緑に埋まるラピュタの世界。イタリア・トリノの生きているアパート

via: archdaily.com © Beppe Giardino

街中に現れた緑のジャングルに浮遊するような建物。天空の城ラピュタか、植物に支配された未来社会か。ファンタジーから抜け出してきたような外観に目を奪われる、イタリア・トリノのツリー・アパート「25 Green」は、緑と共生する生きている建築物。

 

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建築家ルチアーノ・ピアの設計による、ロケーションの25番地からネーミングされた「25 Green」。2007年〜2012年の5年にのぼる年月をかけて、プランニングと設計・施工が慎重に行われ、この複雑きわまりない建築プロジェクトが完成した。

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7,500平方メートルの敷地に建つ5階建て、63の部屋数を持つアパートには、合計150本の木々が顔を覗かせパレットに鮮やかな緑を加えている。地面から屋根まで伸びる木の形を模したサビ色の金属フレームが、板張りのテラスを支えながら、植物と絡み合って独特のファサードを創り出す。

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コの字型の住居棟に囲まれた広い中庭の50本の樹木と、大がめから伸びる異なる高さの植物が空気を浄化し、外界からの騒音と直射日光を和らげる。落葉樹を計画的に配置して、冬の時期には不規則な形のテラスに射す日光を遮らないように工夫されている。

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木の葉の色が季節感をもたらし、リビングスペースと共用スペースの彩りの変化は、暮らしに憩いと安らぎを与えるだろう。

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「25 Green」のプロジェクトの目的の1つは、住環境のエネルギー効率の向上にあったという。外装のカラマツのこけら板はスプレー断熱処理が施され、ヒートポンプを利用した地熱エネルギーによる冷暖房システム、雨水をリサイクルして樹木に給水する仕組みが採用されている。

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1階にはリラックス効果と建物内の温度を快適に保つための池があり、最上階のロフトの正面には屋上庭園が設けられている。多数の樹木がフィルターとなり、街の中の緑地公園のように、この25番地のブロックにミクロ気候を生み出す。夏は涼しく冬には暖かい、生きて呼吸しているかのような住環境と新鮮な空気。新緑の季節からすべての緑が輝き出すと、まるで森の中のツリーハウスに住んでいるような感覚を味わえるはずだ。

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気になったのは、落葉樹を配置したアイデアは優れものだが、テラスの落ち葉の掃除が大変そうなところ。

ちなみに、「25 Green」を見て思い出した、植物に支配された世界を描いたショートフィルムはこちら。植物が怖くなるので閲覧注意です。

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