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懐かしい電話ボックスのような小さなプライベートブースが、アメリカ企業で流行中です。再生ペットボトルの防音材でオープンオフィスの雑音をシャットアウト。会社の中でのリトリートは、一つの新しい働き方改革の流れかも?

(さらに…)

秋晴れに恵まれたキャンパーフェスの2日目

モバイルハウスは単なる道具としてだけでなく、
表現や自己実現のツールにもなっていた。
「キャンパーフェス2018 in 安曇野」のレポート後編は、
一夜明けた2日目の様子。
個性的な生き方を、モバイルハウスで模索したり
実験したりする人たちに出会った。

 

ヒュッテの大部屋で寝袋を借り、秋晴れの朝を迎えた。
フェス会場では、雑貨や飲食品の販売が始まっていた。

茶室キャンパーをつくりたい

南インドカレーを振る舞っていた青年に、話を聞いてみた。
上杉龍矢さん。自分のモバイルハウスはまだ持っていないという。

南インドカレーを振る舞う上杉さん

「ぼく、茶室のモバイルハウスを作ろうと思っているんです」

発想がユニークなら、その理由も素敵だった。

「おばあちゃんがお茶の先生で。一緒に出かけられたら良いな、と」

小さい頃にかわいがってもらった、89歳のおばあちゃん。
その、お茶を点てている時の姿が大好きなのだという。

「旅というより、お茶でつながりを作りたいんですよね。おばあちゃんと楽しい時間を過ごしながら、文化を受け継いでいきたい」

モバイルハウスづくりの仲間を訪ねる旅へ

モバイルハウスでの、旅の準備を進める人もいた。

松永健吾さんはこの夏、モバイルハウスをつくる1週間のワークショップに参加した。
最終日のオークションで、みんなで泊まりがけでつくったモバイルハウスを落札。
その車両で、キャンパーフェスの会場に駆けつけた。

「初心者も同然」の状態で、1人で参加したワークショップ。
神奈川県の会場で出会った、10人以上もの仲間の存在が大きかった。

夏に仲間と泊まりがけで取り組んだモバイルハウスづくりのワークショップの様子(主催者提供)

「一人でモバイルハウスをつくるのは、技術的にもそうだし、何より精神的にも難しかったと思います。単純な作業とかも多いし。みんなでワイワイ楽しくやるのが、完成させる一番のコツだったんじゃないかな」

その車で、寝食をともにした仲間を訪ねながら、全国を巡る旅に出るという。

モバイルハウスでの旅の準備を進める松永さん

「みんなに会いたいし、いろんな場所で泊まって、この窓枠からいろんな景色を眺めたい」
フェス会場では先輩キャンパーから、防火対策や旅のコツを教えてもらっていた。

本文では紹介しきれなかったけど、6年間も旅をしている写真家さんにも会いました

モバイルハウスは「発信のツール」

やがて会場では、軽トラックの荷台をステージに、トークライブが始まった。
何組かの参加者が、自分とモバイルハウスについて、壇上で話をするのだ。

荷台をステージにしたトークライブ

日本をすでに5周したという有村博勝さんのモバイルハウスは、発信のツールとして機能していた。
各地で「小さな暮らし」や「エネルギーの自給」などについて話しているという。

「モバイルハウスで旅をしていると、『個性的だ』と面白がって声を掛けてもらえる。目立つことが目的なんじゃない。でも目立って興味を持ってもらえれば、いろいろなメッセージを伝えることができる」

モバイルハウスでの発信について語る有村さん

断熱と防音が完備されたモバイルハウスの紹介もあった。
建設関係の会社を営む、住環境プランナーの折口尊人さんだ。

もともとは、現場作業での騒音対策の「防音室」としてモバイルハウスを製作。
すると、外からの音も遮断でき、現場近くでの寝泊まりにも快適だった。

「つくっているうちに、『これ、使えるじゃん』って気付いて」

さらに、断熱材を備えると、快適性は賃貸の住居をしのぐほどに。
暑い夏と寒い冬は、自宅の駐車場の車中で寝るようになった。

断熱と防音に優れた折口さんのモバイルハウス(主催者提供)

仕事の「出張モデルルーム」まで兼ねるようになったモバイルハウス。
「現場の近くでもどこでも寝泊まりできるし、趣味のドラムも思い切りできる」

なんだかとても、楽しそうだった。

バンで日本を旅する若夫婦

バンで寝泊まりしながら、日本を旅する若夫婦の物語もあった。
26歳の「わたなべ夫妻」だ。

銀行員としての生活に疑問をいだいたり、海外への転職で夫婦間に亀裂が入ったり。
そうしたことを経て、「一緒に成長しあえる関係になろう」「楽しい事を仕事にしよう」、そのために「夫婦そろって起業しよう」と決心したという。

旅を始めるまでについて語るわたなべ夫婦

「でも、『やりたいこと』が無い事に気づいて。だったら、『日本を一周しながら、住むところと、やりたいこと探してみよう』ということになったんです」

格安で中古のバンを手に入れ、ベッドを導入。
2018年7月に日本一周がスタートした。
旅の様子を発信するブログは徐々にアクセスが増え、小商いに発展する可能性も感じ始めている。

愛用のバンを前に

「やりたいことを探すために旅に出たけれど、今は、『好きな人と好きなことをやる』『この旅をやりきること』が目標です」

そうすることで、新しい世界が開けると信じている。

モバイルハウスは自己表現

前編で紹介した「自由な旅やキャンプを楽しむ人たち」も含め、北は秋田、南は福岡から計33台のモバイルハウスが集まったキャンパーフェス。

ドローンで記念撮影(主催者提供)

トークライブが終わると、少しずつ、帰路につく人が増え始めた。

「こんどはこの車で遊びに行くからね」
「また会おうね」

そんな様子を眺めながら、フェスを主催した龍本司運さんに感想を訊ねた。

「満足です」

龍本さんは開口一番、力強く言ってから、フェスを振り返ってくれた。

「この空気感が良かったですね。なんだろうな。みんなが楽しそうに自由にやってくれていたから」

イベントを主催した龍本さん

龍本さん自身も「荷台夫婦」として、モバイルハウスで生活している。
フェスは、SNSなどを活用して取り組むコミュニティづくりの一環でもあった。

「モバイルハウスって、“生き様”の表現だと思うんです。持ってきている空間に、生き様がある。いろんな生き方があって、お互いに見せて、体感し合って、楽しみ合う。それでいいんじゃないかな」

実体験に基づく「自己表現」という言葉に、ゆっくりと広がるモバイルハウスムーブメントの理由が、あるような気がした。
(了)

<文・写真:谷明洋>

【都市科学メモ】

小屋の魅力

生き方を模索したり、表現したり、発信したりするツールになる

生きる特性

生き様を持ち運べること

結果(得られるもの)

発信力、共感

手段、方法、プロセスなど

いろいろやって、発信してみる
モバイルハウスなどで自分がやりたいことをやってみて、様子を発信する。キャンパーフェスのような場に顔を出しても良いし、ブログやSNS、動画サイトなどを使っても良いだろう。

【関連サイト】

動く小さなおうち「まいまい号」 / 折口さんのブログ / わたなべ夫婦のブログ「車中泊パラダイス」 / 龍本夫妻のブログ「荷台夫婦」 / モバイルハウスビレッジ

 

「都市を科学する」の「小屋編」は、横浜市の建築設計事務所「オンデザイン」内で都市を科学する「アーバン・サイエンス・ラボ」と、「住」の視点から新たな豊かさを考え、実践し、発信するメディア「YADOKARI」の共同企画です。下記の4人で調査、研究、連載いたします。

谷 明洋(Akihiro Tani)
アーバン・サイエンス・ラボ主任研究員/科学コミュニケーター/星空と宇宙の案内人
1980年静岡市生まれ。天文少年→農学部→新聞記者→科学コミュニケーター(日本科学未来館)を経て、2018年からオンデザイン内の「アーバン・サイエンス・ラボ」主任研究員。「科学」して「伝える」活動を、「都市」をテーマに実践中。新たな「問い」や「視点」との出合いが楽しみ。個人活動で「星空と宇宙の案内人」などもやっています。

小泉 瑛一(Yoichi Koizumi)
建築家/ワークショップデザイナー/アーバン・サイエンス・ラボ研究員
1985年群馬県生まれ愛知県育ち、2010年横浜国立大学工学部卒業。2011年からオンデザイン。2011年ISHINOMAKI 2.0、2015年-2016年首都大学東京特任助教。参加型まちづくりやタクティカルアーバニズム、自転車交通を始めとしたモビリティといったキーワードを軸に、都市の未来を科学していきたいと考えています。

さわだいっせい / ウエスギセイタ
YADOKARI株式会社 共同代表取締役
住まいと暮らし・働き方の原点を問い直し、これからを考えるソーシャルデザインカンパニー「YADOKARI」。住まいや暮らしに関わる企画プロデュース、空き家・空き地の再活用、まちづくり支援、イベント・ワークショップなどを主に手がける。

また、世界中の小さな家やミニマルライフ事例を紹介する「YADOKARI(旧:未来住まい方会議)」、小さな暮らしを知る・体験する・実践するための「TINYHOUSE ORCHESTRA」を運営。250万円の移動式スモールハウス「INSPIRATION」や小屋型スモールハウス「THE SKELETON HUT」を発表。全国の遊休不動産・空き家のリユース情報を扱う「休日不動産」などを企画・運営。黒川紀章設計「中銀カプセルタワー」などの名建築の保全・再生や、可動産を活用した「TInys Yokohama Hinodecho」、「BETTARA STAND 日本橋(閉店)」などの施設を企画・運営。著書に「ニッポンの新しい小屋暮らし」「アイム・ミニマリスト」「未来住まい方会議」「月極本」などがある。

YADOKARIの著書「アイム・ミニマリスト」が、翻訳され韓国で出版。

アメリカ発のムーブメント「タイニーハウス」「モバイルハウス」を利用した小さな暮らしを日本でも実践する人たちに、YADOKARIが実際に取材し、編集を務めた書籍。

greenz.jp編集長・鈴木菜央さんのロングインタビューや、YADOKARI 発のタイニーハウスINSPIRATIONができるまで、など日本各地で始まっている小さな暮らし方を紹介している。

夕暮れ空の下に並ぶモバイルハウス

安曇野の星空の下で、モバイルハウスでキャンプをする人たちと語り合った。
2018年11月に長野県松本市で開かれた「キャンパーフェス2018 in 安曇野」。
レポート前編は、”移動できる寝床”で得られる自由を、
モバイルハウスを満喫している人たちの話から考えた。

30台以上のモバイルハウスが大集合

秋空の下に、30台以上のモバイルハウスが並んでいた。
軽トラックを改造したものが多いが、バンやキャンピングカーもある。
電車と送迎バスを乗り継ぎ、会場に着いたのは夕暮れ時。
どんなフェスに、なるのだろうか。

安曇野での「キャンパーフェス」は、2018年で2回目。
「いま話題のDIYモバイルハウスが日本全国から大集結」
「時代の最先端を走る“不動産ならぬ可動産“の新しい遊び方、住まい方の祭典」
という趣旨で、北アルプスのふもとにあるシャロムヒュッテで開かれた。

安曇野に向かうJR大糸線から見た北アルプス

1泊2日のフェスは、「素敵な出会いにキャンパーイ」という乾杯の音頭でスタートした。
真ん中に焚き火があり、各々が好きなようにキャンプしながら語り合う。
なんというか、ゆるくて、心地よい雰囲気だ。

焚き火を囲んでフェスがスタート

なぜモバイルハウス? そりゃ「自由」だよ

会場をフラフラ歩いていると、年配の男性の酒宴に声を掛けられた。
1人が1台ずつ、モバイルハウスに乗ってきたようだ。
熱燗と鍋料理を分けてもらいながら、「どうして、モバイルハウスを持とうと思ったのか」を訊ねてみた。

「そりゃお前、『自由』だよ」

即答だった。しかも、4人中3人が声をそろえての。

「家族と暮らしているとさ、1人になりたくなったりすること、あるじゃない」
「そういう時に、これがあればすぐに出かけられるから。一種の“隠れ家”だな」

男は家以外にも、どこか自分だけの居場所がほしい生き物なのかもしれない。

鍋を囲みながら、「そりゃお前、自由だよ」

テントいらずのキャンプを楽しむ

さらに歩くと、2人の青年が静かな宴会を楽しんでいた。
同じように訊ねてみると、1人から興味深い答えが返ってきた。

「ぼく、休みが週1日しかないんです。でも、キャンプが好きで」

仕事が終わった夜に出かけ、テントを張るのは確かに難儀だ。
でもモバイルハウスなら、キャンプ場まで運転するだけで良い。
1日の休日を、1泊1日に拡大して最大限楽しむための車だった。

設営いらずでキャンプができる

自作した着脱可能な小屋を、荷台に載せた軽トラックもあった。
車両は、大工の仕事でも使っているという。

「キャンプは好きだけど、テントは面倒で。これなら一石二鳥」

夫婦で楽しそうに、焚き火のある夜を過ごしていた。

せっかくなので、自分がいつか、モバイルハウスで「旅する星空案内人」をやろうと思っていることも話してみた。
「それだったら、この車、●●●万円くらいで譲ろうか?次のを作ろうと思ってるし」
思いのほか安い値段に、本気になればいつでも始められることを実感した。

宿の心配がない自由な旅

キャンプだけでなく、モバイルハウスを「旅行」に活用している人も多かった。

食物アレルギーがあるという女性。
「エビもカニが食べられないから、旅館に泊まるのはもったいない。でも、これなら好きなものを食べながら、好きな旅行ができるから」

自由気ままな旅が好きな男性。
「行き先を決めたり、計画を立てたりすると、行動が縛られちゃうからイヤなんだよね。この車があれば、泊まる場所の心配をしなくて良いから、とてもありがたい」

農業を営む別の男性は自然が相手だけに、事前に休みを決めてホテルを取るのが難しいという。
「モバイルハウスを持ってから、急な休みでも出かけられるようになって、人生が変わった」

夜更けまで語り合う

寝床の心配がなくなるだけで、「旅」はこんなにも自由になるのだ。

車の滞在場所という問題も

モバイルハウスで自由を手にした彼らも、車を停める場所には悩んでいるようだった。

キャンプ場のほか、駐車場に余裕がある公園や道の駅などを探して使っているという。
滞在を深夜から早朝までに限ったり、連泊をなるべく避けたりと、各自で気を使いながら滞在している様子も伝わってきた。
街中であればコインパークも活用するし、必ずしも無料でなくとも良い。

「車両が滞在できるスペースを、良い方法で増やすことはできないかなぁ」

繰り返し聞いたそんな言葉に、パーソナルモビリティや自動運転が発展して移動の形が多様化するであろう未来社会への、問いかけが含まれているように感じた。

自由をもたらす移動寝床

モバイルハウスは、移動能力と、衣食住の「住」を兼ね備える。
それによって得られる「自由の大きさ」が、旅やキャンプの様子から感じられた。
満天の星のもと、ゆったりと流れる時間に心地よく浸っていると、夜が更けていった。

(後編へ続く)
<文・写真:谷明洋>

【都市科学メモ】

小屋の魅力

旅やキャンプが自由で気軽なものになる

生きる特性

機動力、居住性

結果(得られるもの)

すぐに出かけられる自由、1泊1日でもできるキャンプ、宿の心配が要らない行き当たりばったりの旅行

手段、方法、プロセスなど

モバイルハウスを手に入れて遊ぶ
キャンプや自由な旅が好きなら、モバイルハウスの活用を考えてみてはいかがだろう。形態については、連載#06「移動する小屋」も参考にされたい。

 

「都市を科学する」の「小屋編」は、横浜市の建築設計事務所「オンデザイン」内で都市を科学する「アーバン・サイエンス・ラボ」と、「住」の視点から新たな豊かさを考え、実践し、発信するメディア「YADOKARI」の共同企画です。下記の4人で調査、研究、連載いたします。

谷 明洋(Akihiro Tani)
アーバン・サイエンス・ラボ主任研究員/科学コミュニケーター/星空と宇宙の案内人
1980年静岡市生まれ。天文少年→農学部→新聞記者→科学コミュニケーター(日本科学未来館)を経て、2018年からオンデザイン内の「アーバン・サイエンス・ラボ」主任研究員。「科学」して「伝える」活動を、「都市」をテーマに実践中。新たな「問い」や「視点」との出合いが楽しみ。個人活動で「星空と宇宙の案内人」などもやっています。

小泉 瑛一(Yoichi Koizumi)
建築家/ワークショップデザイナー/アーバン・サイエンス・ラボ研究員
1985年群馬県生まれ愛知県育ち、2010年横浜国立大学工学部卒業。2011年からオンデザイン。2011年ISHINOMAKI 2.0、2015年-2016年首都大学東京特任助教。参加型まちづくりやタクティカルアーバニズム、自転車交通を始めとしたモビリティといったキーワードを軸に、都市の未来を科学していきたいと考えています。

さわだいっせい / ウエスギセイタ
YADOKARI株式会社 共同代表取締役
住まいと暮らし・働き方の原点を問い直し、これからを考えるソーシャルデザインカンパニー「YADOKARI」。住まいや暮らしに関わる企画プロデュース、空き家・空き地の再活用、まちづくり支援、イベント・ワークショップなどを主に手がける。

また、世界中の小さな家やミニマルライフ事例を紹介する「YADOKARI(旧:未来住まい方会議)」、小さな暮らしを知る・体験する・実践するための「TINYHOUSE ORCHESTRA」を運営。250万円の移動式スモールハウス「INSPIRATION」や小屋型スモールハウス「THE SKELETON HUT」を発表。全国の遊休不動産・空き家のリユース情報を扱う「休日不動産」などを企画・運営。黒川紀章設計「中銀カプセルタワー」などの名建築の保全・再生や、可動産を活用した「TInys Yokohama Hinodecho」、「BETTARA STAND 日本橋(閉店)」などの施設を企画・運営。著書に「ニッポンの新しい小屋暮らし」「アイム・ミニマリスト」「未来住まい方会議」「月極本」などがある。

via: https://www.archdaily.com/

船と家が一体化して、のんびりと海上に浮かんでいるようにみえるのは、「Punta de Mar Marina Lodge (プンタ・デ・マー・マリーナロッジ)」という名のスモールハウス。造ったのは、スペイン語で「聖なる手」を意味する「Mano de Santo (マノ・デ・サント)」という名前のスタートアップの建築会社。場所は、情熱の国といわれるスペイン南部のバレンシアから、車で2時間ほど南下した海沿いのアリカンテという町。

(さらに…)

via: iconbuild.com

発展途上国の貧困層の住宅支援のために、アメリカの2つのスタートアップが手を組みました。40万円の予算で24時間以内に建設できる、3Dプリント住宅を提供するプロジェクトです。コンクリートをケーキのクリームのように重ねていくプリンターはトラックで運ぶことができ、現場で稼働して家を出力していきます。

(さらに…)

via: vrbo.com

「青空の下でのキャンプは気持ちいいなあ!」と上を見上げたら屋根がありました。広いビルの中には、カラフルなヴィンテージトレーラーがいっぱい、キャンピングカーの見本市のようです。このテキサスにあるインドアのグランピング施設は、女子会のグループ宿泊やパーティーに人気。ドールハウスのように、キラキラに装飾された“アメリカワイイ”トレーラーとティピーはインパクト抜群です。

(さらに…)

via: static.dezeen.com

昨年、画期的な試みがロンドン・ベイズウォーター地区で行われました。Design Haus Liberty社が組み立て式プレハブの家、Vivahouseを「未来の都市の家」として、短期ポップアップで公開したのです。彼らはこのVivahouseのお披露目の場所として、今は使われていないWhiteleysショッピングセンターを利用しましたが、それは何故でしょう。

(さらに…)

via: cardesignnews.com

日本では2018年、キャンピングカーの売れ行きが好調だったようです。“災”の文字で象徴された一年、災害時の車中泊用として注目されたことが理由の一つでしょう。

(さらに…)

イラスト:千代田彩華

移動の可否や方法は、小屋の性格を大きく左右する。
「どんな」移動を「なぜ」したいのか。
不動産ではなく動産としての、小屋について、考えた。

 

まずは、小屋が移動する方法を、大まかに考えてみたい。

自走車両の内部を活用する、荷台部分を活用する、牽引する、輸送してもらう、解体して運ぶ、などがある。

自走車両をそのまま使う

たとえばキャンピングカーのように、移動能力がある車両の内部を小屋に改造すれば良い。

新しいライフスタイル作りを目指してバンライフに挑戦中の鈴木さん(photo:A. Tani)

走行中も小屋空間を利用できる、まさに「動く小屋」になる。

家族の時間は有限、みんなで旅する家「The Big Blue Bus」 Via:tinyhouseswoon.com

軽トラックの荷台を改造し、小屋を載せる方法もある。

軽トラックを改造してつくったコーヒースタンド

荷台の小屋部分は走行中には使えないけれど、安価に手に入れることができるし、小屋部分を着脱可能にすれば「普段は軽トラック、必要なときはモバイルハウス」という使い方が可能だ。

トレーラーを車で牽引する

牽引車両を使うトレーラーハウスも、ひとつの手だ。

タイニーハウスに車輪をつける理由より photo: Ben Matsunaga

牽引されるトレーラー部分には、いろいろな形がある。

USBメモリーのような回転するモバイルハウス「Romotow」 Via:romotow.com

走行中にトレーラー部分に乗車するのは現実的に難しいが、家と車の着脱は容易だ。

輸送しやすいコンテナを活用

もともと輸送用に作られた、コンテナを活用することもできる。

5分で完成!コンテナレストラン「popup-container」。壁もデッキとして有効活用する

コンテナに規格を合わせた家をつくるのも良い考えだ。

YADOKARIスモールハウス「INSPIRATION」。コンテナの規格に合っているので、トラックや船で輸送しやすい

車両をそのまま使うのに比べ、小回りは利かないが、トラックや船で移動させることができる。

解体して移動

解体と組み立てを容易にしておくのも、ひとつの考え方。

まさに「ヤドカリ」な家。移動可能なオフグリッドスモールハウス。取り付けを外せば、トラックでの移動が可能だ
Via:designboom.com

よく考えれば、遊牧民のゲルをはじめとするテントの系統に通じるところがあるかもしれない。

俗世を楽しむ、ラグジュアリーなテント生活「Oasis」。大きめの車で運べ、半日程度で組立可能という Via:http://www.mymodernmet.com

「移動する小屋」の形はいくつかあり、それぞれに長所と短所がある。

移動する小屋が「なぜ」ほしい?

「移動する」というのは、連載のテーマである「どんな小屋が、なぜほしい?」という問いの、「どんな」の部分への答えであることが多い。

では「なぜ」、移動する小屋がほしいのだろう?

人と交流したければ(連載#03で紹介)、いろいろな場に出かけられることが大きなアドバンテージになる。

本が好きな三田さんによる移動本屋「BOOK TRUCK」。様々なイベントに出店し、交流を楽しんでいる

旅をしながらの暮らしや、自由なキャンプを楽しみたい人もいるだろう。

軽量最新トレイラー「Airstream travel trailer Basecamp」 Via:dwell.com

ちょっとした隙間の土地を使うことにも向いているし、「車両」の条件を満たせば固定資産税がかからないという現実的なメリットもある。

鉄道の高架下の空間を動産・タイニーハウスで活用する複合施設「Tinys Yokohama Hinodecho」

将来は自動運転の普及により、運転席が不要になった自動車の空間そのものが小屋に進化し、移動時間を有効活用できるようになることだってあり得る。

IKEAが描く7つの「車上のスペース」。自動運転により、こんな車両も牽引されず自走することができるようになるはずだ
Via:foam.studio

土地に縛られない遊牧的な生き方

小屋が移動するということは、「住居」や「店舗」などといった機能が、人とともに移動することだ。

土地に根ざして農耕を営む人が大半だった時代から、仕事の内容が多様化し、通信とネットワークの発展で所在地の重みも小さくなりつつある現代。

加速する“遊牧的”な生き方への志向の高まりが、「移動する小屋」へのニーズに現れているのかもしれない。
(了)

【都市科学メモ】

小屋の魅力

移動力を備えることができる

生きる特性

車両との接続、小ささ、解体と組み立ての容易さ、規格

結果(得られるもの)

遊牧的な生き方(複数拠点での交流、旅する暮らし、自由なキャンプ)、遊休地の一時活用、建造物でないことによるメリット、有効活用できる移動時間

手段、方法、プロセスなど

最適な移動形態を選ぶ
自走車両の内部を活用する、荷台部分を活用する、牽引する、輸送してもらう、解体して運ぶ、などの移動形態がある。それぞれ移動しやすさや、実現可能な大きさなどが変わってくるので、メリットとデメリットを比較する必要がありそうだ。
必要な法規を確かめる
「車両」であることのメリットを享受したい場合は、「建造物」に該当しないための条件を確認する。「地面に固定していないこと(ジャッキアップ等により設置)」「電気、水道、ガス等の脱着が容易にできること」などがあり、日本RV輸入協会のサイトに詳しい。牽引については、750kg以下のトレーラーであれば牽引免許は必要ないが、安全には万全を期したい。走行中のトレーラー部分の乗車は、重量2,000kg以上で車検証に定員が記載された場合のみ可能となるので、現実的ではない。牽引するトレーラーの大きさによっては、「特殊車両通行許可」も必要となる。
このあたりは、【特集コラム】第4回:どうする?どうやる?日本でモバイルハウスを持つために(YADOKARI)にもまとめられている。
【Theory and Feeling(研究後記)】
「移動」自体はなかなか目的になりにくくて、どちらかと言えば「手段」の意味合いが強いからでしょうか。

今回は書いていて、頭の整理に近かったです。「移動の種類って、こう分けられるんだ」「関係する法規は何だろう」みたいな。

これを踏まえて次回以降であらためて、“遊牧的”な事例も含めて、「なぜ小屋なのか」に踏み込んでいきたいと思います。(たに)

 

「都市を科学する」の「小屋編」は、横浜市の建築設計事務所「オンデザイン」内で都市を科学する「アーバン・サイエンス・ラボ」と、「住」の視点から新たな豊かさを考え、実践し、発信するメディア「YADOKARI」の共同企画です。下記の4人で調査、研究、連載いたします。

谷 明洋(Akihiro Tani)
アーバン・サイエンス・ラボ主任研究員/科学コミュニケーター/星空と宇宙の案内人
1980年静岡市生まれ。天文少年→農学部→新聞記者→科学コミュニケーター(日本科学未来館)を経て、2018年からオンデザイン内の「アーバン・サイエンス・ラボ」主任研究員。「科学」して「伝える」活動を、「都市」をテーマに実践中。新たな「問い」や「視点」との出合いが楽しみ。個人活動で「星空と宇宙の案内人」などもやっています。

小泉 瑛一(Yoichi Koizumi)
建築家/ワークショップデザイナー/アーバン・サイエンス・ラボ研究員
1985年群馬県生まれ愛知県育ち、2010年横浜国立大学工学部卒業。2011年からオンデザイン。2011年ISHINOMAKI 2.0、2015年-2016年首都大学東京特任助教。参加型まちづくりやタクティカルアーバニズム、自転車交通を始めとしたモビリティといったキーワードを軸に、都市の未来を科学していきたいと考えています。

さわだいっせい / ウエスギセイタ
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また、世界中の小さな家やミニマルライフ事例を紹介する「YADOKARI(旧:未来住まい方会議)」、小さな暮らしを知る・体験する・実践するための「TINYHOUSE ORCHESTRA」を運営。250万円の移動式スモールハウス「INSPIRATION」や小屋型スモールハウス「THE SKELETON HUT」を発表。全国の遊休不動産・空き家のリユース情報を扱う「休日不動産」などを企画・運営。黒川紀章設計「中銀カプセルタワー」などの名建築の保全・再生や、可動産を活用した「TInys Yokohama Hinodecho」、「BETTARA STAND 日本橋(閉店)」などの施設を企画・運営。著書に「ニッポンの新しい小屋暮らし」「アイム・ミニマリスト」「未来住まい方会議」「月極本」などがある。

via: yankodesign.com

「死ぬまでに一度は行きたい場所は?」と聞かれたら、何と答えるだろう。ヨーロッパやアフリカのような少し離れた地域?南極のような少しハードルの高いエリア?
アイスランドのフィヨルドの海沿いに立つガラス張りのキャビンで、オーロラ体験はいかがだろうか。屋外には大きなホットタブも用意されている至福の空間がある。

(さらに…)

シェアハウス住まいが一般的になったのは、ここ10数年ぐらいのこと。いまの若者にとっては、住まい方のごく普通の選択肢のひとつとなっています。

一方で、若者ではない成熟世代のシェアハウスも、このところ見かけるようになりました。若いころにシェアハウスを体験した人々が、集まって暮らすメリットを維持したまま、新しいライフステージに合わせて、シェアする暮らしをアップデートしているのです。

無印良品の家とYADOKARIは、新しいシェアハウスやコミュニティをベースにした空間づくりを実践し、研究するなかで、大人のシェアハウスにも注目しています(小さく住まう、みんなで生きる)。

そこで今回は、日本を代表するシェアハウスといっても過言ではない、多世代共生や、丁寧な暮らしを標榜するシェアハウス「ウェル洋光台」の管理人・オーナー代行 戸谷 浩隆さんに、多世代や家族が集まって暮らす豊かさについて、また現在の日本のシェアハウスの現状についてお話をうかがいます。

▼ 記事本編はこちら
https://house.muji.com/life/clmn/small-life/small_181225/

TINY HOUSE JOURNALタイニーハウスの“現在”を知る

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