風と太陽と雨のめぐみを生かす。卵型オフグリッドポッド「Ecocapsule」が販売開始
どこにでも設置できるオフグリッドなマイクロホーム「Ecocapsule (エコカプセル)」。インフラのない僻地や秘境でも、ホテルのラグジュアリーな部屋のように快適に過ごすことができます。この注目を集めたスロバキア発の卵型タイニーハウスが、いよいよ世界販売を開始しました。セールスターゲットには日本も入っているとのことです。
Ecocapsuleは、太陽と風力のエネルギーを動力にし、雨水を再生利用する持続可能なマイクロホーム。2008年に最初のコンセプトが発表され、2015年にプロトタイプが登場した際には、卵型の未来的フォルムが世界中のメディアの注目を集めました。残念ながら印象的だったプロトタイプのハッチドアは、量産モデルではスライド式に変わったようですが。
長さ4.67メートル・幅2.2メートル・高さ2.5メートルの筐体は、輸送用コンテナにすっぽり収まる大きさで、世界中に配送することが可能。重さもわずか1,350kgしかないので、トレーラーで牽引できるのはもちろん、ルーフに取り付けられた2つのフックを使って、クレーンやヘリコプターに吊るして移動することもできます。スロバキアの首都ブラチスラバのビルの屋上で行われたデモンストレーションには、実際にヘリコプターによって運ばれました。
Ecocapsuleの元々のコンセプトは、科学者やフォトグラファー、レンジャー、辺境ツーリストなど、自然の中で長く滞在する人々のための「フロンティア住居」としてのデザインでした。長期的なエネルギーの自立という特徴は、自然災害などでインフラが破壊された状況に対して、シェルターや小型発電所、水ろ過設備としても利用可能ということです。
8.2平方メートルの室内には最大2名まで宿泊可能で、ダブルベッドに拡張するソファ、デスクスペースと収納、シンクとコンロ付きの小さなキッチン、LED照明、シャワーと水を必要としないコンポストトイレを備えています。デスク、キャビネット、ラック、ベッド、キッチン・手荷物キャビネットなどのすべての家具は、ウッドベニア仕上げの軽量ハニカムパネルで作られています。
太陽光発電には、エネルギー生産を最大化する高効率の太陽電池を採用し、最大880Wの電力が発電可能。24時間可動できる低騒音の風力タービンは、最大750Wの電力を出力します。タービン伸長時には4.5メートルの高さになりますが、伸縮自在のポールにより、輸送時にはコンパクトなサイズに収まります。
電力は10キロワット時の容量のバッテリーに蓄えられ、追加の電力が必要な場合は外部コンセントから給電することも可能。自然エネルギーなしでも4日間過ごせるバッテリー容量は、必要なら電気自動車の充電にも利用できます。
卵型のシェイプの本体は、アルミニウムフレームに断熱されたグラスファイバーを重ねて構築されています。このユニークな形状は熱損失を最小限に抑えると同時に、雨水を効率的に収集するためのデザイン。表面を伝わった雨水はフロア下のタンクに集められ、逆浸透膜を使ってろ過して99.98%のクリーンな飲料水に浄化されます。2つの350リットルの水貯蔵タンクは、湖や河川などの外部の供給源から満たすこともできます。
Ecocapsuleは、スマートフォンのアプリを使ってモニタリングしたりコントールできるスマートホームの機能も備えています。オプションとしては、ミニ冷蔵庫やミニ洗濯機、暖房・換気システム、床暖房などの設備が選択可能です。低エネルギー消費を実現するACユニットや、コンポストトイレに代わる焼却式トイレは、第2世代以降のEcocapsuleで利用できるようになるとのことです。
Ecocapsuleの第一弾の限定50ロットは、お好みにカスタマイズできる特権付きで、米国、EU、オーストラリア、日本に住む顧客に対して販売されます。気になる価格は、79,900ユーロ(約1040万円, 1ユーロ=130円)。フォーブス・スロバキアの記事によると、最初のターゲットは日本のカスタマーとのことです。理由があまりピンときませんが、富裕層の災害時用として想定したのでしょうか。
Ecocapsuleは、コテージ、ポップアップホテル、モバイルオフィス、研究ステーションなど、ユーザーによる多目的な利用を期待しているとのことです。今後の生産数の伸びとともに、よりリーズナブルな価格になると表明しているので、日本のビルの屋上や都市のデッドスペースに、ある日突然、卵型の未来ポッドが現れるかもしれません。僻地のグランピング施設として利用すれば、インスタ映えから人気が出そうな気がします。
Via:
ecocapsule.sk
inhabitat.com
gizmodo.com
forbes.sk
(提供:#casa)