」が、UR都市機構×YADOKARIの連携でスタートしました。

プロジェクトの第一弾イベントとして、8月2日(金)〜8月5日(月)の4日間で開催された「まちやま まるごと スコーレ」。広々とした敷地や多様な人が行き交う団地の魅力を活かし、暮らしの可能性を見つけていく実証実験です。今回はそのイベントの様子をレポートしていきます!

「まちやま まるごと スコーレ」とは?

「スクール(”学校”)」の語源となったギリシャ語の「スコーレ」には”余暇”という意味があると言います。

土地に根付いた知恵や、誰かの生きた物語。答えのない問い、余白の時間と対話。人々の暮らしが交差する団地には、学校や仕事場での学びだけではない、人生の大切な気づきがすぐそばにあるのではないかと感じます。

忙しない日々の中で少し立ち止まり、人生の「学び」や「余暇」をテーマに、おとなもこどもも入りまじりながら、団地でのこれからの過ごし方を実験するイベントが「まちやま まるごと スコーレ」です。

暮らしのそばで新しい体験ができる、個性豊かな出店の数々

4日間にわたって開催した当イベントでは、大きく3つの企画が準備されました。

・人生の学びや知恵が循環する「体験マルシェ」
・団地の名店会、近隣の桜美林大学とのコラボレーション企画
・音とリズムで感性を広げる「音楽ライブ」

まずは、ものづくりやアートのワークショップなどが集まった「体験マルシェ」。
今回のイベントのテーマである、”余暇と学び”にぴったりなワークショップを連日楽しむことができました。会場は町田山崎団地センター広場とぽんぽこ広場の二か所、お散歩や商店街でのお買い物がてら、気軽に新しい体験ができます。
その中から、いくつかの企画をご紹介します!

こちらは「テヅクリスト」による竹笛作りのワークショップ。好きな竹笛を選び、自分で絵柄をつけることができます。出来上がって吹いてみると、笛の長さや太さで音の違いが分かって面白いです。

笛は防災グッズにも活用できるので、こどもだけでなく、大人の方にも人気があるそうです。手を動かしている間に自然と生まれる雑談の中にも、小さな発見がありますね。

完成したらみんなで竹笛セッション!和やかな瞬間に立ち会えました。

にぎやかなポップが気になるこちらは、「藝術一座 Fiction / The End 」による似顔絵のブースです。

占いなど様々な要素を掛け合わせて作る、オリジナルの「開運 にがおえ」を描いてもらうことができました。会話を交わしながら、似顔絵と共にその人に合った言葉が添えられていく様子に、みなさん興味津々で立ち止まっていかれます。

長年、町田山崎団地にお住まいの方も、イベントのチラシを見て遊びに来てくださっていました。

素敵な仕上がりに、周りの人たちと共に「わぁ〜!」と歓声が上がります。墨と朱で書かれた似顔絵はお札のようで、不思議なパワーを感じます。

今を生きる自分の姿を、絵と言葉で表現してもらえる機会はあまりないので、気づいていなかった自分の一面に出会えそうです。

“自分と向き合う”といえば、対話ができる珍しいワークショップも。

人と会話をするときの癖や特性が分かる心理テストを交えながら、好きなテーマについて話すことができます。

客観的な意見を聞きたい話題を出してみるのも良し、ただ今の気持ちを話すだけでも大丈夫。普段の暮らしの中でも、近くにふらりと立ち寄って雑談ができる場所があると、なんだかホッとするな〜と思いました。

そのお隣には、レジンの小物を手作りできる「URETANO(ウレタノ)」のブースがありました。カラフルなパーツを見ているだけでも、トキメキが止まりません…。

紫外線で固まるというレジンの性質に着目して、夏の自由研究にする小学生もいるそうです。
こんなに可愛くて楽しい夏休みの宿題、大人も一緒にやりたくなっちゃいます!

こちらは「まるはち一箱古本店」による、ちゃぶ台を手作りできるワークショップ。DIYを始めたいという気持ちはあっても、場所に困ったり、工具が無いとハードルが高く感じたりするので、団地の広場を活かして気軽に体験できるのは嬉しいです。

店主の方も「団地のみんなで使えるベンチや、キエーロ(生ごみを分解する土を入れたゴミ箱)を作るのも良さそう」とお話してくださり、未来へのアイデアも膨らみます。

他にも楽器づくり、ペーパークラフト、万華鏡づくりなど、種類豊富なワークショップが連日開かれ、学びと発見の詰まった体験マルシェでした。

こども店長のいる駄菓子屋さんやキャンドルの灯る商店街、町田山崎団地の個性を活かした企画

「まちやま まるごと スコーレ vol.1」では、4日間を通して山崎団地名店会の方々とのコラボレーション企画も行われました。

1日目には団地の商店街にお店を構える「キャンドルStudio Lepta」による、キャンドルナイトが開催。こどもたちが自由に描いた絵をまとったキャンドルを並べて、優しい火のゆらめきを楽しむ参加型のイベントでした。

夕方頃から、イベントに参加したこどもたちと一緒にキャンドルを並べて準備をしました。楽しそうに自分の描いた絵をキャンドルに貼り、お店の前に並べる姿や、点灯までの時間を親御さんと一緒に心待ちにする姿が印象的でした。

絵を描くという形で実際にキャンドル制作に参加したからこそ、灯りが灯ったときの嬉しさや感動は大きいものだったのではないかと思います。

「これまでも、3回ほど地域で開催をしたことのあったキャンドルナイト。商店街の方と何かコラボレーションを出来ないかとお話をいただいた際に、是非またキャンドルナイトをやりたいと思いご提案させていただきました。

以前からお子様でも参加できるイベントを開催したいと思っていたのですが、火を扱うとなるとなかなか難しくて。

今回は、キャンドルを装飾する絵を自由に描ける仕組みにして、お子様も楽しめるキャンドルナイトを考えました。1対1の関わり合いを大切に、一緒に準備をすることで、イベントに参加していることをより深く感じていただけたと思います。」(キャンドルStudio Lepta 丹さん)

2日目は商店街のおもちゃ&駄菓子店「ぐりーんハウス」とのコラボレーションで、近隣に住むこどもたちが駄菓子屋の1日店長にチャレンジしました。広場に設置されたタイニーハウスでの、プチ出張出店です。

出張駄菓子屋さんの舞台となるタイニーハウスを覗くと、「いらっしゃいませ!」とこども店長の子が元気な声で迎えてくれました。

事前に応募してくれたこどもたちが1時間交代で、店長のお仕事を体験する企画です。

ぐりーんハウスの店長・除村さんのアドバイスを聞きながら、商品のディスプレイも自分たちで考えます。みんなとっても真剣です!

店長をしている間のこどもたちは、どこか誇らしげな顔をしていて、とっても逞しく見えました。

「今回初めての試みで不安な部分もありましたが、事前の応募もすぐに定員に達して驚きましたし、嬉しかったですね。

ぐりーんハウスはシェアキッチンの運営など、大人も楽しめるお店作りもしているのですが、やっぱり中心にいるのはこどもだと考えていて。創業から50年間、ずっと地域のこどもたちのオアシスで在り続けているので、それはこれからも守っていきたい精神です。

今回もこどもが主役に立って、駄菓子屋さんの疑似体験をしてもらえたので、ぐりーんハウスらしい企画を一緒に作れたんじゃないかなと思います。」(ぐりーんハウス店主 除村さん)

町田山崎団地のお隣、桜美林大学のファッションショーサークル「unlimited」のみなさんも今回特別にタイニーハウスで出店をしてくれました。舞台の衣装をつくるときの端布をつかったトートバックづくりのワークショップ。学生のみなさんの明るさとエネルギーもさることながら、イベント開始から終了時間をすぎるまで人が途切れない、大人気の企画でした。

また、4日間を通してUR都市機構のみなさんによる水遊びエリアが大人気!イベントのスタートとともに親子が集まり、こどもたちとスタッフの方々が楽しそうに遊ぶ姿が印象的でした。

青空の下で歌って踊って、穏やかな夕日に包まれたフィナーレ

最後にご紹介するのは、町田山崎団地センター広場の会場で行われた音楽ライブの様子です。町田周辺を拠点に活動されているミュージシャンを中心に、全部で7組のアーティストが会場を盛り上げてくれました。

1日目は相模原市出身のシンガーソングライター、かわぐちシンゴさんが登場。金曜日の疲れを癒し、穏やかな気持ちになれる45分間。日が落ちてゆく中で1日の終わりを感じながらのシンゴさんのライブはとても心地の良い時間でした。

「僕は普段音楽をする中で、日常の中の音(虫の鳴き声や風の音など)を楽しむことや、時に取り入れることなど、音楽の中に”余白”を作ることを大切にしてきたので、イベントのテーマや込められた想いに賛同する気持ちが強くあったんです。
そのため、お話を聞いた時に『是非演奏したい!』と思い参加させていただきました。」(かわぐちシンゴさん)

“その子の個性を引き出す音楽夫婦ユニット”として、楽器作りのワークショップや、作った楽器で一緒に楽しめる演奏会などを開いている、スイートハンドのお二人。誰でも参加できる遊び歌が始まると、自然とこどもたちが集まってきました。静かに耳を傾ける子、前に出て一緒に歌う子など、自由気ままな空気が流れます。

バラフォン( アフリカン木琴)DUO ユニット、ウォン カタ ウォノマのお二人は、アフリカ音楽に乗せて全身を使ったライブを披露してくれました。

二人が奏でるパワーが湧き出てくるようなリズムに合わせて、一緒に身体が動き出します。終盤にはみんなが立ち上がり、思い思いにダンス!陽の光を浴びながら、音に合わせて大地を踏み締める、夏バテも飛んでいってしまうようなパフォーマンスでした。

神奈川を中心に活動する、カホンと呼ばれる箱型の打楽器のアンサンブルトリオ、T.M.Rのパフォーマンスも圧巻!今回の「スコーレ(学び)」のテーマに合わせて、様々な打楽器を体験できる時間もあり、全員で一体となって演奏をつくる貴重な経験ができました。

センター広場を飛び出して、商店街やぽんぽこ広場まで盛り上げてくれたのは、故郷である町田を拠点に活動する、町田出港バンドのみなさん。獅子舞とチンドン屋が練り歩き、大人から子どもまで、思わず一緒になって踊りたくなるような心に残るパフォーマンスでした。

4日間の最後を飾ってくれたのは、町田山崎が地元だという夕日ビールさん。心に染み渡る歌声とドラムの音色に聴き入っていると、空には美しい夕日が。子どもたちがはしゃぐ芝生の広場で、大人がしっとりと耳を澄ませて音楽を楽しみ、踊りだし、フィナーレにふさわしい感動的なシーンとなりました。

まとめ

「団地に住む方々がお客さんとして来るだけじゃなく、出店者としてもどんどん参加できるようになると面白いですよね」

「子どもと大人がそれぞれ楽しめる機会が日常にあると、住みたくなりますね」

たくさんの人の力が合わさり、無事幕を閉じた第一回目のまちやままるごとスコーレ。それぞれの企画を楽しんでくださった地域の方々の姿、名店会や出店者のみなさんとの交流やアイデアの中に、団地の広場を活用するヒントがたくさん見つかったように思います。

太陽をいっぱい浴びながらみなさんと過ごした団地の夏。
長年愛されている夏祭りや防災イベント団地キャラバンなど、多くの楽しいイベントがある町田山崎団地ですが、団地ならではの暮らしの豊かさや人のつながりを感じられる日常の魅力を味わうことのできた4日間となりました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!

【第二回も開催決定!】
11/30(土), 12/1(日) の2日間、町田山崎団地ぽんぽこ広場にて第2回目となる実証実験イベント「まちやままるごとスコーレvol.2」を開催します。次回も個性豊かな出店や、音楽やワークショップが盛りだくさんなので、ぜひ足を運んでみてください!