【インタビュー前編】自分らしい暮らしをリーズナブルに楽しむ「商品住宅」という選択肢 カーサ・プロジェクト株式会社眞木健一さん

カーサ・プロジェクトの手掛ける「casa cube」はシンプルでスタイリッシュな四角い外観が特徴的なブランド

生きるために必須の衣・食・住。できるならば、そこに自分らしさを反映し、心地良く暮らしたいものだ。しかし着ることと食べることに比べて、個性に合った家を手に入れることは、難しく感じてしまう人が多いのではないだろうか。
「ありきたりな住まいは嫌だけれど、イチから注文住宅を作るのも荷が重い……」。そんな悩みを持つ人に支持されている住宅シリーズがある。それが、カーサ・プロジェクト株式会社(以下カーサ・プロジェクト)の「casa」シリーズだ。従来の建て売り住宅にはない個性的な家がバリエーション豊かに揃っている。これらの家は、どのような考えの元に生み出されているのだろうか。同社の眞木健一さんにうかがった。

 

【インタビュー前編】自分らしい暮らしをリーズナブルに楽しむ「商品住宅」という選択肢

【インタビュー後編】プロの目で選んだ国内外の建築事例を発信するキュレーションするメディア『#casa』

眞木健一
1967年福岡県生まれ。地元の高校を卒業後、アメリカの大学に留学。20代前半から工務店の仕事に取り組みつつ、世界の住宅の性能を学び。日本の匠たちの職人技を大切に守りながら、「遺す家」を作ろうと突き進んでいる。『新築を超える中古マンションリフォーム』(書肆侃侃房)、『住宅革命』(WAVE出版)など著書多数。最新刊は2016年2月出版の『More Better Life 豊かに暮らすということ』(書肆侃侃房)。

「商品住宅」は、注文でも建て売りでもない、新たな住まいの選択肢

カーサ・プロジェクト株式会社の取締役会長、眞木健一さん。卓越したセンスと長年工務店を経営してきた経験により、住宅の新たなスタイルを編み出した。

——眞木さんは、住み手が間取りや材質などを決める注文住宅のあり方には、弊害があると考えられているのですね。

眞木健一さん(以下眞木):優れた住宅を作るためには、高度な知識と、ノウハウの蓄積が必要です。ところが、従来の注文住宅のシステムは、住み手の意見を尊重するあまり、総合的な住み心地の向上や、より良いデザインの提案まで行き着かない傾向がありました。そこで、高機能かつデザイン性の高い既製品を作ったのが、「casa」シリーズ。私達はこれを「商品住宅」と呼んでいます。

——住む側が家づくりに意見することは、間違っているのでしょうか。

眞木:もちろん住む人の好みが一番大切です。しかし多くの方が人生に一度しか家を作る経験がなく、ご自身の希望を適切な形で家づくりに反映することが困難なのが現状です。洋服にたとえると、オーダーメードの服づくりで、服の型や素材からユーザー主導で決めるとなると、なかなか思うようにはいかないでしょう。一般の人が苦労してオーダーした服よりも、一流のデザイナーのプレタポルテを身にまとう方が、結果的にその人の個性を引き立てて、素敵に見せることもあるのではないでしょうか。

——自由なはずの注文住宅では、かえって自分の枠を踏み出せずに、没個性にまとまる可能性もあるのですね。

眞木:専門家がしっかりとしたフレームを作りつつ、家のなかでは住み手がご自身のカラーで色づけできるとよいですね。住む方の個性とプロのセンスとの相乗効果があれば、どちらか一方だけの場合よりも、洗練された住まいができあがるのです。

「casa cube」の住まい方その1。白はシャープさもぬくもりも演出できる色。お子さまのいるご家庭は、ほっこりと北欧風に
「casa cube」の住まい方その2。広々とした空間に趣味のアイテムが映える。自分流に色付けられるのはシンプルでスタイリッシュな空間だからこそ

洋服でも、よいデザインは着こなしの幅があるもの。一流デザイナーは、多くの人に支持される商品を生み出すために膨大なコストと手間をかけて、細部を検証している。だからこそ個性的でありながら、汎用性の高いプロダクトができあがるのだ。


「casa」シリーズは「商品住宅」なのだと、眞木さんは言う。それは、注文住宅でも、いわゆる建売住宅でもない。洋服でいうところの、一流デザイナーのプレタポルテのイメージなのだろう。

100年後も価値の落ちない家を、地域の手で作る仕組み

日本各地の工務店とのネットワークがあり、各地からのフィードバックを受けながら協力し合い研鑽を積むことで、常にブランドのノウハウをブラッシュアップしている

カーサ・プロジェクトの手掛ける「商品住宅」は、メンテナンスや資産価値の面でも、優れた仕組みがある。それが、全国の工務店とネットワークを築いて施工を手掛ける「カーサプロメンバーズ」だ。


——カーサ・プロジェクト内で簡潔するのではなく、各地の工務店と「casa」シリーズを建てるノウハウを共有しているのですね。

眞木:家は、住んでいる地域の工務店が建てた方がよいと思っています。なぜ今までその選択肢がなかったのかというと、単純に存在が知られていなかったからです。その工務店がどんな家を建てているのか分からなければ、家づくりの選択肢にあがらないもの。しかし地域の工務店が自身でプロモーションをしたり設計士を置いて開発をしたりすれば、莫大なコストがかかってしまいます。そこで、我々カーサ・プロジェクトが設計や宣伝をし、工務店からは「お客様からこんな声が届いた」「もっとこうしたらいいのではないか」といったフィードバックを受けるというネットワークを作りました。

——「カーサプロメンバーズ」の工務店に依頼すれば、どこに住んでいても地域の人の手でカーサ・プロジェクトの家を建ててもらえるのは、安心です。

眞木:メンテナンスも同じ工務店に任せられますから、住み手にとってもメリットの高いシステムです。また、ネットワークによって全国にカーサ・プロジェクトの家が建てば、家のブランドとしての価値も定着します。すると、ゆくゆく住み手が家を売るようなことがあったときも、価値が崩れないという安心も得られるのです。


家に縛られる生き方が時代遅れになりつつある現代、ライフステージが変わったときには、身軽に住み替えができる環境を整えたいもの。そのためには家そのものの市場価値の高さと、適切なメンテナンスが不可欠だ。

住み手の好みがあまりにも強く反映された家は、いざ住み替えの際に住宅市場で評価されないリスクがある。しかし、カーサ・プロジェクトの家ならばブランディングがしっかりしているので、自分好みに暮らしつつも、資産価値が揺らぐ心配はなさそうだ。また、メンテナンスに関しても、近くに信頼のおける工務店があれば、心強い。

注文住宅以上の個性を楽しめるうえに、普遍的な価値もキープできるのが、カーサ・プロジェクトの考える商品住宅なのだ。

後編では眞木さんに、カーサ・プロジェクトが始めたウェブマガジン『#casa』についてうかがう。「暮らしとデザイン」をテーマにした新しいメディアを通して、同社が伝えたいことや、具体的なコンテンツの内容を解説していただく。

【インタビュー後編】プロの目で選んだ国内外の建築事例を発信するキュレーションするメディア『#casa』

(提供:#casa