創業者が妻に捧げた黄金のエアストリーム

via: localadventurer.com

YADOKARIでも度々登場の人気のキャンピングトレーラー、エアストリーム。オハイオ州ジャクソン・センターのエアストリーム本社の前には、一際目を引く黄金のエアストリームが展示されています。1957年に製造された、「ステラズ・ゴールド・エアストリーム(Stella’s Gold Airstream)」の愛称で知られる創業者の妻のためのトレーラーについてご紹介します。

via: localadventurer.com

エアストリームは、1930年代のアメリカ大恐慌時代に、弁護士を目指していたワーリー・バイアムによって創業されました。チャールズ・リンドバーグの大西洋横断単独飛行に提供された「スピリットオブセントルイス号」の製造責任者、ホーレー・ボウラスによるレトロ・フューチャーな流線型のデザインで人気を博していきます。

1950年代に入るとワーリーは、トレーラーの改良と耐久テスト、プロモーションのために、キャラバンを組んで世界各地でのツアーを開始します。1956年のヨーロッパ・キャラバンの途中、彼と妻のステラは、より快適に過ごせるトレーラーのフロアプランについて検討を続けます。

via: localadventurer.com

ワーリーは夜中に度々起きては、ラジオを聴いたり、アイデアのメモを取ったりする人でした。そこでステラが “夢のトレーラー”としてスケッチしたのが、2つの離れたベッドスペースを備えた、リビングスペースと収納を最大限に拡張させたプランでした。

22フィート(6.7m)のシャーシの上には、フロント部分にベッドにもなる大型ソファ、後部のトイレの横にはパーテーションによって隔離されたシングルベッドが設置され、ステラの安眠を確保しています。

via: localadventurer.com
via: localadventurer.com

側面の窓の下には折りたたみ天板テーブルと2組の椅子が置かれ、反対側のキッチンには2つのシンクと3口バーナー、オーブンが備えられています。プロパンヒーターと冷蔵庫も壁の中に隠されています。

via: localadventurer.com
via: localadventurer.com

パステルトーンが主流だった50年代アメリカの自動車のカラーリングに対して、ワーリーはステラのために、金色に輝くイースターエッグのような外観をデザインします。当時画期的だったカラーアルマイトによってアルミニウムをゴールドに着色、それまでのラインになかった悪路に強いタンデム車軸も導入しました。

via: localadventurer.com
via: localadventurer.com

ワーリーとステラはステラズ・ゴールドとともに、1957年の全米キャラバン、1958年のメキシコ・中米キャラバンを経て、1959年には、ケープタウンからカイロを目指す壮大なアフリカキャラバンに参加します。その後に続くヨーロッパキャラバンを走破し、無事本国に帰国してその耐久性の高さを証明しました。

via: expeditionportal.com
via: expeditionportal.com
via: expeditionportal.com

アフリカキャラバンから帰って間もない1962年、エアストリームの創業者ワーリー・バイアムは、ステラに見守られながら静かに息を引き取りました。ステラズ・ゴールドは長い年月の間に何人かの手に渡った後、エアストリームによって買い戻され、1996年にオリジナルの姿へと完全修復されました。

via: trailandhitch.com

創業者夫妻と過酷なアドベンチャーを体験してきた黄金のエアストリームは、オハイオ州の陽光に優雅に輝いて平穏な日々をおくっているようです。

Via:
localadventurer.com
airstream.com
expeditionportal.com