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自作の小屋で過ごす、いんべさんの週末二拠点生活|「ちいさな暮らし」にお邪魔します

小屋やタイニーハウスで暮らす、「ちいさな暮らし」は、まだ国内に事例が多くありません。
ちいさな暮らしに興味を持っている方も、実際の暮らしや住み心地が気になるけれど、情報が少ないと困っている方もいるのではないでしょうか。

「TINYHOUSE ORCHESTRA」のこの連載では、ちいさな暮らしを実践する方にお話を伺い、その暮らしぶりをご紹介します。
今回ご紹介する、いんべさんは東京と三浦半島で二拠点居住をしているご夫婦。週末は、自分たちで作ったちいさな小屋に住み、今は家具などをつくりながら過ごしているそうです。

その暮らしを少しだけ覗かせてもらいましょう。

私たち夫婦は平日は東京のアパート、週末は三浦半島の小屋で暮らしています。
以前こちらの記事で紹介していただいたときにはまだ作業中でしたが、一年かけてようやく暮らせる状態になりました。今は、東京と三浦を行ったり来たりして暮らしながら、少しずつ内装や家具づくりをしています。今回は小屋を作り、小屋で暮らしながら感じたことをお伝えしたいと思います。

小屋のこだわりは「ゆっくり」作ること

私たちの小屋の大きさは12㎡で、半分が土間になっていて、小さなキッチンとトイレとシャワー付き。建て方はハーフビルドと言って、必要な部分はプロの力を借りながら、自分たちでつくる工法です。

建築確認申請が必要だったこと、ずっと暮らすためある程度しっかり作りたかったことから、基礎と構造、防水にかかわる部分は工務店さんにお願いし、屋根、軒、外壁、断熱材、内装の下地、ロフトなど、友達に手伝ってもらいながら少しずつ作ってきました。

内装のこだわりは、しいて言うなら「ゆっくり」作ることです。あれも必要、これも決めなきゃ、とそわそわする気持ちもありますが、ひとつひとつゆっくりと。これが案外難しいことで、だけど心地よいことだと気がつきました。

DIYのコツは、使った時の景色を想像すること

内壁は施工を手伝ってくれた友人とともに漆喰を塗りましたが、ロフトの下の窓辺だけは壁紙にしています。壁紙はなかなか決められなくて長いこと下地のままでしたが、お気に入りのものが見つかり、仲良しの壁紙屋さんに貼ってもらいました。

その壁紙にあわせてソファーベンチの布を選んだり、布の色にあわせてカウンターに塗るペンキを調合しています。

小屋の中でお気に入りの場所は、ロフト下の窓辺。こじんまりとした空間で、ベンチに座ったときに窓から外の畑や空が見えて落ち着くんです。

DIYで小屋を作るときには、座ったときや立ったときにどんな景色が見えるのかを想像するのがコツだと思います。この窓も高さをどうするか、時間をかけてまじめに考えてよかったと思いました。

家具は、縁があるものを仲間にしたい

小屋だけでなく、家具も作れるものは作りたいなと思っています。

なかなかお気に入りのテーブルが見つからず、小屋を建ててからずっと木材の上でごはんを食べていましたが、最近やっとちゃぶ台ができました。友達がもらってきてくれた畳サイズの重厚な座卓(床にそのまま置いて使用するテーブル)を、小さなちゃぶ台に作り替えました。

この座卓、材料は「カリン」というすごく重くて堅い木で、一人では持ち上がらないし、丸ノコが壊れたりもしましたが、2か月かけてようやく完成。ちゃぶ台ができあがってから、そこではじめて食べた朝ごはんは忘れられません。

そのほかにも、近所のおじさんにもらった枕木で作ったアプローチ、縁(えん)のある町の木材をつかった床、職場のひとが作ってくれたスピーカー、好きな布とひもで作ったロールカーテンなど、小屋にあるものはどれも他にはないものばかりです。

もちろん生活に必要なものはたくさんあります。けれど、本当に気に入ったものや、縁があって小屋にやってきたものたちだけを仲間にしていきたいと思って、安易に買うことはやめました。

こんな感じで小屋を建ててからいつまでも何かを作り続けていますが、迷ったり探し回ったりしたことも含めて、すべてのものに思い入れがあります。そのせいでしょうか。はじめから計画していたわけではないけど、不思議とひとつひとつのものがお互いに調和している気がします。

「なんとなく楽しく暮らしたい」、それでいいんじゃないかな

私は小屋で暮らしはじめてから、暮らしをもう一度いちから始めている感じがします。寒い日に家に帰ると暖かいこと、寝る場所があること、トイレが使えること、野菜が採れること、夜になっても明るいこと、ごはんが炊けること。いちから作ってきたからこそ、それらの小さなひとつひとつが大切で楽しいのかもしれません。

小屋を建てた場所にも満足しています。三浦半島は海も森も山もまちもあって、居心地がよいです。それに、小さな暮らしを受け入れてくれるおおらかさがある気がします。ここに住むまでは、地元以外にこんなに好きになれる場所があるなんて思っていませんでした。

小屋暮らしや二地域居住というと思い切った感じがするかもしれませんが、私たちは「なんとなく楽しく暮らしたいな」という気持ちではじめたことで、哲学とか価値観とか、そうしたきちんとした考えはありませんでした。

だから、ちいさな暮らしに興味があれば、気軽にはじめてみてもいいと思うんです。

最近は、「もし東京のアパートを引き払って小屋で暮らすとしたら、何を持ってきて、どの場所をどう使おうかな」と妄想しています。友達には小屋のことを「別荘?」と言われることもありますが、小屋はいい意味で「普段通り」の、特別じゃない場所になりつつあります。

この先のことは何も決まっていませんが、このまちと友達と小屋があればきっと楽しいのかなと、そう思うんです。
(本文ここまで)

忙しい毎日のなか、暮らしに必要なものをひとつひとつ吟味して選ぶことは大変なことです。それでも、丁寧に身の回りに置く家具や家を選んでいれば、いんべさんの感じているように「居心地良く」暮らせるようになるのではないでしょうか。

いきなり二拠点居住はハードルが高いかもしれません。けれど、何を周りに置くか、何を選ぶかは今日からでもできるはず。あなたも今からはじめてみませんか?

小屋やタイニーハウスで暮らす、「ちいさな暮らし」は、まだ国内に事例が多くありません。
ちいさな暮らしに興味を持っている方も、実際の暮らしや住み心地が気になるけれど、情報が少ないと困っている方もいるのではないでしょうか。

「TINYHOUSE ORCHESTRA」のこの連載では、ちいさな暮らしを実践する方にお話を伺い、その暮らしぶりをご紹介します。
今回ご紹介する、いんべさんは東京と三浦半島で二拠点居住をしているご夫婦。週末は、自分たちで作ったちいさな小屋に住み、今は家具などをつくりながら過ごしているそうです。

その暮らしを少しだけ覗かせてもらいましょう。

私たち夫婦は平日は東京のアパート、週末は三浦半島の小屋で暮らしています。
以前こちらの記事で紹介していただいたときにはまだ作業中でしたが、一年かけてようやく暮らせる状態になりました。今は、東京と三浦を行ったり来たりして暮らしながら、少しずつ内装や家具づくりをしています。今回は小屋を作り、小屋で暮らしながら感じたことをお伝えしたいと思います。

小屋のこだわりは「ゆっくり」作ること

私たちの小屋の大きさは12㎡で、半分が土間になっていて、小さなキッチンとトイレとシャワー付き。建て方はハーフビルドと言って、必要な部分はプロの力を借りながら、自分たちでつくる工法です。

建築確認申請が必要だったこと、ずっと暮らすためある程度しっかり作りたかったことから、基礎と構造、防水にかかわる部分は工務店さんにお願いし、屋根、軒、外壁、断熱材、内装の下地、ロフトなど、友達に手伝ってもらいながら少しずつ作ってきました。

内装のこだわりは、しいて言うなら「ゆっくり」作ることです。あれも必要、これも決めなきゃ、とそわそわする気持ちもありますが、ひとつひとつゆっくりと。これが案外難しいことで、だけど心地よいことだと気がつきました。

DIYのコツは、使った時の景色を想像すること

内壁は施工を手伝ってくれた友人とともに漆喰を塗りましたが、ロフトの下の窓辺だけは壁紙にしています。壁紙はなかなか決められなくて長いこと下地のままでしたが、お気に入りのものが見つかり、仲良しの壁紙屋さんに貼ってもらいました。

その壁紙にあわせてソファーベンチの布を選んだり、布の色にあわせてカウンターに塗るペンキを調合しています。

小屋の中でお気に入りの場所は、ロフト下の窓辺。こじんまりとした空間で、ベンチに座ったときに窓から外の畑や空が見えて落ち着くんです。

DIYで小屋を作るときには、座ったときや立ったときにどんな景色が見えるのかを想像するのがコツだと思います。この窓も高さをどうするか、時間をかけてまじめに考えてよかったと思いました。

家具は、縁があるものを仲間にしたい

小屋だけでなく、家具も作れるものは作りたいなと思っています。

なかなかお気に入りのテーブルが見つからず、小屋を建ててからずっと木材の上でごはんを食べていましたが、最近やっとちゃぶ台ができました。友達がもらってきてくれた畳サイズの重厚な座卓(床にそのまま置いて使用するテーブル)を、小さなちゃぶ台に作り替えました。

この座卓、材料は「カリン」というすごく重くて堅い木で、一人では持ち上がらないし、丸ノコが壊れたりもしましたが、2か月かけてようやく完成。ちゃぶ台ができあがってから、そこではじめて食べた朝ごはんは忘れられません。

そのほかにも、近所のおじさんにもらった枕木で作ったアプローチ、縁(えん)のある町の木材をつかった床、職場のひとが作ってくれたスピーカー、好きな布とひもで作ったロールカーテンなど、小屋にあるものはどれも他にはないものばかりです。

もちろん生活に必要なものはたくさんあります。けれど、本当に気に入ったものや、縁があって小屋にやってきたものたちだけを仲間にしていきたいと思って、安易に買うことはやめました。

こんな感じで小屋を建ててからいつまでも何かを作り続けていますが、迷ったり探し回ったりしたことも含めて、すべてのものに思い入れがあります。そのせいでしょうか。はじめから計画していたわけではないけど、不思議とひとつひとつのものがお互いに調和している気がします。

「なんとなく楽しく暮らしたい」、それでいいんじゃないかな

私は小屋で暮らしはじめてから、暮らしをもう一度いちから始めている感じがします。寒い日に家に帰ると暖かいこと、寝る場所があること、トイレが使えること、野菜が採れること、夜になっても明るいこと、ごはんが炊けること。いちから作ってきたからこそ、それらの小さなひとつひとつが大切で楽しいのかもしれません。

小屋を建てた場所にも満足しています。三浦半島は海も森も山もまちもあって、居心地がよいです。それに、小さな暮らしを受け入れてくれるおおらかさがある気がします。ここに住むまでは、地元以外にこんなに好きになれる場所があるなんて思っていませんでした。

小屋暮らしや二地域居住というと思い切った感じがするかもしれませんが、私たちは「なんとなく楽しく暮らしたいな」という気持ちではじめたことで、哲学とか価値観とか、そうしたきちんとした考えはありませんでした。

だから、ちいさな暮らしに興味があれば、気軽にはじめてみてもいいと思うんです。

最近は、「もし東京のアパートを引き払って小屋で暮らすとしたら、何を持ってきて、どの場所をどう使おうかな」と妄想しています。友達には小屋のことを「別荘?」と言われることもありますが、小屋はいい意味で「普段通り」の、特別じゃない場所になりつつあります。

この先のことは何も決まっていませんが、このまちと友達と小屋があればきっと楽しいのかなと、そう思うんです。
(本文ここまで)

忙しい毎日のなか、暮らしに必要なものをひとつひとつ吟味して選ぶことは大変なことです。それでも、丁寧に身の回りに置く家具や家を選んでいれば、いんべさんの感じているように「居心地良く」暮らせるようになるのではないでしょうか。

いきなり二拠点居住はハードルが高いかもしれません。けれど、何を周りに置くか、何を選ぶかは今日からでもできるはず。あなたも今からはじめてみませんか?

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