教会にいるかのような神聖な気分を味わう、フィヨルドを臨むモダンなサマーハウス「Off-Grid Hardanger Retreat 」

Via:saunders.no
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西ノルウェーに位置するハルダンゲル地方。ここはノルウェーの中でも、穏やかな気候と風光明媚な景観で知られており、果樹園でたくさんのくだものが採れる豊かな地域だ。

この地方で有名なのが、「ハルダンゲルフィヨルド」。フィヨルドの中でも、有数の景観を誇るとされ、多くの観光客を惹きつけている。そんな素晴らしい景色を臨むこの地に、20㎡のモダンなサマーハウスが建てられた。

秘密の隠れ家とも言うべき建物が建てられたのは、2003年にさかのぼる。Todd SaundersとTommie Wilhelmsenの2人の建築家が、まだ駆け出しの頃だ。

当時、彼らは誰よりもやる気に満ち溢れる青年だったが、建築家としては若く、あまり多くの経験を積んでいるとは言えなかった。そんな彼らにとって、仕事の依頼を受けることはたやすいことではない。そこで彼らは、クライアントを探すかわりに、まずは彼ら自身が思い描く建物を建ててみることにしたのだ。

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彼らは、ノルウェーで最もドラマチックなフィヨルドの一つであるハルダンゲルフィヨルドの端っこに、思い描いていた建物にぴったりの土地を見つけた。そして、なけなしの貯金をはたいて土地を購入し、実験的な意味あいも含めて、プロジェクトを進めていった。

この建物は、あくまで周囲の景観に自然に溶け込むよう、ごくシンプルに設計されている。それでいて、眼前にフィヨルドを臨むドラマチックな景観との、絶妙なコントラストを感じさせる個性がある。なお、この土地に元々あった木々は、建物を建てるために一部伐採されたが、それらは全てこの建築に利用されている。断熱材には再利用された新聞紙が用いられており、環境への負荷も大いに考慮されていることがうかがえる。

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この建物は、北欧のサマーハウスの多くがそうであるように、電気が通じていないオフグリッドハウスだ。何と言っても、この一帯は、夏のあいだはほぼ白夜。暗くなるのはたった4時間だけで、明かりはキャンドルの光で十分なのだ。

ミニマリズムを体現してるとも言えるこの空間で、誰とどのように過ごそうか?思いのままに、イマジネーションが膨らんでくる。日常から離れて、仕事に集中したい時に滞在するのは、彼らのお気に入りの過ごし方だ。あるいは、建物の正面に位置する広い板張りのスペースは、夏のあいだは裸足で楽しむアウトドアリビングとなる。

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フィヨルドに面した外のデッキに座り、変わりゆく景色を眺めていると、まるで催眠術をかけられたような、あるいは教会にいるような神聖な気持ちになるという。絶えず変化していく山々・雲の流れ・そしてフィヨルドを眺めていると、忙しい日常から一歩身を引いて、様々な思考を巡らすことができる。

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このサマーハウスの建築を通じて、彼らは、自身の建築家としての信念である「妥協しないこと」「オリジナルであること」「自分たちが住むノルウェーの景観へのリスペクト」を改めて意識した。彼らは今や、saunders architecture として数々のユニークな建物を手掛けているが、原点とも言うべきこのサマーハウスは、建築家としてのヴィジョンを追求していく上で、何よりも大切なプロジェクトだったのだ。

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