「仕事をする」ということ。
対価であるお金をもらうことを通して初めて実感できるそのことに、私たちは多くの時間を費やしている。
しかしその「お金」というものがいったい何なのか、ということまでを考えて仕事をしている人はそう多くないのではないだろうか。
「お金」って何だろう。
世界には様々な種類のお金があり、中には私たちが想像するものとは違った形で使われているものもある。
その一例が、パプアニューギニアで使われる貝殻のお金だ。
今回は、その貝殻のお金を使用する人々について紹介する。彼らの暮らしに触れることが、あなたにとっての「お金とは何か」を考えるきっかけになるかもしれない。
貝殻のお金とは?
貝殻の貨幣、「タブ」。
これはムシロ貝という巻貝で、手の爪ぐらいの大きさだ。
この貝殻が使用されるトーライ社会は、パプアニューニアのラバウルという場所にあり、そこにはトーライ人以外にもたくさんの民族が暮らしている。

https://www.tripadvisor.jp/Tourism-g316044-East_New_Britain_Islands_Region-Vacations.html
その中でも唯一タブを使用する彼らは、多くの民族が集まる町では一般的なお金を、トーライ人だけが暮らす村ではタブを使用するというようにして2つのお金を使い分けているが、彼らが最も貯めたいお金はタブなのだそう。
彼らの多くは町で働き一般的なお金を稼ぐ。そして様々な人と交友関係を持つことや、市場でビッグプライヤーとなり信頼を得ることでそのお金とタブを交換し、タブを貯めることが出来る。
なぜ彼らはタブを貯めようとするのか、これが彼らの価値観を物語るとても面白いところ。
なんと彼らにとってタブを貯めるということは、人生におけるゴールとも言えるほど大切なことのようだ。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%9D%E8%B2%A8
これが貝殻のお金「タブ」。写真のように、複数の貝殻を一つの紐に通したものがお金一単位となって使用される。
人生のゴールは貝殻のお金を貯めること
なぜ、タブを貯めることが大切なのか。
それは、「いかにして死ぬか」ということを大切にする彼らにとって、自身のお葬式の際にタブを展示することは、自分が生前いかに親しまれていたのかということを示すための手段となるからだ。
しかし意外なことに、葬式で飾られたタブは葬式後に参列した人にバーッと全てばらまいてしまう。知り合いにも、そうでない人にもだ。そこには、故人がいかに立派であったのかをより多くの人の「胸に刻もう」という意味合いがある。
私たちの暮らしにおいて、「生きる意味はお金を貯めることだ!」なんて言ったら、なんだか寂しいことのように思えてしまう。それに、たくさんのお金が溜まったとしてもそれ自体がその人の人望を必ずしも示すわけではない。だからこそ私たちは家や服、車などを買うことで自身の経済力を示したりする。
しかしトーライの人々にとってタブは、それ自体が社会的地位を示すものになるのだ。一生懸命に貯金しているということ自体は、私たちとトーライの人々は似ているようにも思える。しかし「お金」そのものの意味合いはどうやら違うようだ。
友達を救急車で送迎?彼らにとっての「働く」とは?
タブを貯めることが人生の目的となっているトーライの人々。
タブを貯めるために彼らに必要なのは長時間働くことではなく、いかにして信頼関係を築くかということだ。そんな彼らの「働き方」はとてもユニークだった。
彼らは、子育てなど家の用事を理由に仕事を休んでばかり。
勤務中の救急車の運転手が、救急車を使って友人の送迎をしてしまうなどの不思議な光景も見られる。
しかし彼らに「サボっている」という意識はまったくないのだという。なぜなら私たちと彼らとでは優先順位が全く異なるからだ。
私たちにとって、「公」(個人のものではないこと)の時間とは仕事をすること、「私」(プライベートなこと) とは、家庭や友人との時間を意味することが一般的だ。
「公」である仕事を優先することがしばしば求められる私たちの間では、「仕事があるから遅れる…」、「会議が長引いてしまって…」なんて言葉をよく耳にする。
一方のトーライ社会では、「公」と「私」の概念が私たちとは正反対。
彼らにとっては家庭や友人づき合いが「公」であり、仕事が「私」にあたる。
だからこそ、家庭の予定があるからと仕事を休み、友人を見かければ救急車にのせて送迎をするといった光景がある。「自分の金稼ぎのために、家族や友人との時間を後回しにするなんてありえない!」といった感じなのだろう。
なぜこのような価値観が生まれたのかということに関しても、貝殻のお金「タブ」が大きく影響している。
彼らの人生の目的であるタブを貯めるためには、仕事してお金を稼ぐことよりも、親族や友人と過ごす時間の方がよっぽど大切なのだ。
「お金=名誉」なトーライ社会、お金のない人はどうなるのか?
多くの人々が一生懸命にタブを貯めつづけるものの、全ての人が順調にタブを貯められるわけではない。
しかし、貯められないからといって生きていけなくなったり、差別をされたりすることがないのがトーライ社会だ。
なぜなら若いうちから人と助け合い、ネットワークをつくっている彼らはそこでつくったつながりの中で食べていくことが出来るから。
彼らがタブを貯める根底には、人望のある人間にこそ価値があるという価値観が根付いている。
だからこそ、他者を大切にし合おうという温かさがこの社会にはある。
日本では耳にすることのある、
「お金がないと生きていけない。」
そんな言葉はこの社会に存在しないのだ。

https://www.tripadvisor.jp/Tourism-g316044-East_New_Britain_Islands_Region-Vacations.html
私たちが忘れてしまっている大切なこと
今回は、パプアニューギニアのトーライ人に注目し、彼らの中で使用される貝殻のお金や彼らの働き方について紹介した。
タブを貯め、自分自身の人望を他者に示すことを人生の最終的なゴールと考えている彼らは、仕事よりも何よりも親族関係や友人との時間を大切にしていた。だからこそ、お金を貯めることが出来なくても、人とのつながりの中で生きていくことができる。
そんなトーライ人の暮らしは、人望のある人間になるべきだという大切な価値観が、一本の太い軸のように彼らの人生の中に定まり、お金との向き合い方や働き方などの全ての行動の指針となっているように思えた。
一方、私の日々の暮らしはどうだろうか。
コロナ禍で迎えた就職活動。「学生としてまだまだやりたいことがある」という想いに一旦はふたをして、就職をするという道を選んだ。
この選択の背景には、「理想の暮らしをするために、自分の好きなことをするために、まずはお金が必要だ。」という想いがあった。
しかし働き続ける現在は、「お金はあるのに時間はない。」と感じ、職場では「予算」、「コスト」といった言葉に頭を抱える日々。かつては自分の理想を叶えるためのものだと思っていた「お金」に、今は振り回されてしまっているようにも思える。
幸せな暮らしのため、家族のためにお金を稼ぎたい。そういった想いで毎日仕事に励む一方で、「仕事があるから…」、「お金が必要だから…」と本当に大切にしたい時間を後回しにしてしまう私たち。果たしてそのような暮らしを続けていて良いのだろうか。
働き続けることが当たり前のようになっている私たちは、
何のためにお金を稼ぐのか。
何のために働くのか。
どんな人生を歩みたいのか。
そういった問いと向き合うことを、置いてきぼりにしてしまっているのかもしれない。
「お金がないと生きていけない。」
はたして本当にそうなのだろうか。
トーライの人々の暮らしに触れて、そんなことを考えさせられた。
参考文献
書籍:松村圭一郎編, 働くことの人類学, 株式会社黒鳥社, 2021年
そもそも酒粕って何?
熱燗の季節が終わり、少しずつ温かくなってきた今日この頃。ビールもいいけれど、季節によって味わいを楽しめる日本酒も最高。ぬる燗や冷酒なんかも美味しい季節に…。おっといけない。
そんな季節によって楽しみ方を変える“日本酒”。今回は、そんな日本酒を造る過程で生まれる副産物“酒粕”がテーマだ。日本酒を醸造させる為に必要な酒母と呼ばれる酵母。酒母に蒸米・麹・仕込み水を加えて発酵させる“醪(もろみ)”を搾る段階で、液体の日本酒と固体の酒粕が発生する。

参考:https://jp.sake-times.com/knowledge/word/sake_sakekasuを基に作成
酒粕を取り入れるメリット
酒粕は健康食品としての価値だけでなく美容効果も高いことから、多くのメリットが期待される。

参考:https://magazine.asahi-shuzo.co.jp/know/166を基に作成
美容面ではシミの元となるメラニン生成を抑制するコウジ酸が含まれている他、肌の調子を整えるビタミンB群や腸内環境を整えお通じ改善に効果的なオリゴ糖も含まれる。また、健康面では、酒粕に含まれる必須アミノ酸はたんぱく質の元となり栄養補給に効果的であるため、高血圧や肥満防止に効果的である。他にも、100種以上の酵素の働きによって消化吸収率が上がり、新陳代謝が活性化される働きがある。
摂取するメリット以外にも、料理の旨みを向上させる効果のあるとされる酒粕。一例として、酒粕を手軽に取り入れられる粕汁は、料理面・美容/健康面での効果を享受できる点で一石二鳥だ。

photo by writer
このように健康食として有用なだけでなく、美容効果も期待される酒粕だが現在”大量廃棄”されているという現実に直面している。
酒粕が大量廃棄されている現状

農林水産省の資料を基に作成
日本酒造りにおいて使用される日本酒好適米(酒米)のうち、酒粕となるのは全体の3-40%と言われている。
昨年の令和4年度は79.000tであるから、年間およそ20,000tの酒粕が生産されている。
かつてはキロあたり260円以上で取引をされていたとされる酒粕だが、現在はおよそ0円〜70円、中央値は30円程にしか満たないそうだ。つまり、酒粕の価値は90%以上も減少しているという事になる。

農林水産省の資料を基に作成
伝統的に“粕汁”や粕漬け等の食品として食べられたり、畜産農家の飼料として活用されてきた。しかし、取引価格低下による価値低下に伴って活用方法の拡大も限られている。こうして酒粕は、その優れた機能面とは裏腹に産業廃棄物として大量廃棄されてしまうことが少なくない。確認されているだけでも少なくとも年間約1800tは廃棄されているそうだ。
そこで今回は、捨ててしまうのはあまりにも勿体無い酒粕を、食の観点から暮らしに取り入れるヒントを探ってみようと思う。いくつかの企業で取り組みまれている、酒粕に付加価値を付けて生まれ変わらせるアップサイクル。実際に作られた商品を試してみた。
他にも、酒粕・甘酒など冬料理のイメージが強い酒粕を初夏の今美味しく食べられるようなレシピを考えてみた。スーパーで棚の隅で派手な主張もなく静かにその場に収まっていた酒粕。私が手にするとあまりにも嬉しそうに目を輝かせていた彼を、今日は主役にして差し上げたいと思う。
酒粕を暮らしに取り入れるという発想
①【飲料】クラフトジンという選択
「循環経済を可能にする蒸留プラットフォーム」をモットーに、酒粕からクラフトジン等の蒸留酒を生産するエシカル・スピリッツ株式会社。全国の酒蔵から本来であれば廃棄されていたはずの酒粕を購入し蒸留酒にアップサイクルさせる取り組みを行っている。

参考:https://shop.ethicalspirits.jp/pages/about-usを基に作成
蒸留酒の販売代金で米農家から購入した新米を今度は、酒蔵に納品することで酒粕が廃棄されることのない循環経済を生み出しているという。
こちらの企業によって販売されている、LAST GIN EPISODE 0シリーズと呼ばれるクラフトジンはMODESTとELEGANTの2種類のフレーバーから成る。ラベンダーやハイビスカスを中心とした香りのMODEST、生姜やシナモンの風味と味わいを取り入れたELEGANT。エレガントという自分とは程遠い表現へのないものねだりに惹かれ、早速購入してみた。

photo by writer
アルコール度数47%という数値に驚きつつも早速試してみる。

photo by writer
生姜だろうか。少しピリッとする香りが鼻を抜け、キリッとした味わいが舌に残る。夏のこの時期にピッタリな香りと味わいを感じさせてくれた。そしてほのかに酒粕が香るのが何とも言えない。とはいえ、甘酒のようにガツンと来る香りではないので酒粕が苦手な方でも飲めそうな気がする。
初夏の毎日の晩酌に持ってこいの一杯になった。こうなるとMODESTも気になってくるところ。至福の一杯を味わえて、しかもそれが酒粕の廃棄対策に繋がるならば喜んで酒豪になりたい。そんなことを思った。
②【食】酒粕由来の植物性発酵マヨネーズという選択
世界的にも注目度の高い“植物性由来のマヨネーズ”。アメリカでも市場規模の拡大は顕著だ。そんな植物由来のマヨネーズの主原料は一般的に豆乳・若しくは亜麻仁油やオリーブ油等植物由来の油脂であることが多い。そんな中、”酒粕由来”という新たな植物由来のマヨネーズが開発された。

photo by writer
無肥料無農薬の自然栽培米を使った「田んぼから醸造まで無添加」のコンセプトでお酒を醸造する「稲とアガベ株式会社」は秋田県の企業。日本酒の製造技術に長けた企業によって開発されたのが酒粕を使った植物性のマヨネーズ風調味料「発酵マヨ」だ。味や使い道は、一般的なマヨネーズと同じでありながら原料は全て植物性。田んぼから醸造まで一切の添加物を使用していない「酒粕」を主原料としている。
今回は、農家さんから購入したじゃがいも(ポム・デ・ラットと呼ばれるモッチリとした品種)と共に家庭菜園で摂れた大葉とシンプルに和えてみた。

photo by writer

photo by writer
しっかりとコクがありながら、酒粕の特有の風味がそこまで強くない。優しい甘みと酸味がじゃがいもとよく絡んで非常に美味しかった。
マヨネーズという、汎用性の高い調味料であることでより一層、料理の幅が広がりそうだ。こちらの発酵マヨネーズはからしや青のり、トリュフ風味などユニークな風味も同時に発売されており、食べ比べることで二度三度、いやそれ以上に酒粕ライフを楽しめそうだ。
③自宅で出来る簡単酒粕アレンジレシピ【酒粕プリン】
より身近に酒粕を暮らしに取り入れられるヒントとして、今回紹介するのは「酒粕プリン」である。
粕汁や甘酒など、どうしても“冬の料理”としてのイメージが強い酒粕。だが、初夏の今の時期に楽しめるメニューも沢山ある。酒粕味噌ディップや、酒粕チーズテリーヌなどなど様々あるが、今回は簡単に出来る酒粕プリンを紹介する。
材料もたった4つ。粕汁のように沢山具材を用意する必要も、煮込む必要もない。
【材料】仲良く2人分
①酒粕…20g
②豆乳…300ml
③砂糖…お好みだが大さじ2程度
④粉ゼラチン…5g
(お好みでトッピング用フルーツソースやきな粉、フルーツ)
ゼラチンを水で戻す。豆乳に酒粕と砂糖を加えて程よくレンジで温めて溶かす。ゼラチンを加えて冷蔵庫で冷やし固めたら完成だ。今回はココアパウダーと桃缶をトッピングした。

photo by writer

photo by writer
ツルッと食べやすい食感に、優しい酒粕がふんわりと香る逸品。味も、酒粕の主張はそこまで強くなく、豆乳のコクがまろやかにしてくれる。初夏のおやつにいかがだろうか?しかも、ズボラに食べるのであれば、ボウル1つで完結してしまう手軽さ。
このように、お肌の調子を整える美容効果に加えて、たんぱく質やアミノ酸を豊富に含み健康にも非常に良いとされる酒粕。料理の旨みすらもアップさせるとはあまりにも出来すぎているように聞こえるが、暮らしに取り入れることで新たな味わいや健康意識向上に繋がりそうだ。
料理だけでなく、飲料、そしておつまみやスイーツにも大活躍する酒粕。もはや、今すぐスーパーに駆け込んで今晩の夕食に取り入れてみてはいかがだろうか?
(参考文献)
栄養満点な「酒粕」を取り入れよう。効果と使い方を解説 – KUBOTAYA
日本酒造りで必ず生まれる副産物「酒粕」は栄養たっぷり!【専門用語を知って日本酒をもっと楽しく!】
「酒母(しゅぼ)」とは? 日本酒造りで重要な酒母について解説【日本酒用語集】
スーパーフード酒粕はすごい、体に期待できる健康美容効果6つを紹介 | syuumeilife
酒粕を活用してジンを造るエシカル・スピリッツ─捨てられてしまうものから新たな価値を見出す【日本酒とサステナビリティ】 | 日本酒専門WEBメディア「SAKETIMES」
「酒粕リユース・クラフトジン」好評につき、革新的フレーバーの新作発売決定!
「酒粕リユース蒸溜所」産業廃棄物として処分される酒粕をリユースし、ジンを創ると共に循環経済を実現する世界初のプロジェクトが始動
酒粕など廃棄される食材を活用する食品加工場「SANABURI FACTORY」オープンに向けて本日4月26日(火)11:30よりCAMPFIREにてクラウドファンディングを開始
マヨラーも知らない!酒粕をアップサイクルすると「発酵マヨ」になる! | Planet M
Vegan Mayonnaise Market Share and Demand Analysis with Size, Growth Drivers and Forecast to 2028
Why You Shouldn’t Waste Sake Kasu | Hakko Hub
What to do With Sake Kasu – Alternative Uses | Hakko Hub
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.maff.go.jp/j/seisaku_tokatu/kikaku/attach/pdf/sake_r4seisan-6.pdf
簡単!もちプル酒粕豆乳プリン レシピ・作り方 by とんcoock 【クックパッド】 簡単おいしいみんなのレシピが384万品

1960年代に盛んになった「カウンターカルチャー運動」。
ヒッピーやモッズが代表的に知られているが、実はこれらのカルチャーは生き方やライフスタイルを豊かにするヒントを与えてくれているのだ。
カウンターカルチャーとは何か、どんな文化なのか歴史を紐解きながら、そのヒントを探っていこう。
カウンターカルチャーとは

そもそもカウンターカルチャー運動とは、1940年代ころから始まり1960年代に更に盛んになった。
ベトナム戦争、商業主義、堅苦しい社会規範に対する反対・反発活動として中流階級の若者が始めたものだ。
本拠地となったのは、1960年代後半のアメリカはカリフォルニア州サンフランシスコ「ヘイトアシュベリー地区」。
そこからイギリスに伝わり、ビート運動のような政治的反対活動だけではなく、ファッション、音楽、アートなどの文化を通して自分たちの「在り方」を表現する若者が増えていった。
ポップカルチャーの先駆け「ヒッピー文化」とは

https://www.thecollector.com
1960年代にカウンターカルチャーが盛り上がる先駆けとなったのは「ヒッピー文化」が背景にある。
ヘイトアシュベリー地区で生まれたヒッピー文化はそもそも、戦争より平和を推進し、また主流のアメリカ文化や社会規範に反対するものだった。

https://digilab.libs.uga.edu/exhibits/
よく思い浮かばれるのは、その特徴的なファッションや音楽かもしれない。
しかしその一方で、表現の自由を勝ち取ろうとしたヒッピーが行っていた代表的なものは、下品な表現であったり、ドラックの使用であった。
そんなヒッピー文化や運動を目の当たりにしたら、きっとあなたは「過激な集団だ」と思ってしまうかもしれない。
無理もないだろう。
しかしその目的は、「そんなタブーにも臆さずに自由な愛・暮らしを求める信念の主張」でもあったのだ。
そしてその主張運動の1つに挙げられるのは、アフロヘアや明るい華やかな色の服などが特徴的な「ファッションスタイル」。
彼らは、自分が誰であるか、何を信じているのかを表現するものとしてファッションを利用していた。
このように個人主義を謳うヒッピー文化は結果的に、ファッション・音楽・メディアなどのポップカルチャーに革命をもたらし、社会改革をも奨励していったのだ。
カスタムスクーターがトレードマークの「モッズ文化」とは

https://mc-web.jp/
そんなアメリカで起こったヒッピー文化に影響されたのが、イギリスはロンドンで起こった「モッズ文化」。
平和推進、消費主義への批判、個人主義の主張を示すムーヴメントとなった。
そもそもイギリスといえば、紳士的、知的なファッションやスタイルのイメージ。
そんな中でイタリアに憧れをもつ若者が、戦後のまったりムードの中で大人に反発するように作り出したのがモッズ文化だ。

たくさんのミラーやライトをつけてカスタムしたスクーターを乗り回すというライフスタイル。
モッズ・スタイルと呼ばれる軍用コートがベースのファッション。
そのころのベーシックなイギリス文化とは真逆ともいえるスタイルが流行した。
モッズ文化もまた個々を主張する自由な表現によって、国の文化的価値観に影響を与えた動きの1つとなったのである。
ヒッピー&モッズ文化から生まれた時代の変化

「ヒッピー文化」と「モッズ文化」。
この2つのカウンターカルチャーに共通していることはなにか?
1つ目は「個性の主張」だ。
この時代の場合、今よりもっと規範だったり風潮だったりが制限されていることがあった。
なんとなくそこから外れてはいけないと過ごしていることも多かったはず。
そんな中でこれらカウンターカルチャーによって、「個性を出してもいい」「個性を主張してもいい」という新たな流れが生まれたのではないだろうか。
2つ目は「人々の視野と多様性を広げたこと」。
それぞれの国でなんとなく一貫性のあるファッションや音楽、ライフスタイル。
どんな人でも密かに他国への憧れ、自分なりの感性があったはず。
カウンターカルチャーは中流階級の若者たちの間で最初にトレンドとなり、その後年齢や性別、国の垣根を越えていった。
カウンターカルチャーが人々の視野を根本的に広げたことで、必然的に多様性をも広がっていったと考えられるのではないだろうか。
カウンターカルチャーから学ぶ暮らしや人生のヒント

カウンターカルチャーが与えてくれる、生き方やライフスタイルを豊かにするヒント。
それは
・変化、主張、表現することを恐れない
・視野を広げて、枠にはまらない
これらによって、暮らしのなかで「自由度」を獲得していくことではないだろうか。
人の目が気になる、人からの評価が気になる人もいるかもしれない。
しかし、自分なりに工夫して主張や表現をして変化すれば、そのあなたの感性、スタイルを受け入れてくれる人が現れ、受け入れる流れができてくる。
カウンターカルチャーが盛んになった時代よりも今の方が個々の主張をしやすい理由として、「大勢で同じ主張をする必要がない時代である」ことが挙げられる。
過去は、大きく言えば政府相手に起こしたムーヴメントでもあった。しかし今は少しずつ、新たな多様性やカルチャーが受け入れられやすくなっていきている。
だからこそ自分自身でいろんなものに目を向けて視野を広げ、枠からはみ出してみよう。
ファッション、音楽、ライフスタイル全てにおいて、主流や正解はないもの。
少し勇気を出して自分を表現し、生き方やライフスタイルの自由度を獲得し、もっと色づいたあなたの人生を楽しんでみるのもいいかもしれない。
【参照】
1960 年代と 1970 年代のカウンターカルチャー ヒッピー運動
モッズは「英国生まれのカウンターカルチャー」 なぜ若者達はミラーだらけのスクーターに軍用コートで乗ったのか?
カウンターカルチャー運動
SWINGING SIXTIES
WHAT IS THE COUNTERCULTURE OF THE 1960’S?

via:https://unsplash.com/ja
「家族」というと、どんな形態を思い浮かべますかー。
一般的に思い浮かべるような、父・母・子という家族の形は、もう古いかもしれません。現在、伝統的な家族観に囚われない家族を包括する概念に、 “オルタナティブファミリー”というものがあります。
オルタナティブファミリーとは、alternative(代替する)とfamily(家族)からなる言葉で、ひとり親やステップファミリー、LGBTの家族……など、従来の核家族の形をとらない家族のことを指します。
近年、そんな従来の型にはまらないオルタナティブファミリーの数が増加しています。
なぜ“オルタナティブファミリー”が増えている?

via:https://unsplash.com/ja
核家族以外の家族が増加している背景には、離婚率の上昇や女性の社会進出、また価値観の多様化などの変化があります。
家族の形態がどうであれ、最も重要なポイントは、子どもたちを安全で愛に満ちた環境で育てようと、またお互いを大事にしようと、努力することにあると言えるでしょう。そのために、オルタナティブファミリーに関する偏見や差別をなくし、社会的な支援や理解を促進することが必要とされています。
オルタナティブファミリーの例
ここでオルタナティブファミリーと呼ばれる、家族の例をいくつか紹介しましょう。
ひとり親家族
ひとり親家族は、子どもをひとりの親が育てる家族形態のことを指します。結婚やパートナーシップの解消、死別などの理由がありその数は増加。日本でも、1984年から2011年の間で母子世帯数は約1.7倍に、また父子世帯数は約1.3倍に増えている*と言われています。
また元から結婚せず、独身で子育てをする選択をするケースも広がっています。
ひとり親家族(特に母子世帯)は一般的な家族形態と比較し、経済的な困難を抱えるケースも多く、社会的な支援が必要とされています。
*参照 第2節 高齢者,ひとり親の状況 (内閣府男女共同参画局)
ステップファミリー(再婚家族)
ステップファミリーとは、離婚や再婚などによって、血縁関係のない親子がいる家族のことです。
どちらか片方の親に、元パートナーとの間に生まれた子どもがいる場合、両方の親にそれぞれ子どもがいる場合、また再婚後に生まれた子どもがいる場合……など、ステップファミリーの中でも、形態はさまざまです。
里親や養子縁組

via:https://unsplash.com/ja
子どもを育てられない親の代わりに、一時的に子どもを預かって養育する「里親」制度。一方「養子縁組」は民法に基づいて、法律上の親子関係を作る制度のことです。どちらも、血縁関係がない親子が家族として生活する形の一つです。
日本では、2020年に民法が改正され「特別養子縁組制度」の対象年齢が、6歳未満から15歳未満に引き上げられました。15~17歳でも一定の条件のもと、養子縁組が可能です。
虐待や経済的な事情など、さまざまな理由で親と暮らせない子どもの数は多くいます。また不妊問題やLGBTQなど家族形態の増加に伴い、里親や養子縁組の制度は今後も必要とされるでしょう。
LGBTQ家族

via:https://unsplash.com/ja
レズビアンやゲイカップルなどのLGBTQ家族も、近年増加している家族形態の一つです。「一夫一妻」の形態を取らないケースが多く、性別の役割を持たずに子どもを育てている場合が多いのが特徴です。
LGBTQ家族は、養子縁組や精子バンクの利用、代理出産などを通じて子どもを迎えることが可能です。
一方、2023年4月9日現在、日本では同性婚が法的に認められていない現状があります。複数の地方自治体でパートナーシップ制度が導入されていますが、法律的な効力はなく、制度化の検討が必要だと言えます。
共同育児(Co-Parenting)
Co-Parentingと呼ばれる共同育児は、元々両親が離婚した後も一緒に子育てをするケースに使われることが多かった呼び方です。近年では、コミュニティハウスで複数の家族が一緒に育児を行う場合、またLGBTコミュニティ内で共同育児を行う場合も増えてきています。
共同育児のメリットに、子育ての負担を分散できること、また想定される役割がないことが挙げられます。
多様化する家族のあり方

via:https://unsplash.com/ja
社会の変化に伴い、従来の家族形態が多様化している今。これらのオルタナティブファミリーが、より社会の中で生活をしやすくなるためには、新しい法律的な枠組みや支援制度が求められています。
また、オルタナティブファミリーは、伝統的な家族に対する価値観の変化をもたらすこともあります。例えば、レズビアンカップルや非法律婚カップルは、通常形態の家族(法律婚異性愛家族)と比較し、家事分担が平等であること*が明らかにされています。家族内での役割が、ジェンダーや法律契約の有無によって、変わってくるのです。
*参照 釜野 さおり,“Housework and lesbian couples in Japan: Division, negotiation and interpretation” ,2009
従来の「一夫一妻」の形にとらわれないオルタナティブファミリーには、このように家族の役割や家族そのものの “あり方”を問う側面もあります。
家族は、どうあるべきなのか。そもそも「家族」とは、何なのかー。
色々な家族の形がある方が、私たちは心豊かにいい暮らしを送っていけるかもしれませんね。
参考元:https://www.huffingtonpost.co.uk/sarah-garrett/what-is-an-alternative-fa_b_11564254.html
養子縁組について知ろう (法務省)
Co-parenting: How to make it work, tips, and more
法改正後に見えてきた特別養子縁組の新たな課題 (日本財団)
あなたは自分自身について考えたことはあるだろうか。
あなたはどんなときに怒る?何を食べればハッピーな気持ちになる?好きな色は?
これらの質問に、悩まずに答えられる人はそう多くはないはずだ。

スマホを見れば大抵の情報は分かる現代、どこにも描いていないのが自分自身についてのこと。
恋人と別れたり、仕事で大失敗したり。人生において大きな出来事が起きると、わたしたちはパニックに陥ることがある。

そんなときに、あなたの心の支えになれるのはあなただけ。
そして、自分らしい人生を歩む他の決断をする、これもあなただけにできること。

死ぬまでずっと付き合う自分だからこそ、扱い方を深く知っておきたい。そこでおすすめしたいのが、思考ツールとしてのライティングだ。
ぐちゃぐちゃの感情の記録がやりたいことを浮き彫りにする
なぜかわからないけど、そう感じる。そう思う。そんな曖昧な感情は、書きなぐってしまおう。

書いていくうちに、あなたのやりたいことが浮き彫りになってくるはずだ。
例えば、会社に行くのが「なんとなく」つらいと思ったとしよう。書き溜めておいた日記を見返すと、こんな文言があった。
・イラストの練習をしたいが帰宅後そんな元気はない
・休み時間に絵の練習をしたいけどランチの輪から離れるのが怖い
・満員電車を避けるために早起きするようにしている
まとめると、「自分のやりたいことができない今の状況に満足できない自分」が見えてくる。

つまり、会社に行くのが「なんとなく」つらいの正体は、自分らしい生活ができない元凶である会社に対する嫌悪感にあったとわかる。
原因がわかれば、対策が打てる。同僚との昼食後にサラッと席を立つのもよし、フルリモートの会社に転職して時間を確保するのもよし。

あなたが残す言葉の数々をつなぎ合わせると、日々の不満の正体や、自分のやりたいことがだんだん見えてくるようになるのだ。
自分と向き合うために!書くときのコツ3つ
書くことの重要性がわかっても、どう書けばいいのかわからない。これはもっともな疑問だ。
書くときにおすすめしたいのが、以下3つのポイント。学校で習う作文のように形式ばる必要はないし、決まった文字数に収める必要もない。
1.自分のために書く
全ての文章は自分のために書くことを忘れないようにしよう。

人は見栄っ張りなもので、どうせ書くのなら評価されそうなものをつくろうと考えがちだ。しかし、自分と向き合うために他人からの評価は必要ない。
まずは自分の思ったことを素直に文字にしたためるようにしよう。
2.100点満点を目指さない
日記というからには、一日の出来事を細かく記録しなければいけないと思ってない?

大切なのは、思ったことを素直に表すことであって、全てを正しく記録することではない。例えば、以下のような文だって立派な日記だ。
・バナナジュースは意外と美味しいと分かった。
・家を出たら隣人とばったり会ってしまい、あいさつした。恥ずかしかった。
・最近肩が凝ってしんどい。
あなたがその日に思った感情を、後で読めるように残しておく。それだけにフォーカスして、100点満点を目指すのはやめよう。
3.読み返して自分を知る
日記がある程度溜まってきたら、ザッと読み返してみよう。

あれがおいしい、あんな思いをした…どうでもいいことのようにも思えるが、それは確かにあなたが感じた思いだ。
「そういえば、たまにこの味が恋しくなる」「職場のあの人、いつもフォローしてくれて助かるな」
日々感じたことを残しておくことで、自分が身の回りのモノやコトをどう感じているかが分かるようになり、それが「やりたいこと」を見つけるのにもつながってくる。

まずはペンをもって書くことから。何ならオンライン日記ツールでササッと書き込むのもいいだろう。とにかくやってみることが大事だ。
手軽な日記からあなたの不安の種を突き止め、やりたいことに向かって突き進もう。
参考元:
METROPOLITAN STATE UNIVERCITY OF DENVER,”Writing as a Thinking Tool”,https://www.msudenver.edu/writing-center/faculty-resources/writing-as-a-thinking-tool/
東洋経済,”イライラ・怒りが減る「1日3行日記」のすごい効果”,https://toyokeizai.net/articles/-/478749?page=3
車で牽いて移動できる家「トレーラーハウス」は、いままで「不動産」として扱われてきた家のあり方を変えるものとして、ジワジワと注目を集めています。
このトレーラーハウスですが、「家の本体」と「家を載せる部分」に分けることができます。このうち、家を載せる部分はシャーシと呼ばれ、移動用のタイヤが付けられ、乗用車とドッキングできるようアタッチメントが付けられているのです。
トレーラーハウスの基礎となるシャーシですが、大きさ別に種類があることをご存知でしょうか?この記事ではトレーラーハウスのシャーシについて解説をします。
◎トレーラーハウスってなに?という方は、こちらをご覧ください
⇒【タイニーハウス】スモールハウスやトレーラーハウスなど、日本で買える小さな家の種類とは?
種類は2種類、サイズ別トレーラーハウスの特徴とは
トレーラーハウスのシャーシですが、日本国内で手に入りやすいものは「12ft(フィート)」と「20ft(フィート)」のものです。
ft(フィート)という馴染みのない単位が出てきましたが、これは欧米で使われている長さの単位。1ftは約0.3mです。
この大きさは貨物用コンテナのサイズに合わせて作られており、日本で手に入るトレーラーハウスのシャーシの多くはこの2つのサイズになります。(海外製のものやオーダーメイドで10ftや18ftサイズを作ってくれるメーカーもありますので、気になる方は探してみましょう)
これら2つのシャーシですが、それぞれどのような特徴を持っているのでしょうか?その特徴をご紹介します。
◎12ft(約5畳)の特徴
・比較的牽引がしやすい
12ftのシャーシは長さ約3.6m。約6mの20ftシャーシに比べて短いので、公道で取り回しやすいことが特徴です。小さいため水回りなどは充実させられませんが、比較的牽引しやすいので、休日の旅行先でコテージの代わりにしたり移動式できるお店にしたりと、様々な使い方ができます。
・購入、建築コストが安い
12ftシャーシは20ftのものより比較的安価で、購入費用を抑えられます。上に建てる家も小さなものになるので建築コストが安く、経済的に「移動する家」を手に入れることができます。
◎20ft(約9畳)の特徴
・居住空間が大きく、シャワーなどの設置も可能
20ftのシャーシは、約9畳の家を積むことができます。これくらいのスペースがあれば、キッチン・シャワー・トイレの設置も可能。居住面積が広くとれるので、2〜3人で住むことも可能です。牽引は難易度が高く技術が求められますので、移動はあまり行わなず「将来的に移動ができたらよい」と考えている方はこちらを選ぶとよいでしょう。
・手に入りやすい
日本ではまだ馴染みがないトレーラーハウスは、シャーシを販売しているメーカーが多くありません。多くのメーカーで販売されているのは20ftのもので12ftは少数派。手に入りやすさを考えると、20ftに軍配が上がります。
▼YADOKARIでも20ftシャーシの販売をしています。
⇒https://yadokari.net/wp/orchestra-trailer/
ブレーキとナンバープレートは必須!トレーラーハウスに必要な設備
次はトレーラーハウスに必要な設備について解説します。どれも必要なものなので、シャーシを買う際には必ず確認しましょう。
・ブレーキ
法律上トレーラーハウス「車両を利用した工作物」として扱われています。そのため、ただタイヤが付いているだけでは公道を走ることはできません。ブレーキには「機械式慣性ブレーキ」と、けん引車のブレーキに反応して作動する「電磁ブレーキ」の2種類があり、電磁ブレーキの方が安全性は高めです。
・ナンバープレート
公道を走る場合はブレーキと同じく、ナンバープレートを取得する必要があります。ナンバープレートを取得できるトレーラーハウスは、全長12,000mm、全幅2,500mm、全高3,800mmのもの。それ以上のものは大型トレーラーハウスに区分され、ナンバープレートは取得できません(大型トレーラーハウスが公道を走る際は、「基準緩和認定書」「特殊車両通行許可書」という2つの書類の交付を受ける必要があります)。
・ブレーキライト
これも公道を走る際に必要な設備で、車両と同じく後続車にブレーキのタイミングを伝えるものです。
・ライフラインの着脱機構
電気・ガス・水道などのライフラインを手動で着脱可能になるアタッチメントで、簡単にライフラインが着脱できるようになるので移動しやすくなります。
移動できるから手に入る自由
家でもあり車両でもあるトレーラーハウスは、普通の家とは違う設備が必要な住まいです。住む場合も移動する場合もそれぞれ守らなければいけない法律があり、違反した場合は罰則の対象になってしまいます。
法の規制があるトレーラーハウスですが、法を守ったうえで、その特徴を知って家を建てれば、今までの家とは異なる可能性に満ちた住まいになってくれるはず。ライフスタイルに合わせて移動したり、旅行に連れて行ったりと、楽しい生活を送れるトレーラーハウスにあなたも住んでみませんか?
【WHAT IS TINY タイニーハウスを買う前に、読んでおきたい記事一覧】
◎【タイニーハウス】スモールハウスやトレーラーハウスなど、日本で買える小さな家の種類とは?
◎小さくて豊かな暮らしのベース、タイニーハウスとは?
◎タイニーハウス、トイレやお風呂はどうするの?必要な設備について
“農業”と“農ある暮らし”の違い
労働時間が長くて、休みが少ない。おまけに収入も不安定。
“農業”というワードから連想されるイメージは必ずしもポジティブなものばかりとは限らない。
事実“食を支える”というポジティブなイメージの裏側ではこうしたマイナスイメージ通りの現状が存在する。
日本人の平均実労働時間が7時間54分と言われる中、7割を超える一部の農家さんが8時間以上働いている現状。中には12時間を超える農家さんも1割程度もいるというから驚きだ。

ポケマル調べ
また、平均108日と言われている日本の年間休日。8割以上の農家さんの年間休日は84日以下。
そのうち、65日未満は全体の6割を占めるので、1カ月あたりの休みも5-6日。想像すると、なかなかハードな日常であることが容易に想像できるだろう。

ポケマル調べ
こうしたいわゆる“農業”に対して、近年広まりつつあるのが“農のある暮らし”という生き方。1990年代に塩見氏によって提唱された「半農半X」の考え方も、農ある暮らしに紐づけられる。自分や家族の食べる分の食材を自給でまかない、残りを「X」つまりは自分の心からやりたいと思える天職に時間を充てるというものだ。
ただ、農に携わると言っても、その関わり方や度合いはかなり柔軟でよいとされている。田舎で電気に極力頼らない完全自給自足生活を送るといったものから、都会のアパートのバルコニーで野菜を育てる程度まで。農部分とX部分にかける時間を自分で選ぶことが出来るため、労働時間や休日日数に対する柔軟性がある。
また、農部分とX部分を掛け合わせた新たな取り組みを始めることも選択肢として生まれえる。例えば、自宅のオフィスを改装したカフェで、自分の畑で育てた野菜を使ったメニューを開発する。自分でもち米を育てつつ、全国を巡る楽器奏者が各地のライブハウスでお米の販売を行うといった例も実在する。
このように“農業”と“農ある暮らし”の一番の違いは、農に充てる時間や関わり方の柔軟性。それから“農”はあくまで自給的なものであって収益をあくまで二次的な副産物と捉えるという考え方も違いと言えそうだ。
“農ある暮らし”ってどうやって始めるの?
新型コロナウイルスの流行で家庭菜園を始めた。
フルリモートが可能となったので思い切って実家のある地方に移って畑を引き継いだ。
農業に関する記事や、周囲の友人の話を聞いている中で、新型コロナウイルス流行前よりは田舎暮らしや移住を始めるハードルは確実に下がっていると実感することが多い。実際に、家庭菜園で比較的場所を問わないさつまいもの栽培を始めたことをきっかけに、農業高校に通った方も身近に存在する。自分用の野菜を育てるためにという目的で始めたものの、今では週末のマルシェで焼き芋として販売したり天職としても農を取り入れている程だ。
とはいえ、こうした例は実は極稀なこと。今日明日でいきなり今の自分がいる住環境をガラリと変えることはなかなか難しい。農ある暮らしを実践したい、憧れがあると思っても、実際に始めるまでのハードルが高そう…と思っている方もいらっしゃるのではないだろうか。
そこで今回は、そもそも“農ある暮らし”ってどうやって始めるのか。
住む場所を変え、田舎暮らしをしなくてはいけないのか、大きな畑や庭がないと出来ないのか。そんな方々に向けた“農ある暮らし”を始める第一歩となりそうな事例を今回は紹介していく。
“農ある暮らし”をお試ししてみよう:海外のWWOOFという考え

ライター作成
皆さんは海外で盛んなWWOOFという取り組みをご存じだろうか?特にオーストラリアではよく聞く取り組みである。ウーファーと呼ばれる労働者が、ホストと呼ばれる農家の元へ住み込みをする。彼らは1日平均4-6時間の労働力を提供する。そしてその代わりに、ホストは寝床と食事などの住環境を提供する。このWWOOFと呼ばれる仕組みにおいてにおいて給与は発生しない。しかし、ウーファーは農の知識や新しい人脈を獲得し、ホスト側も人手や新たな人脈を獲得するという双方にとってwin-winな関係が成立する。

ライター作成
両者がWWOOF専用のサイトに登録し、プロフィール欄に情報を入力することでマッチングするという仕組みの下で行われる。ウーファーは農家の暮らしを体験することで農をより身近に感じることが出来る。
金銭のやり取りを交えない交流の中で新たな人脈や農業での知識を獲得し、自らの生活に“農”を取り入れ心豊かな生活を送るきっかけに繋がる。
“農ある暮らし”をお試ししてみよう:日本で見つけたWWOOFに近い経験
日本にもWWOOFは存在するが、なかなか日常で単語を聞くことは少ない。
確かにお給料を頂いて、農家に住み込みをするサービスや取り組みはいくつか存在する。「おてつたび」と呼ばれ、「お手伝い」と「旅」を掛け合わせた名前で自分に合った条件で農家さんの下でお仕事をするサービスは最近テレビでもよく取り上げられている。
だが、“農ある暮らし”において収入はあくまで副産物。これまで生きるために稼ぎ、お金を使うことでのみ得ていた幸福感。それを半自給的で小規模な農に携わることで、得ることが“農ある暮らし”の本来あるべき形と言える。

島旅農園「ほとり」公式画像
そこで今回御紹介するのが香川の離島にある「島旅農園ほとり」と呼ばれる宿での農体験。
この宿では「ヘルパー」と呼ばれる制度が存在する。この制度では、WWOOFと同じく給与が発生しない。代わりに、宿での宿泊および食事の提供(ほとりでは共同調理スタイル)が約束されている。ヘルパーの主な内容は季節ごとに変化する農作業で、募集期間は1週間からの日程で行われている。
しかし、どうしても農体験を経験したかった私。オーナーの唐崎さんに無理を言って1日限定のヘルパー体験をさせていただいた。

宿のオーナー兼島唐辛子農家でもある宿主の唐崎さんが家庭菜園として使用している畑の農作業。農薬・化学肥料不使用の畑において季節に応じた農業体験をすることが出来る。私が向かった10月は、秋冬野菜の種まきと植え付けが主な作業だった。

photo by ライター

photo by ライター

photo by ライター
スーパーがないため食材を購入するにはフェリーを用いて本土へ出向く必要がある離島。
唐崎さんの畑で収穫された畑の作物は、彼普段の食事や宿でお客さんに提供する料理に使用される。
農体験と一言で言っても単なる収穫体験とは少し異なる。
まずは土をならして畝を作るところから。初めての農具の重さや力仕事に手こずる。野菜によって土の表面に植えたり、少し深い部分に植えたり。唐崎さんの解説を基に農作業を進めていく。
終わる頃にはクタクタ。だが、一筋縄ではいかない種まきや土ならしを経験し自分の心の声が聞こえたり。少し冷静になれたり。農作業に集中することでこれまで気に留めることが少なかった自然について考えているから不思議だ。
そして、夜ご飯には唐崎さんが以前畑で収穫したねぎやお味噌汁を使った料理を共同調理という形で自炊を行う。島でおじちゃんから頂いた無花果、おばちゃんが獲ってきたひじき。誰かのことを思い浮かべながら頂く食事は思いがけず感謝やそのありがたみについて気づかされる。
東京へ戻った後も逐一、唐崎さんが生育状況について連絡をくださる。実際に自分が畑を持っているわけではないが、自分が植えた種が育っているのを見聞きする。労働力の代わりに対価を頂く普段の労働とは全く異なる。第二の故郷とも言える場所や唐崎さんを通じた他の農家さんとのご縁が、今回の経験によって心の豊かさに直結していることを日々実感する。


自分の畑があるわけではないが、これもまた新しい“農ある暮らし”の在り方のように思う。離島で頂いたご縁が、畑を通じてまた、離島へ向かう理由にもなりえる。
一口に“農ある暮らし”と言ってもその在り方は十人十色。田舎暮らしをして自分の畑を持つのことも、私のように自分の畑はなくとも各地の農家さんの元へ出向いて”お試し農体験”を積むのも農との関わり方の1つの形だ。このように時間的拘束や収入に囚われない新しい農との関わり方を見つけてみてはいかがだろうか?自分なりの、そして自分だけの“農ある暮らし”を楽しんでみてほしい。
(参考元)
https://www.japantimes.co.jp/life/2023/01/21/%20lifestyle/han-no-han-x-farming
https://wwoof.com.au/
https://poke-m.com/stories/621?_k_ntvsync_b=eyJhcHBfaW5mbyI6eyJtb2R1bGVfaW5mbyI6eyJjb3JlIjoiMi4xNC4wIiwidXRpbGl0aWVzIjoiMy4zLjAiLCJpbl9hcHBfbWVzc2FnaW5nIjoiMi44LjEiLCJyZW1vdGVfbm90aWZpY2F0aW9uIjoiMi40LjAiLCJ2YXJpYWJsZXMiOiIyLjEuMCJ9LCJzeXN0ZW1faW5mbyI6eyJkZXZpY2UiOiJpUGhvbmUiLCJvcyI6ImlPUyIsImJ1bmRsZV9pZCI6ImNvbS5wb2tlbS5wb2NrZXRtYXJjaGUiLCJzY3JlZW4iOnsid2lkdGgiOjQxNCwiaGVpZ2h0Ijo4OTZ9LCJtb2RlbCI6ImlQaG9uZTEyLDEiLCJvc192ZXJzaW9uIjoiMTYuMy4xIiwibGFuZ3VhZ2UiOiJqYS1KUCIsImlkZnYiOiJDMUQ0RDA3RS1GMDNFLTQ4QjAtOUMwOC1CREJGQUI2NDRBQTQifSwidmVyc2lvbl9uYW1lIjoiMi43MC4yIiwia2FydGVfc2RrX3ZlcnNpb24iOiIyLjE0LjAiLCJ2ZXJzaW9uX2NvZGUiOiIxIn0sInRzIjoxNjgyNDYxNDE2LjQzNDgzOSwidmlzaXRvcl9pZCI6IjkzM0FFOUZBLTEzNTctNDcyMi05QkQ1LUM3QzBGMkI4NTdGMSIsIl9rYXJ0ZV90cmFja2VyX2RlYWN0aXZhdGUiOmZhbHNlfQ==
https://www.asahi.com/sp/articles/ASQ6Z43TRQ62OXIE005.html
https://shimatabi-hotori.wixsite.com/official/general-3

トレーラーハウスもローンで購入可能!?小さな暮らしをより手軽に手に入れる方法
コロナの影響も相まって、価値観に様々な変化がおきている近年、場所に囚われず働くことができるようになった今、地方移住や、2拠点居住を始める方も多くなってきました。
かつては”別荘”といえば富裕層の限られた人のみが所有できるものというイメージでしたが、最近では、家よりも気軽に購入できるトレーラーハウスが別荘として選ばれ、幅広い世代から注目を浴びています。
別荘と言われて思い描く「豪華絢爛な建物」ではなく、トレーラーハウスを利用した小さな暮らしだからこそ、こだわりを詰め込みながらも手軽に手に入れられるのが魅力となっています。
しかし、小さな暮らしとはいっても、土地探し、土地の購入、トレーラーハウスの購入からライフラインの引き込みなども含めると、建築物を建てるよりはるかに安いものの、それなりの出費はつきものです。
そこで今回ご紹介するのがトレーラーハウス購入ローン!
トレーラーハウスの購入費用も分割払いをすることで、より手軽に手に入れる方法をご紹介します。

|トレーラーハウスの購入にはどんな費用がかかる?
・土地購入費用
・トレーラーハウス本体費用
・車検登録費用
・牽引設置費用
・ライフライン接続費用
土地購入費用
ご自宅の庭に別棟として置く方もいれば、新たに土地を購入する方もいます。
トレーラーハウスは車両のため、市街化調整区域など建築不可の土地でも設置が可能です。
ポイントは、”トレーラーハウスの搬入経路は確保できるか”、”大きな高低差はないか”という点です。
トレーラーハウスは現地施工ではなく、完成品を搬入するため、道路幅は最低でも3m以上必要です。
また、大きな高低差があるとトレーラーハウスの水平を保つことができず、大規模な整地が必要となる場合があるので、できる限り平坦な土地を選ぶのをお勧めします!
トレーラーハウス本体費用
トレーラーハウスのサイズ、内外装のグレードによって金額が変わります。
用途によってどのサイズが快適か、実物を見たり、体験宿泊をしながら、
トレーラーハウスのサイズを決めていきましょう!
車検登録費用
YADOKARIのトレーラーハウスは全て車検付きです。
車検費用とは他に、自動車税などの諸税とナンバープレート発行手数料などが必要です。
牽引設置費用
トレーラーハウスは車両重量が750kg以上の場合は、牽引免許が必要です。
ご自身で牽引免許を取得する方もいらっしゃいますが、最大3.5tものトレーラーハウスを牽引できる馬力のある車両である必要があるので、牽引業者に配送から設置までを依頼するケースが多いです。
ライフライン接続費用
トレーラーハウスで生活をするためには、電気や水道の接続が必要になります。
接続の際は、随時移動ができるように”工具を使用せず着脱出来る方式”で施工することがポイント。
また、道路からどのくらい設置場所が離れているかによって、接続費用が大幅に変わります。
土地から探される方は、ライフラインの接続費用も事前に確認しておくことも大切です。

|トレーラーハウスの購入に利用できるローンってあるの?
リサーチをした中で、トレーラーハウスに使えるローンを発見!その一部をご紹介します。
スルガ銀行さんでは、トレーラーハウスの購入時に利用できる専用ローンの取り扱いがスタートしたそうです!
これまでの初期費用の負担を大幅に減らすことで、より多くの方がトレーラーハウスのある暮らしを始めやすくなりそうです。個人用としてトレーラーハウスをご購入される方は、スルガ銀行さんの「トレーラーハウス購入ローン」をご検討されてみてはいかがでしょうか?
以下、スルガ銀行さんの「トレーラーハウス購入ローン」の商品ページから一部をご紹介します。
●ローンの対象となる費用(一例)
ートレーラーハウス本体費用
ーオプション費用(カスタム費用)
ー車検費用
ーその他諸経費(運送費等)など
ー牽引設置費用
ーライフライン接続費用
●融資額
10〜800万円まで
●金利
年2.5〜7.5%
●ご返済回数
6〜120回
●特徴
ー最短翌営業日で仮審査が可能!(別途、本審査がございます)
ーパソコンやスマホから24時間お申し込み可能!
ーコンビニやATMで繰り上げ返済可能!
※事業目的及び投資目的でのご購入にはご利用いただけません。
※事業者を介さない個人間売買でのご購入にはご利用いただけません。

|YADOKARIのトレーラーハウスではじめる小さい豊かな暮らし
トレーラーハウスのように、より小さく、より気軽に、けれども暮らしの幅は広く、夢は大きく!早速、トレーラーハウスのある暮らしをはじめてみませんか?
YADOKARIでは用途に合わせて様々なトレーラーハウスをご用意しております。
プロダクトページはこちら:https://yadokari.company/products
●Tinys INSPIRATION
20ftサイズ/シャワー・トイレ・ミニキッチン付き
本宅、別荘、ゲストルームにぴったりなスタイリッシュなデザイン

●Tinys Living
20ftサイズ/シャワー・トイレ・ミニキッチン付き
本宅、別荘、ゲストルームにぴったりな木のぬくもり溢れるデザイン

●STORK
12ftサイズ/水回りなし
アイキャッチにもなる近未来的な斬新なデザイン

●HAWK
20ftサイズ/水回りなし/カウンター付き
和を感じさせる移動できるオフィス空間

●METOS ASEMA
サウナトレーラー/薪ストーブ付き
どこでも本格サウナが楽しめるトレーラー

|YADOKARIのトレーラーハウスを見にいこう!
<トレーラーハウスの宿泊施設>
Tinys Yokohama Hinodecho
住所:〒231-0066 神奈川県横浜市中区日ノ出町2-166先
ご予約はこちらから⇨https://tinys.life/yokohama/
定休日:火曜日
<トレーラーハウス展示場>
Tinys Lab Hiratsuka
住所:神奈川県平塚市馬入2186付近
https://goo.gl/maps/iCTrcrVghjLPhq7UA
営業日:平日11~16時 ※完全予約制
|ローンについての詳細は専用ページへ!
詳しくはスルガ銀行のトレーラーハウス購入ローン専用ページをご覧ください。
トレーラーハウス購入ローン専用ページ
※ローンについての説明書は、スルガ銀行ホームページにご用意しております。
※本ローンはお客様とスルガ銀行との2者間契約となり、提携ローンではございません。
※本ローンの内容は、2022年9月1日現在での内容となります。
クィア映画の歴史と“クィア”
「クィア映画」とは、LGBTQ+を登場人物にした作品や、当事者たちが制作した映画のジャンルを指します。
元々“クィア(Queer)”という言葉は、「奇妙な」「風変わりな」といった意味合いを持ち、ゲイやトランスジェンダーに対する蔑称でもありました。しかし、そんな“クィア”という言葉を性的マイノリティを包括する呼称として当事者たちがあえて名乗ることで、差別に打ち勝とうとしてきた歴史があります。そのため今回もLGBTQ+映画を、あえて「クィア映画」と呼ぶことにしましょう。
20世紀初頭の映画には、性的マイノリティな人物はほとんど登場しませんでした。その後LGBTQ+が映画内で描かれることはあっても、引き立て役のような役割が多く、主人公となることはほぼありませんでした。またアメリカ映画界では、1934年から68年まで「ヘイズ・コード」によって同性愛描写が禁止されていたように、映画界ではヘテロセクシュアルな物語が長く受け入れられてきました。

@via:https://cinemafromthespectrum.com
しかし1990年代に入り、LGBTQ+を描いた作品が「ニュー・クィア・シネマ」と呼ばれるなど、クィア映画が人々に評価されるように。カンヌ国際映画祭の独立賞の一つとして、“クィア・パルム”賞が生まれるなど、映画界においてクィア映画が一定の地位を築くように変化してきたのです。
クィア映画の名作を紹介
LGBTQ+を描いた作品には、様々なものがあります。今回はその中でも、特に「映画史に影響を与えた」と言える、2000年代以降のクィア映画をご紹介しましょう。
『ブロークバック・マウンテン』(2005)

@via:https://theplaylist.net/
2006年のアカデミー賞で監督賞を含む3つの賞を受賞した作品。
監督はアジア系のアン・リーで、ジェイク・ギレンホールと今は亡きヒース・レジャーが主演を務めました。
アメリカ西部、出稼ぎ労働先の牧場で出会った、カウボーイ同士の恋愛と人生を描くストーリー。60年代アメリカの封建的な社会の中、受け入れられない葛藤や想い、その行き先が描かれています。
本作品は同年のアカデミー最作品賞の最有力候補と言われていたものの、結果は敗退。当時言われていた「同性愛を扱った映画は作品賞を獲れない」というジンクスを破ることはできませんでした。
アン・リー監督/134分/アメリカ
原題:Brokeback Mountain
『わたしはロランス』(2012)

@via:https://www.cinematheque.qc.ca/fr/
2012年度のカンヌ国際映画祭 クィア・パルム賞を受賞した作品。カナダ・モントリオールに住む国語教師ロランスが、恋人フレッドに「これまでの自分は偽りだった。女になりたい。」と打ち明けてから10年間にわたる、2人の姿を描いた物語です。
本作品は、生まれた時に割り当てられた性別と、自身で認識する性が異なるトランスジェンダー女性を描いた一作と言えます。公開当時23歳だった、若き奇才グザヴィエ・ドラン監督独自の映像表現が素晴らしい映画です。
グザヴィエ・ドラン監督/168分/カナダ・フランス
原題:Laurence Anyways
『アデル、ブルーは熱い色』(2013)

@via:https://www.bitchmedia.org/
カンヌ国際映画祭で審査委員長のスティーヴン・スピルバーグが称賛した作品。青い髪をした美大生・エマと強烈な恋に落ちた高校生・アデルを描いた物語で、当時はベッドシーンも話題になりました。
本作品は、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞。監督だけでなく主演を務めたアデル・エグザルコプロスとレア・セドゥの2人にも賞が授与され、賞賛を浴びました。
アブデラティフ・ケシシュ監督/179分/フランス
原題:La vie d’Adele : Chapitres 1 et 2
『キャロル』(2015)

@via:https://carolfilm.com/
ミステリー作家 パトリシア・ハイスミスが、彼女自身の体験を基に書き、1952年に大ベストセラーとなった原作を元に作られた一本。1950年代のNYを舞台に、高級百貨店でアルバイトをする若い女性と、娘を持つ女性の間に芽生えた恋情を描いています。
本作品は、第88回アカデミー賞 作品賞・監督賞の最有力候補と言われたものの、ノミネートされることはなく、各所から惜しまれる声が上がりました。
トッド・ヘインズ監督/118分/アメリカ・イギリス
原題:Carol
『ムーンライト』(2016)

@via:https://www.lensculture.com/
第89回アカデミー賞で、クィア映画としてはじめて作品賞を受賞した一本。「同性愛を扱った映画は作品賞を獲れない」というジンクスを打破し、まさに歴史を変えた作品となりました。
物語はマイアミの貧困地域で育った主人公シャロンが、黒人としてのアイデンティティやセクシュアリティを模索しながら、人生を歩んでいく…というもの。幼少期・青年期・成人期の3つの時期にわたって、家族や友人との関係や成長が描かれています。
キャスト全員が黒人であることでも話題になった本作品は、アカデミー賞で8部門にノミネートされ、作品賞だけでなく脚色賞・助演男優賞の3部門を受賞しました。
バリー・ジェンキンス監督/111分/アメリカ
原題:Moonlight

@via:https://www.austinchronicle.com/
今回はクィア映画の歴史と、映画史に残る名作を紹介しました。
これらの作品では、各時代において“クィア”に生きていくということがいかに難しかったのか、そんな中で生き抜いてきた彼ら/彼女らの強さ……また、時には未来への希望が描かれています。
あなたも、是非これらの名作たちに触れてみてはいかがでしょうか。
「夜なかなか寝付けない」「いつも疲れている」
日々の暮らしの中で感じる悩みや疲れ。その原因は、過去や未来に縛られる脳のクセにあるのかもしれない。

例えば、会社で大きなミスをしたとき。あなたは迷惑をかけた人に謝罪し、取引先や上司への説明を終え、事態は解決したとしよう。
ところが、あなたの脳はあなたのミスを終わらせない。夜ベッドに入ったとたん、「あのときこうすればよかったんだ」と過去の行動を悔んだり、「もう出世できないだろう」と未来を悲観したりし、終わりのない焦りや不安に駆られることになる。
結果、枕元のスマートフォンに手を伸ばし、インターネットを通して不安や焦りを解消しようとしてしまう。

「会社 ミス 落ち込む」「部下 ミス どう思う」といったキーワードで検索し、終わりのない不安と焦りの解決策を探すのは、つらい。
進化しすぎたデバイスと古代のままの脳
ここ十数年で一気に進化したデジタルデバイスやSNSは、脳の特性を知ったうえで、私たちの行動に大きな影響を与えている。
例えば、ユーチューブショートを数時間続けて見てしまったり、インスタグラムのハートマークの数を異常に気にしてしまったりするのは、脳の特性(次々と現れる新情報や、誰かに評価されることが好き)を利用した中毒とも呼べる現象。

対する人間の脳は、1万年前と同じ。脳の特性を利用した刺激をデバイス越しに受け取っても、その通りに動いてしまい、デバイスに影響されていることにも気づけない始末。
スウェーデンの脳科学者、アンデシュ・ハンセンは、私たちがデバイスに合わせるのではなく、デバイスが私たちに合わせるべきだと主張している。
数あるテック企業が、私たちの脳に合わせたデバイスを作るのを待つのも手だが、情報を受け取る側の私たちにもできることがあるはず。
例えば、デジタルデバイスの電源を切ってみる。デジタルデバイスと私たちの間に物理的な距離を置いてみる。

このような取り組みで目指す先にあるのが、デジタル・ウェルビーイングだ。
デジタル・ウェルビーイングを実現するマインドフルネス
デジタル・ウェルビーイングを実現するには、小さなことを習慣化させることが大切。なかでも、場所を選ばず、お金もかけずにできるマインドフルネス(瞑想)がおすすめ。

マインドフルネスとは、瞑想などを取り入れた脳の休息法のこと。マインドフルネスでは、未来や過去に触れず、今この瞬間に注目するのが特徴だ。
例えば、椅子に座ったとき。何も考えずに座るとき、その後にすべきこと(書く、読む、食べるなど)に気を取られていることがほとんど。
一方、マインドフルネスでは、椅子に座っていることに集中する。背筋が伸び、足の裏が地面についていて、息を吸ったり吐いたりしている感覚に浸かり、雑念を無くす。

このように、意図的に今を意識する習慣付けをすることで、過去や未来の不安や焦りに対応できる心をつくるのがマインドフルネスだ。
焦りや不安で自分の心がゆらぐ場面に遭遇したときに、マインドフルネスの習慣があれば、デジタルデバイスに手を伸ばす必要はない。
今に集中することで、焦りや不安などの雑念を減らし、平常心に戻る。マインドフルネスは、常にベストコンディションを保ち、デジタルデバイスと距離を置くのに最適な方法といえる。
小さな心の変化を暮らしに取り入れよう
デジタル・ウェルビーイングやマインドフルネスは、周囲の情報や人々とのかかわり方にも活かすことができる。デジタル・ウェルビーイングやマインドフルネスで得られる、他者との関わりに活きる視点を3つ紹介しよう。
①オープンな心
朝、窓を開けて心地よい風を浴びると気持ちがいいと感じたり、洗いたての布団のやわらかさに幸せを感じたりする心のこと。

自分の感情や感覚に気づきやすくなるため、快適な空間づくりや、趣味や生きがいを見つけるのに役立つ。
②判断しない
インスタグラムで、友だちが充実した1日を送ったという投稿を見たとき。自分の1日と比べて焦るのではなく、ありのままの事実として受け取ることができる。

彼女は彼女、自分は自分という線引きをすることで、焦りや不安に支配されることがなくなる。
③思いやり
ニュースサイトを読み続け、気が付けば2時間経ってしまっていたとき。自分を責め、恥じるのではなく、教訓として次に活かす余裕が生まれる。これはミスを犯した他者に対しても同じで、思いやりを持った対応ができるようになる。

デジタル・ウェルビーイングを通じて、心の平穏を取り戻す。そうすることで、自分の焦りや不安を解消するだけでなく、周囲へのポジティブな態度として現れてくるようになる。
わたしたちの暮らしがもっと豊かになるように、できることから始めていきたい。
参照元:アンデシュ・ハンセン.スマホ脳.新潮新書.2020-11-18(参照 2023-04-25)
Shaping Design.”How digital wellness is bringing mindfulness to design”.2020-11-18.https://www.editorx.com/shaping-design/article/digital-wellness(参照 2023-04-25)
digitalwellbeing.org.2022-04-08.“https://digitalwellbeing.org/seven-dimensions-of-digital-wellbeing/”(参照 2023-04-25)
Netflix.”監視資本主義 デジタル社会がもたらす光と影”.2020.https://www.netflix.com/title/81254224(参照 2023-04-25)
毎日自由に移動して、好きな場所で過ごし、生きるために必要な食材は、全て周辺地域で取り揃えることが出来る。
そして1日の労働時間は、おおよそ3~4時間。
このような生活はまさしく、多くの人が憧れる場所・時間・お金に縛られない、新しい生活だと言えるのではないだろうか。
しかし遠く離れたアフリカには、古くからこのような暮らしを続けている“ブッシュマン”と呼ばれる人々がいる。
1日3~4時間の労働で生活に必要なエネルギーを蓄えることが出来て、自由に移動が出来るだなんて、とても効率的な暮らしだと思える。
この記事では、そんなブッシュマンの生活を紹介する。遠く離れた場所で暮らす彼らの暮らし方を知り、自身の生き方や価値観を見つめなおすきっかけになるかもしれない。

彼らがブッシュマン。
狩猟採集民族「ブッシュマン」
南部アフリカの乾燥地帯、カラハリ砂漠で生活している先住民族、ブッシュマン。全人口は約10万人ほどで、ボツアナ・ナミビア・南アフリカ・ザンビア・アンゴラなどの広い範囲で暮らしている。彼らの暮らしの最大の特徴は、移動と狩猟採集をしながら生活をしているということ。
移動をしながら、簡易的な住まいをつくったり、周囲で捕らえた動物や収穫した野生の野菜などを食べて暮らしているのだ。
つまり、そんな彼らにとっての労働とは、簡単な住居を作ることや、獲物や野菜などの食材を集めて調理をすることだ。労働時間はたったの3~4時間なのだとか。

ブッシュマンたちが住む、カラハリ砂漠。
しかし1970年以降から、政府による近代化政策の一貫として、ブッシュマンを定住化させ、賃金労働を行うことを促す取り組みが進められている。
なぜなら政府は、移動生活をする人々がたくさんいることによって、国民の管理が難しくなるから。そして何よりも、安定した生活を営んでほしいということが政府の望みだった。狩猟採集に頼る「野蛮」な生活よりも、賃金労働をしてお金をもらって好きなものを買う、学校や病院に通うことが出来るというような私たちの暮らしに馴染みのある暮らし方にシフトするほうがよっぽどいいだろう、と。
そして政府から仕事や住居が与えられたブッシュマン。彼らが住む家が立ち並ぶ1,000人規模のコミュニティが複数作られ、一部には事務職・工事現場や学校建設などの公共事業に関する仕事が、また一部には農地や家畜など農業や畜産業が行える環境が与えられた。
いきなり住む場所を与えられ、賃金労働を強いられたブッシュマンは一体どのような行動を起こしたのだろうか。
定住か、狩猟採集か。ブッシュマンがとった行動とは?
なんと彼らは、賃金労働や定住地での暮らしをあっさりと受け入れたのだそう。
学校や病院にもそこそこ行くようになり、定住地に住み、賃金労働も彼らにとっては新鮮で前向きに取り組みはじめた。家畜がもらえるのなら喜んでもらうし、畑もやるようになった。そんなブッシュマンだが、面白いことに狩猟採集も辞めずに続けているのだとか。

獲物を狙うブッシュマン。
なぜ1つのことしかやらないんだ?
賃金労働を始めたブッシュマンたちは、スーパーでフライドチキンを買うようになっても未だに時に狩猟採集を続けている。時に定住地に住むこともあれば、移動生活をするときもある。
自分で動物を狩って食料にすることと、スーパーでお肉を買うということ。定住地に住むことと、砂漠の中で移動生活をすること。
これらの両極端にあるような2つのことが、無理なく共存しているのが現在のブッシュマンの暮らしなのだ。
そんな彼らの行動を不思議に思う方も多いのではないだろうか。開発を進めていた政府の誰もが、街に来たら狩猟採集をやめるだろうと思っていたという。
彼らが狩猟採集をやめなかった理由、それは、
彼らは1つのことに専念するということに価値を見出さないからなのだそう。
彼らのコミュニティには、狩猟採集している○○さん、工事現場で働く○○さんなどというくくりはない。一つの仕事や暮らし方に特化せず、みんなで役割や暮らしをシフトしているのだ。
そしてブッシュマンは、政府の役人たちのことを「1つのことをするヤツら」と呼び、1つのことだけをすることはおかしい。不思議だ。というように捉えているのだとか。
いつ雨が降るか分からないカラハリ砂漠での暮らし。
昨日獲物が獲れたからと言って、明日も同じ場所で同じものが獲れるわけではない。
常に変化の激しい不安定な暮らしを営むブッシュマンだからこそ、常に新しいことを受け入れながら変化し続けることの出来る強さを持ち合わせているのかもしれない。

何か1つのことを選ばなくてはいけないなんて、ない
日本での「キャリア形成」と呼ばれるものには、何か一つの道に特化するために、ステップを踏んでいくというスタイルがあるように感じる。「二兎を追う者は一兎をも得ず」なんて言葉もよく耳にする。
しかし、
私たちはなぜ、新しいことを始めると古いことをやめなければならないと考えているのだろう?
なぜどちらかを選ばないといけないと思っていたのだろう?
どちらかを選ばないとならないと思っていたことがあったけれど、案外両方やることも出来たのではないか?
ブッシュマンの生活に触れると、そのようなことを考えさせられないだろうか?
出会いや別れ、新生活のスタートなど生活に変化がある人も多い春。
新たな暮らしに一歩を踏み出した方も、何か新たなことに挑戦したいけれど、まだ一歩を踏み出せずにいる方もいるかもしれない。
何かを始めるときに何かをやめなくてはいけないわけではないし、一度決めた道をずっと貫かなくてはならないわけではない。
そして誰だって、いつだって何にでも挑戦出来るし、何にでもなれる。
読んでくださった方が、そんなワクワクした気持ちで日々を過ごせることを願っている。
参考文献
1. 書籍:松村圭一郎編, 働くことの人類学, 株式会社黒鳥社, 2021年
2. 書籍:丸山淳子, 変化を生きぬくブッシュマン -開発政策と先住民運動のはざまで-, 世界思想社, 2010
暮らしの実践者に問いかけ、生きかたのヒントを探究する「Life is beautiful」。
今回は、鎌倉の古民家で北欧の考え方を取り入れながら暮らす、YADOKARIのセールスユニットで働く遠藤美智子さんを訪ねました。
理想と現実の中で自分を適合させていた過去

――遠藤さんの今の暮らしに辿り着くまでの経緯を教えていただけますか?
遠藤:小さい頃、家と言えば三角の屋根で、家族で安らげるかわいい空間みたいなイメージがすごくあったのですが、実際の自分の実家は平らな屋根の鉄骨造で、どうして自分の家は三角屋根じゃないのだろうと漠然とした疑問がありました。
でも街を歩いていると、窓から温かい光が漏れているすごくかわいい家が日本にもあって、心がドキドキするような憧れを覚えました。その家が輸入住宅だということを母に教えてもらい、それからいつか自分もそういう家に住みたいと幼いながらに思っていました。

――そこから家に対する思いがあったんですね。
遠藤:間取りを見るのも大好きでしたし、ずっとその気持ちはぶれませんでした。
でも小さい頃に将来の夢を聞かれた時に、職業を答えないといけないみたいな風潮があるじゃないですか。 本当は”かわいい家に住みたい”という夢があるのに、ひとまず素敵な職業として思い浮かぶ看護師さんと言いながらも、どこか心の中ではモヤモヤしていて。
理想の自分と社会的に人に見られる自分との溝にもがきながら、社会的な自分を適合させて過ごしていたように思います。

――同じように自分の気持ちに蓋をして過ごしている人もたくさんいると思います。
遠藤:でも自分の心の中にはずっとかわいい家への思いがあったので、せめてそれに携われる仕事をしようと思って輸入住宅を扱う会社に就職しました。
初めて北欧を訪れたのは会社の研修でスウェーデンに行ったときです。実際に行ってみると、森の中にかわいい家や湖があって、どれだけ田舎に行っても国民全員が家を大切にしていることがわかりました。その豊かな暮らしの背景には充実した社会制度があり、「私が生きたいのはこういう世界だ!」という感覚になりました。
ただ、その時は結婚やキャリアなど、社会的な自分との葛藤もあり、北欧に住むという決断はすぐにはできませんでした。

――一度北欧からは離れたのですね。
遠藤:はい。ただその後、「こんなに一生懸命仕事も家庭も頑張っているはずなのに、幸せじゃないのはなぜなんだろう。」と考えるようになりました。そして、やっぱりスウェーデンにもう一度行きたいと思い、ひとりで行ったんです。みんながどういう価値観を持って暮らしているのかもう一度確かめたくて、現地の人と触れ合いながら知っていくと、家はもちろんのこと、文化や国の制度なども含めてやっぱり私は北欧が好きだと再確認できました。その後、様々なことが重なり、離婚をし、新卒から務めた会社を辞め、デンマークに留学することを決めました。
何もなくても満たされていたデンマークでの生活

――デンマークではどんな場所に住んでいたのですか?
遠藤:フォルケホイスコーレという全寮制の学校に通っていて、家自体は最寄りのバス停まで徒歩40分の田舎にありました。自転車で小一時間ほどで街には出られるのですが、街に出なくても自然に囲まれた環境で、仲間がそこにいて、美しい景色もあって、特に何をする訳でもないのにすごく満たされていました。
娯楽という娯楽がなくてもすごく豊かに一年間を過ごすことができたので、都会に住むことだけが全てじゃないという概念にもそこで出会えました。

――学校ではどのような勉強をするのでしょうか。
遠藤:そこでは、様々な分野の中から自分の興味のある科目を選択でき、私はパーマカルチャーや陶芸、ヨガ、保存食などを学びました。
印象的だったのは陶芸の授業で楽焼という日本の焼き物の手法を学んだり、保存食の授業でピクルスや果実のシロップを作ったりしたことで、北欧だけでなく、日本にも素敵な文化や技術がたくさんあることに気づいたことです。

――生活の中で何か印象的なことはありましたか?
遠藤:北欧では抹茶がブームだったので、友人に茶筅と抹茶をプレゼントしたのですが、どうやって使うのかと聞かれた時に、どうやってお茶をたてるのか、何も説明ができませんでした。海外の人が興味を持ってくれている日本の文化を私自身は何も知らなかったのです。
それと同時に、北欧じゃないとできないと思っていたことは実は日本でできることもたくさんあって、豊かな暮らしは北欧にしかないと決めつけて、日本のことを知ろうとしなかったのは自分自身だったことにも気づかされました。
やりたかったことを叶えるために選んだ場所

――そこから日本に戻ることにしたのはきっかけがあったんですか?
遠藤:北欧に行って長年自分がやりたかったことを叶えて、いろんなことを学んだときに、これを人に還元しなきゃいけないって思ったんです。
北欧でしか豊かな暮らしができないとなると、元々日本で悩んでいた私のような人達が全員北欧に行ける訳ではないし、この暮らしは日本でも実現できることを私自身が証明して、過去の私のような人に手を差し伸べたいという貢献感や勝手な使命感みたいなものが湧き出てきて、日本に帰ろうと思いました。

――この鎌倉の地を住む場所として選んだのには理由があったのでしょうか?
遠藤:家を探すとなるとこれまでは駅や勤務地までの時間などを基準に探していましたが、北欧での生活を経験して、都会の便利な生活じゃなくても毎日が豊かに暮らせることがわかったので、利便性ではなく環境を重視して家を探しました。ここは駅から徒歩50分ですが、目の前に山や綺麗な川もあって、とても気に入っています。

――遠藤さんの家は日本の居心地の良いアイテムが並んでいて落ち着きますね。
遠藤:元々輸入住宅のかわいい家に憧れていた当時の私からしたら、和室に住むとは思ってもみませんでした。でもなんとなく日本の文化も素敵だなと思いながら帰国したので、日本の文化と私が学んだ北欧の文化を合わせて暮らしてみたいという思いもありました。
新品の家具家電で綺麗に揃えるのではなく、その人のこだわりや生きざま、歴史を一つ一つに反映されているインテリアはすごく美しいということも北欧に行ったからこそ知れたことです。私の家では世界中で買い付けてきた思い出の雑貨を設えています。
自然に寄り添い、幸せを自分で作り出すターシャ・テューダーの考え方

――現在遠藤さんはどんな働き方をされていますか?
遠藤:私の中で「働く」という言葉自体に違和感があって、「生きる」という言葉をベースに考えると、エネルギー補給をするための食べ物と質の良い睡眠のための家があれば生命は維持できるなぁと考えていて。
今は働いたお金で食べ物や家を確保していますが、お金を払わなくてもそれが手に入れられたら、働く必要ってないんじゃないかと実は思っているんです。

――自給自足の生活ということでしょうか。
遠藤:そうです。自分で家を建てて、庭の畑で野菜を育てれば、働かなくても生きていけるのかもしれないと思っていて、いつか実験してみたいと思っています。でも一方で社会的な自分を大事にしている所もあって、社会や人に求められたり、働いたことが結果に結びつくととても嬉しいです。
それはさっきの貢献感や人のために何かしてあげたいみたいな気持ちが自分の中にあるからで、「働く」や「稼ぐ」という言葉ではなくて、好きなことで、かつ人の役に立つことをしてお金を「いただく」という時間を増やしていきたいですね。

――家に人を呼ぶのもその一つに繋がるのでしょうか。
遠藤:そうだと思います。昔仕事で疲れ切っていた頃、アメリカのガーデナー、ターシャ・テューダーの言葉や生き様に感銘を受けて、自分の心に正直に生きる大切さを再確認し、それも人生の軌道修正ができた大きなきっかけでもありました。この家での暮らしが、誰かにとって暮らしや生き方をちょっと変えてみる、ヒントやきっかけになれたらいいなと思っています。
なので、これからはたくさん働いて、稼ごうという気持ちより、「いただいた」分だけ、人に還元できるコンテンツをどんどん増やしていきたいという気持ちが大きいです。
――家の中で一番今気に入っている所はありますか?

遠藤:一つ一つをセレクトしているので全部がこだわりポイントですが、最近買ったこのロッキングチェアは特にお気に入りです。ロッキングチェアは揺れる空間も必要ですし、リラックスしている時間じゃないと座れなくて、場所的な意味でも時間的な意味でも、暮らしの余白の中に生まれる幸せな時間の象徴だと思っています。
それが手に入れられたことで、ようやくそういう時間と場所を持てるようになったのだと思いましたし、この鎌倉での暮らしに慣れて余白が生まれてきたんだなと気付かされました。
豊かさを感じながら過ごす日々

――ここではどう一日を過ごしていますか?
遠藤:晴れた日には、朝に山に登っています。山頂から富士山や遠くの海を見たり、寝転がって空を眺めたり、朝日を浴びてリフレッシュして、富士山に雪が積もる時期になってきたとか、葉っぱが紅葉してきたとか、四季の移ろいを感じることもできます。
街がクリスマスムードになってきたとか人工的なものではなく、自然の中で季節の豊かさを感じるのが毎日のルーティーンです。

――自然の中で季節を感じられるのはこの場所ならではかもしれないですね。
遠藤:帰ってからは友達と一緒にお茶をしたり、みんなでゴロゴロしながら寝転がってお喋りをしたり。ここは落ち着くねとか帰りたくないなとか言われると本当に嬉しいです。遊園地に行かなくても、カフェに行かなくても、ケーキやご飯など体にいいものを自分たちで作って食べて、この家で一日を大切なひとと過ごすことが本当に幸せです。自然もすぐ近くにあって、すぐにお散歩にも行けますし、こんなは贅沢ないなって思います。
この家に引っ越してから本当にたくさんの人が遊びに来てくれて、人をおもてなしすることが楽しくて、生きがいみたいになっていますね。

――日が落ちた後はどのように過ごしていますか?
遠藤:ここはお店がほとんど近くにありませんし、夜は家で料理をします。キャンドルを焚いてご飯を食べるとレストランにいるみたいな気分になるんです。
高級レストランって大体薄暗くてキャンドルが焚いてありますよね。家にいながら素敵なレストランの気分を味わえるからオススメですよ。
常に内省をして、心の中のいいことも悪いこともアウトプットする

――Instagram(@o0michi0o)では自分の内面を言語化されている投稿も多くて素敵だなと思うのですが、どんな時間に自分と向き合ったりメディテーションしていますか?
遠藤:これまで私なりのいろんな苦難がありました。それらを振り返ったり、人生哲学みたいなことは、常に考えています。場所を整えたり自分で意識をしなくても歯を磨いている時や何気ない日常の中にヒントがたくさん転がっていると思っています。

――常に自分を内省できるってすごいことだと思います。
遠藤:辛かったことやネガティブなことを考えると苦しくなるので考えないように蓋をしたくなったりしますよね。それに、哲学やポエムみたいなことを考えたりしているとちょっと小馬鹿にされたりすることってあるじゃないですか。でも、ポエムが浮かぶ人生ってなんて豊かなの!って私は思うんです。
いい所だけを切り取って発信をしたり、その部分だけを見せるのは簡単ですが、完璧ではない所もあるからこそプラスの面をより感じられると思うので、思いついた時に発信をしています。
側面を切り取らないという美しさ

――いろんな軌跡を辿った今の遠藤さんにとっての「Life is beatiful」をぜひ教えてください。
遠藤:本当に私は家が好きで、「家が変われば人生が変わる」というのを自分の中のキャッチフレーズとしています。
心に余裕がないと家も散らかるし、家はその人の生きざま全てが反映されるので、何を美しいと思うかは人それぞれですが、やっぱり自分にとって美しいと思える家に住むことで人生も美しくなると思っています。
――その美しさは遠藤さんにとって何ですか?
遠藤:Beautifulと言うと美しい、綺麗などポジティブなイメージがありますが、そうではない側面もすべて合わせたものがBeautifulではないでしょうか。
失敗や挫折は人生に大きな学びを与えてくれます。ポジティブな面だけを捉えようとするのではなく、いろんなことがあるからこそ人生が美しくなるのだと今では考えています。

――今までの自分も肯定されているようで、ポジティブな気持ちになれる考え方ですね。
遠藤:暮らしはいいこともそうでないことも含めて日々の積み重ねなので、今日明日完成するものでもないですし、終わりもないのですが、だからこそ今この瞬間から人生はいつでも変えられるものだと思っています。
自分がいいと思ったものを暮らしに取り入れてみたり、日々の暮らしの小さなことから向き合っていけば良いと思っています。一つ私からおすすめできる、今日から取り入れられることとしたら、キャンドルを焚いてみることでしょうか。夜にキャンドルの火を灯しながらゆっくりと過ごすと、豊かな気持ちになって一日の疲れも取れますよ。
それなので、まずはみなさん、キャンドルを焚こう!笑
今の自分があるのはそれまでの葛藤や苦労があったからこそで、その人の暮らしを形成する全てが生きざまであって「家」という軌跡になる。
いい面だけを人に見せたり切り取ることは簡単だが、そこから逃げずにまっすぐに向き合おうとする姿がインタビューを通して垣間見え、そんな遠藤さん自身にも美しさを感じた。
Instagram/ @o0michi0o