長く使う道具を自分でつくる
人によるかとは思うのですが、モノがたくさん溢れている空間よりは、機能的なものが適度に揃っている空間に心地良さを覚える方は多いのではないでしょうか?とはいえ、日常生活の中では、つい散らかしがちになってしまうこともしばしば。
必要なモノを吟味する
機能的で居心地の良い空間を維持するには、そもそも散らかる原因になるモノをあまり持たなければいいのではないか?と散らかしがちな私は思うようになり、最近ではあまりモノを買わないようになりました。その分、何かを購入する際には、今まで以上に吟味をするようになりました。(今でも「一目惚れ」で購入してしまう時も無いとは言えませんが)
吟味するプロセスも楽しい
忙しくて時間があまり無い時や、早急に必要なモノがある場合は、吟味する余裕が無い時もあるかもしれませんが、できればその吟味する行為も、購入の一つのプロセスとして愉しみたいものです。吟味するプロセスで、完成するまでの作業や背景のことを知ることができることもあります。
今回は、そのプロセスを楽しんだ一例として、『モーラの家』の看板を制作(発注)した時のことを少々お書きしたいと思います。
鎚起銅器との出会い
『モーラの家』の看板をどうしようか考えている時に出会ったのが鎚起銅器で制作された表札でした。鎚起銅器とは、平らな銅板を叩いて、立体的な器やお鍋などの道具にしていくものです。カップやヤカンなどの道具としての鎚起銅器は拝見したことがあったのですが、表札や看板を拝見したのは、この時が初めてでした。
手に入れる喜び、使う喜び、作る喜び
「素敵だな〜」と思ったモノは、最初は購入して入手したくなるかと思いますが、「素敵だな〜」と思ったモノが多少不格好でも自分でも作れるとしたら、「手に入れる喜び」や「使う喜び」に「作る喜び」もプラスされて、さらに楽しいのではないかと思います。
そんなことで、最初は購入させていただいたことから始まった鎚起銅器を、自分でも作成してみる機会を得ました。
銅板を叩いていくという単純作業ですが、一気に丸みをつけようとしても上手くいかず、銅板の面にきちんと金鎚が当たるように、除々に銅板を動かしながら、無駄な力を入れずにコツコツと叩いていきます。
簡単なようで難しく、改めて職人さんの技と手間を感じました。
大橋さんの制作プロセスは、こちらの動画でご覧いただくことができます。
自分で制作したものの完成は、もちろんプロの方と同じようにはなりませんが、それでも自分で作ったものというのは、妙な満足感と愛着が生じます。日頃使う道具の一つに、そういったモノがあるのもなかなか楽しいものです。それに、購入するにはちょっと手が届かないものでも、自分で制作すれば手に入れられる可能性が高まります。
そろそろ銅板を叩いてみたくなってきた方もいらっしゃるのではないでしょうか?(笑)
大橋さんによる鎚起銅器の制作ワークショップは新潟県内を中心に、定期的に開催されています。小皿以外にもお鍋を作る時もあります。銅は熱伝導性が高いので、火にかけるとすぐにお湯が湧き始めます。寒い夜に活躍をしてくれそうです。
職人さんによって丁寧に作られたものや、自分で作ったものは、いずれも長く大切に使っていきたくなるものです。生活の一部にでも、そういった器や道具があるのは、ちょっとした潤いになると思います。
鎚起銅器職人 大橋保隆
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2014年3月7日(土)に、新潟県燕市にある大橋さんの工房で鍋づくりワークショップが開催されます。新潟は遠いな〜という方は、(金鎚で銅板を叩くため)音を出しても良い会場があれば、大橋さんが出向いワークショップをしてくださることもご相談可能だそうです。