暮らしを心地よく整える。「ホリスティックインテリア・デザイン」という考え方
新型コロナウイルス感染症の流行以降、リモートワークが定着し、多くの人が自宅とオフィスを組み合わせて働いている昨今。働き方や暮らし方について見直す機会も増えてきている。
そんななか、自分の過ごす空間を心地よくするアイデアとして注目したいのが、「ホリスティックインテリア・デザイン」だ。
ホリスティックインテリア・デザインとは?
ホリスティックインテリア・デザイン(ウェルビーイングデザイン)とは、心身の健康(ウェルネス)を考えたインテリアデザインのこと。
普段多くの時間を部屋などの「空間」のなかで過ごす私たちにとって、その空間が、たとえば仕事のパフォーマンスを左右したり、リラックスできるかストレスを与えるかに関わったり、生き方に影響を及ぼすこともある。
ホリスティックインテリア・デザインでは、生物学や色彩心理学、人間工学など、学問的な分野もさまざまに組み合わせながら、暮らしの空間を「ホリスティック(全体的)」に整えていく。
ホリスティックインテリア・デザインの哲学に基づいた、心地の良い空間づくりに役立つアイデアをいくつか見ていこう。
自分が大切にしている価値観を考える
ホリスティックインテリア・デザインを取り入れる時に重要なのは、「自分にとって何が大切なのか」を考えること。
たとえば、北欧の家具や木をベースにしたナチュラルなテイストが落ち着くのか、モダンなテイストが好きなのか。どんなカラーが好きなのか。お気に入りの家具があるのなら、その家具を中心にしてみてもよいかもしれない。
大切にしたい部分がはっきりしてくると、つくりたい空間の方向性が見えてくる。
シンプルで機能的に
部屋が散らかっていると、集中力が欠けたり、知らず知らずのうちにストレスにさらされることも。これは研究でも明らかになっており、プリンストン大学の神経科学者による2011年の研究では、家の中が散らかっている環境に住んでいると、集中力や情報処理能力を妨げることが報告されている。
そのため、ストレスをなくすには、シンプルかつ機能的な空間づくりが重要になってくる。
たとえば、家の中で移動する時にどういう動線を使うのか。何か欲しいものがある時に、それが本当に必要なのか、ずっと使っていたいものなのか、ゆっくり考えてから買ってみるのもいいかもしれない。
サステナブルな空間づくり
ダイニングテーブルやベッドなど、一度買ったらなかなか買い換えないものは、長期的にそばにおいておきたいかどうか考えること。少し大げさかもしれないが、一生使っていても飽きないくらいのものが理想だ。
大きな家具をしっかり決めれば、ライフスタイルが変化してもずっと使うことができる。
心が落ち着く照明
空間づくりの中で欠かせないのが照明。私たちの体が自分で覚醒と睡眠のサイクルを調節するために、光はとても重要な働きを担っている。
日中は太陽の光を最大限に活用し、夜は暖色のライトを利用するなどして、体が健康的なサイクルで生活できるように整えることができる。
自然とつながる
人間は本能的に自然とつながっていたいと感じる欲求がある。イギリスの科学誌Natureによると、人は1週間に120分以上自然のなかにいることで、幸福感を得られたり、健康的になると報告されている。生き生きと過ごすことで、生産性や創造性のアップにもつながるのだ。
植物や日光など自然を取り入れる空間デザインは、バイオフィリックデザインとも呼ばれており、海外でも日本でも積極的に取り入れられている。
太陽光を部屋に取り入れたり、窓の外に広がる自然の風景を借りる昔ながらの「借景」によっても、自然を身近に感じることができるだろう。
また、いつものお部屋に観葉植物を置くのもとても効果的。見ているだけで落ち着いたり、空気を浄化してくれる作用もあるのでおすすめ。
ここで紹介した例はほんの一部だが、居心地の良い空間づくりのヒントにしていただけたら幸いだ。
記事・画像参考元:
What Is Holistic Interior Design?
A HOLISTIC APPROACH TO CREATING A SPACE THAT MEETS OUR NEEDS.
Holistic Spaces: The power of wellness-inspired interiors