今までのイメージを覆す、ロンドン自治区の新しいキオスク「Paperhouse」

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楕円形の曲線と凹凸のあるフォルム、明らかに今までのものとは違うキオスクがロンドンに登場した。このプロジェクトはロンドンの特別自治区のもので、デザインを手がけたのはHeatherwick StudioのThomas Heatherwickである。

今までの街で普通に目にするキオスクは、四角いボックス型で、夜になり営業を終了するとただのスチールの箱に変わり、けっして目を引く姿ではなかった。
そこでThomasは「キオスクをもっと町の景観になじみ、人にやさしく、デザインとしても合理的な優れたものにしたい」と考えたのだった。

Paperhouseは全体的に丸みを帯びた形と、鎧のように見える壁面を持っている。壁部分は木とスチール製のフレームでできており、一部に木を使ったことにより、自然のぬくもりを感じることができる。屋根のすぐ下はガラス窓になっていて、日中には自然光を取り入れ、夜にはイルミネーションとして、その存在を主張するだろう。内壁は全面が飾り棚になっていて、効率よく新聞や雑誌などがディスプレイできるようになっている。

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それまで、販売員はキオスクのセッティングに1時間ほどかかっていた。しかしこの飾り棚のおかげで、大幅に時間が短縮できたそうだ。仕事中も雑誌などが崩れ落ちてくる心配がなく、お客さんも何の商品があるのか一目瞭然になった。販売員にとってもお客さんにとっても、共に満足度が高い理にかなったデザインだ。

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Thomasは「『スチール製の箱』であった売店を、いかに都会の景色と融合させ私たちの日常生活を豊かにするか。デザイナーとしてとてもやりがいがあった」と語る。

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ロンドン特別自治区の副リーダーDaniel Moylanによると、このプロジェクトは「単なるキオスクの建て替え」ではないとのこと。公共事業の可能性を表現し、地域の発展に貢献する目的がある、という。この地域のキオスクは順次新しいものになっていくそうだ。

私たちの「ロンドンのキオスク」のイメージが、この楕円形のPaperhouseに書き換えられるのも、時間の問題かもしれない。

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(文=加藤聖子)

Via: dezeen.com