【動画&レポート】移動する暮らしの体感。志摩オートキャンプ場「新タイニーハウス宿泊棟」|志摩市×YADOKARI

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「移動する暮らし」に憧れる人も多いのではないでしょうか。

海外ではすでにバンライフがライフスタイル・住まい方の一つとなっていますし、日本でも、旅や週末のアクティビティという観点で言えば、キャンピングカーで周遊したり、アウトドアを楽しんだりする人が大勢います。

建物に捉われず、生活に必要な設備と居住空間ごと自由に移動できるモビリティは、近い将来、IoTや自動運転の発達と共に、ますます私達にとって身近なものになると予想されています。

2019年秋、次世代移動サービス「MaaS」先行モデル都市としての実証実験も始まった三重県志摩市とYADOKARIがタイアップし、移動する暮らしを豊かにする「新タイニーハウス」を開発。その1号機を、志摩市にある「志摩オートキャンプ場」に設置することになりました。

タイニーハウスで毎日違う景色を選べるとしたら、あなたはどこへ行きますか? 志摩市の雄大な自然の中でタイニーハウスを体験できる、「志摩オートキャンプ場 新タイニーハウス宿泊棟」の様子をご紹介します。

国立公園ならではの大自然の中で

写真提供:志摩市

三重県の東南部に位置する志摩市は、市全域が伊勢志摩国立公園に含まれているという、類稀な環境にあります。太平洋と英虞湾に面し、長い年月をかけて形成されたリアス式海岸の湾内には、約60もの島々が点在し、ここでしか見られない独特の美しい景観となっています。

湾内は、世界屈指の高品質を誇る真珠の養殖が盛んであるほか、古来より「御食国(みけつくに)」と称され朝廷に海産物を納めていた歴史が物語る通り、伊勢エビやアワビの他にも的矢かき、あのりふぐ、カツオ、海藻など、新鮮な海の幸の宝庫でもあります。

写真提供:志摩市

多くの岬に設置されている灯台も景勝スポットであり、市内に点在する高台の展望台からはさまざまな絶景が見渡せます。豊かな海と緑の島々を舞台背景に、日の出や夕陽、満天の星空などが四季を通じて繰り広げる大自然のドラマは、志摩のダイナミックな魅力の最たるものと言えます。

志摩のあちこちをタイニーハウスで巡りながら、気に入った景色の中で時を過ごし、眠り、目覚める。そんな暮らしを想像しながら新タイニーハウスに滞在できるのが、「志摩オートキャンプ場」です。

志摩の最も端にあるキャンプ場

アウトドアブランド「snow peak」が提供しているテントやシュラフ、テーブルチェア、調理器具など、キャンプに必要な道具一式をレンタルで楽しめる「スノーピーク手ぶらCAMP」プランも利用できる。

志摩オートキャンプ場は、2004年に5つの町が合併して誕生した志摩市の最も端(志摩町)、太平洋に面した半島の突端付近にあります。

志摩市へのアクセスは名古屋や関西方面からは近鉄特急が便利であるほか、高速道路や、国立公園の景色を楽しみながらドライブできる道路も整備されているので、車での気ままな旅も人気です。

志摩オートキャンプ場はその志摩市の端にあるとは言え、伊勢神宮や鳥羽水族館などの人気スポットからも車で1時間余り。三重県内をはじめ愛知や岐阜、滋賀、関西エリア、北陸エリア、連休ともなると関東エリアからも、年間を通じて多くのキャンパーが来場します。

志摩町に生まれ育ち、志摩オートキャンプ場の運営責任者を務める磯和さんにお話を伺いました。

再びの自然回帰ブーム

志摩オートキャンプ場オープン当初からスタッフとして勤務し、現場の運営責任者を務めている磯和雅志さん(阿津里浜リゾート開発株式会社)。

磯和さん:「志摩オートキャンプ場は1996年に開業し、現在24年目を迎えます。開業当時もアウトドアブームで、たくさんのお客さんに利用していただきました。景気の後退と共に一旦ピークが過ぎて落ち着いた時期もありましたが、ここ数年は再びアウトドアの人気が出てきて、リピーターのお客さんも含めコンスタントにご来場いただいています」

キャンプ場の目の前にはあづり浜というビーチもあり、夏は海水浴を楽しむ家族連れで賑わうのはもちろんのこと、最近は秋冬でもアウトドアを楽しむ方が増えているそうです。

磯和さん:「昔のアウトドアブームの時と大きく変わったのは『冬キャンプ』。アウトドア用品メーカーからの提案やメディアの影響もあると思いますが、やはり焚き火など、冬だからこそ楽しみたいコンテンツもありますよね。雪の降らない志摩では冬でも快適にキャンプをしていただけるので、クリスマスシーズンから年末年始にかけては予約がいっぱいになるほど人気なんです」

野外に、「宿」感覚で泊まれる気軽さ

志摩オートキャンプ場には、テントを張れるスペースが46区画あり、その内36区画には電源も完備。場内では無料WiFiも利用できます。清潔に保たれた共有施設にトイレ、シャワー、ランドリー、キッチンなどがあるので、小さな子どもがいるファミリーや女性でも安心して楽しむことができます。

また、道具を持っていない人でも気軽にキャンプを体験できるようにと、テントやランタン等各種アウトドア用品の貸し出しも充実。テントの設営・撤収をしてくれるサービスがあるため、アウトドアに馴染みのない初心者でも、まるで宿に泊まるような感覚で利用できます。

約6畳のバンガロー5棟、6畳+3畳のロフトおよびデッキ付きバンガロー3棟、水回りを備えたキャンピングハウス5棟がある。

テント以外にも、バンガローや、水回りを完備したキャンピングハウスの宿泊棟があり、人数や好みに合わせてキャンプスタイルを選ぶことができるのも志摩オートキャンプ場の大きな魅力。ペット同伴で泊まれるキャンプサイトも設けられています。

志摩の現地で新鮮な海の幸を調達し、思い思いのキャンプスタイルでくつろぎながらBBQに舌鼓を打つ。家族やカップル、仲間、あるいはソロでも訪れる人が後を絶たない理由は、このキャンプ場の、野趣と快適さの良いバランスなのかもしれません。

自然との一体感を感じるイベントも豊富

写真提供:宮本秀明さん(星のソムリエ志摩 https://www.facebook.com/sommelier.of.stars.shima/)

志摩オートキャンプ場では、年間を通じてさまざまなイベントも企画しています。徒歩3分の所にあるあづり浜でのシーカヤック体験会や、その日にキャンプ場に居合わせたキャンパー同士で楽しむ焚き火、お月見、星のソムリエによる星空観察会など、志摩の自然のリズムやエネルギーを全身で感じるような機会が用意されています。

空の広さ、風、潮の匂い、鳥や虫の声、木の葉の音など、都会では微かにしか感じられない五感への刺激が、ここではダイレクトに響いてきます。こうした体感こそが、私達がそこに身を置くいちばんの価値と言っても過言ではありません。

移動する生活空間 新タイニーハウス「Tinys.mobi」

普通車で牽引できる「新タイニーハウス」。室内にはオフグリッドのシャワー・トイレ・ミニキッチンを備え、大人4人が寝ることができる空間も確保した。設計:加藤匡毅氏/Puddle

この志摩オートキャンプ場に新たに加わったのが、志摩市とYADOKARIが開発した新タイニーハウス「Tinys.mobi」です。単に車輪がついた建築物の代替としてのタイニーハウスではなく、リアルに移動可能なタイニーハウスを目指し、建築家 加藤匡毅さんと一緒に設計・制作しました。

今回、神奈川県から志摩市までの約600kmの移動を経て志摩オートキャンプ場に設置された新タイニーハウスは、総重量を750kg以下に抑え、普通車でも牽引することが可能です。オフグリッドの水回りとミニキッチンを備え、日中はテーブル、夜はベッドとして使える可変式の室内では、寝食はもちろん仕事をすることも想定しています。

好きな景色の中で眠り、目覚める暮らし

新タイニーハウスの中では、まるでコクーンの内部にいるかのように、静かな安心感に包まれる。ハッチバックを開ければ瞬時に外界とつながり、居住空間は無限に広がっていく。その体感のギャップが面白い。

大人4人、もしくは夫婦+子どもが泊まれるこの新しいタイニーハウスは、志摩オートキャンプ場でのキャンプの際の宿泊施設の一つとして使用できるのは当然のことながら、視点を少し変えると、例えば移動する暮らしや2拠点生活・多拠点生活を体感してみるためのトライアルステイ先としても有効です。

車で牽引して移動しながら、心惹かれた景色の中にタイニーハウスを停め、そこをひとときの家に定める。日中はインターネットをつないで世界中のどことでも仕事をし、夕陽を見ながら1杯飲んで、家族と夕食を囲むうちに頭上の空は星でいっぱいになる。微かな潮騒に包まれて目を閉じ、自然の懐に抱かれながら深く眠って、朝日と共に目覚めハッチバックを開けると、緑と潮の香りが室内いっぱいに流れ込んでくる。

そんな暮らしは、今はまだ非日常的に思えるかもしれませんが、近い未来、テクノロジーがこれを日常にする可能性は十分にあります。

志摩町で生まれ育った磯和さんは、志摩オートキャンプ場のある奥志摩エリアまで人を呼び寄せることをとても大切に考えています。

磯和さん:「志摩を訪れてくださる多くの人が、賢島や志摩中心地で足を止めてしまい、その先まではなかなか来ていただけないのが現状です。私は外へ出ることを考えたことがないくらい、ここでの暮らしが好きなので、この町がやはり未来にも良い形で続いていってほしい。

タイニーハウスのいちばんの魅力は、時間を気にせず、自分のペースで、好きな時に好きな所へ行けることです。いろんな所へ行く人が増えれば、地方の経済も潤い、地域での雇用も生まれます。地元で仕事があれば、少ない人口が流出しなくなります。『移動する暮らし』は、受け入れる側にとっても大きな可能性があると思いますね。

志摩オートキャンプ場のタイニーハウスは、志摩に興味を持った方が、いきなり移住・定住する前のお試しとして泊まっていただくのにも良いと考えています。平日は都会で暮らし、週末だけ志摩に来てタイニーハウスで2拠点のお試しをしてみる。そんな使い方をしてくれるお客さんも増えるといいなと思っています」

移動する家を手に入れた時、現代人が本能的にまず行ってみたいのは、志摩のような、圧倒的に自然豊かな場所ではないでしょうか。

都会の人混みと喧騒から離れ、大自然の中に好きな場所を見つけて、しかも文化的に暮らす。ハッチバックを開けるだけで、外に広がる大自然が自分の部屋になる。そんな「移動する暮らし」の醍醐味の一端を、志摩オートキャンプ場の新タイニーハウスで、一足早く体感してみてはいかがでしょう。

志摩オートキャンプ場
http://www.azuri.jp/