ReBuilding Center JAPANの理念は”ReBuild New Culture”。
それは「世の中に見捨てられたものに価値を見出し、もう一度世の中に送りだし、次の世代につないでいく」ということ。
いま、日本中で解体されている古い建物から、古物や古材、建具などをレスキュー・販売しています。
お店にずらりと並んだ古物や古材を眺めていると、そこに置かれるまでに出会ってきた人たちや時間など、その物語が伝わってくるから不思議です。タイニーハウスを作る材料をお探しなら、そんな物語を持ったモノたちも仲間に入れてみてはいかがでしょうか。

「リビセン」の愛称で親しまれている『ReBuilding Center JAPAN(以下、リビセン)』が2016年9月末、長野県諏訪市にオープンした。
店内に一歩足を踏み入れると、目の前に広がる光景に懐かしさと新しさを同時に感じる。
不思議な感覚だ。でもとても心地よい。
ゆるやかに紡がれる人々の素朴な会話、緻密に計算されたデザイン。
リビセンは、解体現場から救済(レスキュー)してきた古材や古道具を販売する施設だ。住宅や店舗の改装はもちろん、ちょっとした部屋の模様替えやDIYで使える材料が並ぶ。
施工に携わるプロから、日曜大工が好きなお父さん、古道具が好きな若者まで県内外から人が集まる。
併設されているカフェには近所の方が気軽に立ち寄っている様子が見て取れた。
地域の人からも愛されているのだとすぐに分かった。

解体現場からレスキューしてきた椅子。どれも個性があって見ているだけで楽しい。
リビセンを手掛けた東野唯史さんは、世界一住みたい街と言われているアメリカ・ポートランドの『ReBuilding Center 』に惹きつけられた。店内に並ぶ商品は、解体現場から引き取った古材だ。ペンキの付いた蝶番から、どう使うのか想像がつかないような細かい部材までも並んでいる様子から東野さんが感じたのは「どこまでも再利用しよう」とする気概。ポートランドに息づく「ものを大切に使い続ける文化」を『ReBuilding Center』から感じた瞬間だ。
クラウドファンディングで資金の一部を募り、目標金額の300万円を遥かに上回る540万円を集め、ポートランドの『ReBuilding Center(リビルディングセンター)』から正式にロゴと名称を引き継いだ『ReBuilding Center JAPAN』を設立した。
延べ400名以上の人々と協力して完成した施設が目指すのは「ReBuild New Culture(リビルドニューカルチャー)」、すなわち「世の中に見捨てられたものに価値を見出し、もう一度世の中に送りだし、次の世代につないでいく」こと。
東野さんはなぜ『ReBuilding Center』に惹かれたのか。「ReBuild New Culture」にかける思いとは?
「古材」を通じて新たな文化の創造に邁進するリビセンの活動から「文化創造のヒント」が見えてくるはずだ。
インタビュー①:古材を通してつくり出したい「ReBuild New Culture」という理念
インタビュー②:古材屋のハードルを下げるカフェの役割
インタビュー③:守るべき場所に拠点を置くこと
インタビュー④:忘れられていた「ものを大切にする暮らし」
短期間で全国を飛び回り、数多くの物件を手掛けたmedicalaの活動

2012年、東野さんが初めててがけた「Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE」
ーー東野さんは、リビセン設立前、奥さんの華南子さんと一緒に「medicala(メヂカラ)」というユニットで活動されていましたよね。
東野:はい。メヂカラの活動を始めたのは2014年。華南子と結婚する前、まだメヂカラと名乗る前の2012年に東京・蔵前にあるゲストハウス「Nui. HOSTEL&BAR LOUNGE」を手掛けたのがはじまりですね。
ーーゲストハウスの走りでもあるNui. HOSTEL & BAR LOUNGE(以下、Nui)。Nuiを皮切りに、いろんなプロジェクトを手がけていったメヂカラは、周りの人巻き込んでみんなで施工していくというプロセスを大切にされている印象を受けます。
東野:Nuiを例に挙げると、北海道、宮城、栃木、三重、そして東京と全国から大工さんが集まって、渡部屋という大工チームが指揮を取り施工しました。ツリーハウスをつくる方や、ログハウスがつくれる方などそれぞれの技術やノウハウを持ち寄りました。全国から来た大工さんはNuiの6階に住み込みで作業をしたのですが、施主、職人、デザイナー、手伝いに来てくれた人みんなが昼間は工事をし、夜は毎晩のようにお酒を飲む楽しい空間でしたね。
古材から感じるストーリー

ーーメヂカラの活動を経てリビセンを設立されたのは2016年9月末。
東野:メヂカラでは、全国各地の現場に呼ばれて泊まり込みで改修。改修が終わると次の地へ行くという暮らしを繰り返していました。
ーー古材を使って施工していたのはメヂカラの時からですか?
東野:はい。施工にあたって古材を解体現場でもらっていたことにはいくつか理由があります。コストダウンを図るためだったり、身近に訪れることのできる古材屋がそこまで多くなかったり。ネットで古材を手に入れることもできますが、もっと気軽に買える古材屋もあったらいいなと感じていました。
ーーなるほど。
東野:また、いただいた古材を使うことで、ストーリーや思いを空間の中に納めることができます。
例えばrucoの施工では、余儀なく廃業することになった酒屋から、せめてもの思いでと店舗に使用していた材をあずかって、再利用しました。さらに、オーナーの友人が営む製材所から使わない木材をもらってきて、友人周りの関係性も巻き込んでいきました。
マスヤゲストハウスの時は、建物に詳しかった大家さんに改装後も胸をはって会えるように、中にあった部材をなるべく再利用しました。
ーー施主さんの思いや、建物が完成に至るまでのストーリーを感じ取れますね。

(c)MAKO.pen&paper
東野さんがデザインした隅田川沿いの川床。対岸に軒を連ねる施設を、船で行き来ができる仕組みだ。
東野:リビセンを立ち上げる前には、専門の人向けでなく一般の人も気軽に足を運びやすいお店があればいいなという構想を考えたことがありました。店内にシェア工房の要素があったり、改装をみんなで行っているカフェがあったりするお店です。
ーーリビセンのモデルとなる構想ですね。
東野:はい。時代の流れ的にできるのではないかと思っていたんです。でも2、3年経っても全然誰もつくらなくて(笑)。
ーーなかなか時代が追いついてこなかった(笑)。その頃はメヂカラの活動でデザインをやっていらっしゃいましたよね。
東野:実はメヂカラはデザインを提案するというよりも、店舗の立ち上げに関わることでできることならなんでも行うというスタンスだったので、全国の現場に住み込み、デザインから施工までお手伝いしました。施工は年に3,4件ペースで施主と一緒に。事業計画や収支計画を見せていただきアドバイスをさせていただいたりもしましたね。

メヂカラの現場では施工に携わったメンバーで「現場めし!」を食べるのが定番だ。
ーー結構踏み込んだところまで関わるんですね。
東野:「銀行から融資をもらえないんだったら、クラウドファンディングで200万円調達しよう!」と資金調達に関してアドバイスしたり、クラウドファンディン立ち上げにあたって文章や構成、リターン、運営方法を一緒に考えたり、FacebookなどSNSを使用した情報発信のサポートも行いました。そうやってデザイン面以外の部分、事業の立ち上げに関しての知識を得たり、古材を使ったノウハウやデザインのバリエーションも自分のなかでどんどん増えてきて。リビセンを立ち上げたいと思ったときには、ふと足元を見てみるとベースが積み上がっているような感覚でした。
東野さんは、華南子さんと共にデザインユニット「medicala(メヂカラ)」として全国各地のハブとなるスポットを多く手がけてきた。
メヂカラが手がける空間は、施工に携わる方の思いの重なり合い、ストーリーを持つ古材を使うことによってより魅力的に感じまれ、人々に愛されているのだろう。
次回は、モデルとなったアメリカオレゴン州・ポートランドの「ReBuilding Center」が持たないカフェの役割について、そして無事設立を迎えたリビセンを支えるスタッフについてうかがう。
インタビュー②:古材屋のハードルを下げるカフェの役割
次世代に残したいものをレスキューする
- 私たちはリビセンからクルマで1時間程度の範囲内で解体される建物、不要になって処分しようと考えている古い物のレスキューを行っています。私たちが次の世代に残したいと思えるものをレスキューしていきたいと思っています。
現在でもつくられているということ、今後もつくられ続けるであろうこと、環境に対して負荷があること、などの理由から、ベニヤ(合板)、プラスチック製品(その他石油系)などは引き受けておりません。無垢の木材(またはそれを使用した建具・家具など)、古い鉄のものなどはぜひレスキューしたいなと思っています。捨てる前に、私たちのことを思い出して頂けたら嬉しいです。
古材が生まれ変わる瞬間を見届けるカフェ
- リビセンは、古材売り場、それを加工する工房、デザイン事務所、それにカフェを併設しています。カフェにある大きな窓の外は工房になっているので、珈琲を飲みながら、古材が運ばれてくる様子や、古材が磨かれてまたその美しい表情を見せてくれる瞬間、家具になっていく景色などが見れます。
材料選びのひとやすみに、ランチをしに、なんかつくりたいな、って気持ちになった時に、お茶をしに、ぜひカフェへどうぞ。
| 運営 |
ReBuilding Center Japan |
| 住所 |
〒392-0024 長野県諏訪市小和田3-8 |
| 電話 |
0266-78-8967 |
| メール |
info@rebuildingcenter.jp |
| 営業時間 |
cafe:9:00~18:00 古材:11:00~18:00 ※ 定休日:水曜日・木曜日 |
| HP |
http://rebuildingcenter.jp/ |

バーベキューに山登りにキャンプ。週末は郊外でゆったり過ごす時間を楽しみ、都会の生活圏に帰っていく人が周りに増えてきている。これまであまり自然の中で過ごすことに気が向いていなかったが、「モノやお金がなくても、豊かに暮らせる。―もたない贅沢がいちばん」を読んでから少し気が変わってきた。
著者のソロー氏は1817年にアメリカで生まれ、ハーバード大学を卒業した後、教師や私塾経営を仕事としたが自由に執筆する時間を求めていた。
森のなかにひとりで丸太小屋を作り、自給自足に近い暮らしを始めたのは1845年。必要最低限のモノだけを持った森での暮らしは約2年続いた。この生活をもとに書かれたのが「ウォールデン 森の生活」だ。
「モノやお金がなくても、豊かに暮らせる。―もたない贅沢がいちばん」は「ウォールデン 森の生活」を元に、「モノ」「金」「暮らし」「仕事」「自然」「生き方」の6章で構成されている。モノとお金がなくとも豊かに暮らしていたソロー氏の言葉はすごく簡潔だ。


そのため、すぐに読み終えることができるが、読み進めるとわかるだろう。筆者の体験に基づいた言葉を読み解くには時間がかかる、と。
この本を読みながら思い出したのは沖縄に住む友人のこんな話。
沖縄の山と海に囲まれた町で暮らす彼は、移住1年ですっかり自然と共に生活する術を覚えたそうだ。年に何度か、都市部に滞在して生活のリズムが変化した頃に沖縄へ戻ると、それまで気にならなかった暇を持て余していることに気付くらしい。
都会と田舎、時間の流れるスピードは違うのだろうなと、ソロー氏と友人の話から想像できる。しかし、想像と実感の間には大きな差があることに注意しないといけない。
絶え間なく発信され続ける情報は生活を楽しくしてくれている半面、ふと息をつく余裕がないと感じてしまう時もある。たまにはソロー氏がしたように、森に入り、自分の中から発信される簡潔な言葉を待ってみるのもいいかもしれない。
ヘンリー・D.ソロー 興陽館 2015-12-24

「無人島に1つだけモノを持って行けるとしたらなにを持っていく?」
この質問に、誰もが一度は悩んだことがあるだろう。「ない世界」の著者 江口宏志氏は、雑誌の企画で二泊三日の無人島自給自足生活に臨む前に、無人島になにを持って行かないかが、無人島で何をするかに直結すると気付いた。例えば、テントを持参すれば便利で快適に夜を過ごせるが、自分で木を切って雨風をしのぐ場所をつくる楽しみはなくなってしまう。何かをなくせばなにかを得ることができるという考えが「筆者がない世界」を執筆するきっかけとなった。
この本は、筆者自身が12個の「〇〇がない生活」を実験的に送る様子が書かれている。「ケータイのない世界」からはじまった自分にとって当たり前になっている、モノ・行動・考えを取り外した1ヶ月間の生活。その後、怒りを怒り以外の感情や行動で解消させる「怒らない世界」、行ったことのない店にだけ立ち寄る「行きつけのない世界」、「飽きない世界」では当時本屋さんを営んでいた江口氏が、読まれるだけの存在である本の単調さに飽きていたことから、みんなで外で大声で読書を楽しむイベント「読書のフェス」が誕生した。

12ヶ月間、月替りの「ない世界」を読み進めると、自分にとって当たり前になっているモノ・行動・考えを意図的をなくした生活では、自然とないものについて深く深く考えていることに気が付く。未来住まい方会議では、場所・時間・お金の縛りがない世界から、新たな豊かさを定義し発信している。つまり、場所・時間・お金について深く深く考えているのだ。未来住まい方会議の読者もきっと同じように考えている方が多いだろう。

さまざまなものの集合体である自分を変えるためには、「新しくなにかを始める」か「これまで続けていたなにかをやめる」、もしくは「これまでの習慣を継続する」ことが有効だ。2016年がはじまり、SNS上ではこれらについての宣言をよく見かける。
携帯電話を持たなくなった知人、会社で働くことを辞めた友人、そういえば、未来住まい方会議の副編集長は喫煙を辞めたそうだ。彼らは自身が設けた「ない世界」でなにを考えどう感じて生きているのか、今度聞いてみようと思う。

読者のみなさんの中に「ナリワイ」という言葉を聞いたことがある人はいるだろうか?
国語辞典を引くと、生業(ナリワイ):「生活を立てるための仕事・家業・職業。」とある。
「ナリワイをつくる:人生を盗まれない働き方」では、筆者の伊藤洋志氏が2007年から発掘と開発を重ねてきた「ナリワイ」について深く知ることができる。
伊藤氏は本書の冒頭で、こんな風にナリワイについて定義している。
「個人レベルではじめられて、自分の時間と健康をマネーと交換するのではなく、やればやるほど頭と体が鍛えられ、技が身につく仕事」
皆さんは、仕事にどんなイメージを持っているだろうか?「生活を犠牲にしてするもの」となっている人も少なくないだろう。人から何かの用事に誘われて「ごめん、その日は仕事があってさ……」という断り方をした経験もあるはずだ。
この感覚や経験に違和感を感じたことがある人は、本書の中からきっとおもしろみを見つけることができるだろう。

本書では各章の間に「ナリワイ練習問題」「回答例」「解説」「応用」がある。たとえば……。
問題:ブロック塀が邪魔で、家がかっこよく見えません。お金を使わずに楽しく破壊する方法を述べなさい。など。このような問題を自分の頭で考えて応用していくと、”ナリワイ思考”のトレーニングができる。

身近で困っていることや欠けていることからナリワイの種を見つけ出し、小規模な仕事として育てる考え方は、以前書評で紹介した「月3万円ビジネス」からも学ぶことができる。
伊藤氏が提案する、「働くことと生活の充実が一致し、心身が健康になる仕事」は理想ではなく、ちょっとしたきっかけで作り出せるものなのかもしれない。

「ダウンシフト」という言葉をご存知だろうか?これは、今回ご紹介する「減速して自由に生きる ダウンシフターズ」の中でキーワードとなっている言葉だ。
ダウンシフトとは、「経済成長至上主義から降りることで、人間が本来有している幸せと安心の価値に戻る方法。足るを知る営みになり、分かち合う充足を得る、懐かしいようで斬新な具体的手段」と説明されている。
ダウンシフトの実践者「ダウンシフター」である著者の髙坂氏が歩んできた道はどのようなものだったのだろうか?そして、ダウンシフターズになるためにはどうしたらいいのだろうか?
「減速して自由に生きる ダウンシフターズ」が出版された2014年初頭に髙坂氏は、どのようなことに取り組んでいたのだろうか。
髙坂氏が一人で切り盛りするオーガニックバーは週休3日で営業している。その他の時間、高坂氏は千葉県で都市生活対象者を対象に、田んぼや畑を斡旋し移住者を受け入れる活動などに関わっている。
都会での生活・他人の評価・お金、一般的に大切とされている価値観から降りる決断をして、ダウンシフトを実践していった髙坂氏。髙坂氏のサラリーマン経験や、旅とフリーター生活をしてきた半生を知ることで、高坂氏が経済的にも精神的にも自由になっていく流れが明確にイメージできるようになるだろう。

本書には、ダウンシフターズになるための17の方法と考え方が紹介されている。ここではそのいくつかを挙げる。
・ライフスタイル基準金額
自分が望む生活に必要な金額を計算し、その金額を稼ぐ方法を考える。大切なのは、この基準金額を越えないこと。
・ミニマム主義
大量生産大量消費を前提とした「スケールメリット」を追わずに、経済成熟・経済縮小に沿った「スモールメリット」を元にした考え方。お金とは向き合うものの、終わりのない欲望には付き合わないことを前提としている。
・マルチプルインカム
いくつもの小さな生業を持ち生計を立てること。以前紹介した「月3万円ビジネス」に詳しく書かれている。

年の瀬に1年を振り返り、「来年はどう過ごしたいのか」を考えるのに最適な時期がやってきた。必要なのは、自分と向き合うと共に、他の人の生き方を垣間見ること。「こんな生き方もいいかも」という妄想の手助けに、本書はぴったりだろう。

何か自分が気になる分野について知るために、入門書を読むことは最適な方法のひとつだ。
今回紹介する本は「野宿入門―ちょっと自由になる生き方」。著者のかとうちあき氏は旅コミ誌「野宿野郎」の編集長を務める野宿実践者だ。中学生の時に野宿に憧れ、高校生で野宿デビューを果たし、現在も趣味として野宿を続けている。
この本は、野宿にトライしたい人だけでなく、自分のことをもっと知りたい人にも持ってこいの内容だ。
本書では、野宿を「消極的野宿」と「積極的野宿」と分類している。
・消極的野宿
野宿はしたくないのに、仕方がなく行う野宿。
例)旅先で宿が見つからない野宿。酔っ払って終電を逃した野宿。
・積極的野宿
野宿がしたくて、自らすすんで行う野宿。
例)旅先での野宿。狭い部屋を出て広い公園で行う野宿。

「野宿をすることによって、わたしは大人になっていった」と語るかとう氏は、野宿を楽しみながら数々の体験をしてきた。野宿経験から編み出された数々の野宿ノウハウは、「気候への対策」「野宿グッズの準備」「場所の選び方」など多岐にわたる。これらのノウハウが生まれた実体験は笑いなしには読めないだろう。

読み進めていくと、屋外で寝ることだけが野宿なのではなく、野宿を行うまでの過程で起こるすべてのことが野宿であると気がつくだろう。かとう氏の野宿を追体験していくことで、身の回りのモノや日常生活で当たり前のように行っていることを疑うことができる。
野宿を通してどんな人や場所、そして自分の新たな一面に出会うことができるのか、この本との出会うことで、あなたが野宿へ入門する日は近いかもしれない。

「私の家の電気代は一ヶ月500円です。」冒頭でこのように紹介される筆者アズマカナコ氏の生活。東京郊外の築60年にもなる日本家屋に家族4人で暮らしている。
彼女はなぜ、車・エアコン・冷蔵庫・携帯電話など、現代社会で必要不可欠な「便利な道具」のない生活を送っているのだろうか? (さらに…)

DIYという言葉は徐々に日常的に使える言葉となってきている。日本でDIYというと、日曜大工と結び付けられやすい。しかし、DIYは「Do It Yourself」の略であり、「自分でやること」を意味する。
今回紹介する「Made by Hand ―ポンコツDIYで自分を取り戻す」は、アメリカのDIYムーブメントの火付け役である雑誌「Make」の編集長兼ブロガーであるFrauenfelder氏の著書だ。
タイトルと著者から想像できる本の中身は、「Frauenfelder氏がこれまでに関わった様々なDIYに関する解説や、実践的なDIYマニュアルが写真付きで紹介されている」というものではないだろうか。しかし、「Made by Hand ―ポンコツDIYで自分を取り戻す」の主題は「人がモノを作ること」について考えることだ。そのためか、写真は冒頭の7カットしか使用されていない。

Frauenfelder氏の人生初DIYは20代の頃だった。家の修繕にトライしたが見事に大失敗。この失敗がFrauenfelder氏の創造意欲を消し去ってしまったが、一方でDIY愛好家への憧れを生み、「Make」編集長としての仕事に役立っていた。
Frauenfelder氏はDIYについて発信しながら、自分の手を動かさず、DIYからは遠ざかっていた。そんな中、あるDIY愛好家から「何かをダメにする勇気を持つことで、物が直せるようになる」「失敗は、自分が行動的で好奇心がある証拠だ。」と学び、考え方が大きく変化した。その後、DIYが生活の一部となっていくFrauenfelder一家(夫婦と子供2人)の日々が本書を読み進めると追体験できる。

なにを作るのか、直すのかはあなた次第。DIYは作るだけにあらず、未知のチャレンジにワクワクし失敗から学ぶことを楽しむことが醍醐味だとこの本は教えてくれる。
仕事もプライベートも安定し、失敗から遠ざかってきている大人にこそ、DIYから学ぶことは多いのではないだろうか。
Mark Frauenfelder オライリージャパン 2011-06-25
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私達はたくさんのものに囲まれて、その恩恵を受けながら生活をしている。
未来住まい方会議で紹介しているスモールハウスや、移動する暮らし方を実践していく場合、必要以上のものは足かせになってしまう。先日紹介したミニマリストの実践法についての本「ぼくたちに、もうモノは必要ない。」では、持ちモノを必要最小限にするためのコツや実践方法を知ることができる。
今回紹介する「&BOOKS ファッショニスタの逸品」と「&BOOKS ファッショニスタの逸品 vol.2」は、それぞれ10名の男性が、自身のライフスタイルと共に、愛用品を紹介するフォトエッセイだ。
本書からは、ファッションの話題だけに収まらず、それぞれのこだわりや哲学を垣間見ることができる。
本書に登場する”ファッショニスタ”はこのような人達だ。
料理研究家・コウケンテツ氏
クリエイティブディレクター・水野 学氏
建築家・谷尻誠氏
株式会社スマイルズ代表・遠山正道氏
音楽プログラマー・真鍋大度氏
読者の皆さんにとって、一度は耳にしたことのある人達ではないだろうか。紹介される愛用品は、服をはじめ日用品・アート作品・電化製品とさまざまだ。各業界の第一線で活躍する男達が語る愛用品や、ライフスタイルについての言葉を読めば、全ての読者になにかしらの共感や発見があるはずだ。


「気に入ったら同じような服ばかりを買う習性がありますね。いつも買った後に気付くんです。選ぶときのポイントは、まずはポケットが大きいこと。」
「理由の語れないモノだけは軽々しく身につけていたくないと思うんです。」
「とにかくお金があれば服に費やしていました。単純に、服しか格好つける手段を知らなかったから。」
「できるだけ、お洒落をしているようには見られたくない。男の色気とかにも抗いたいです。」
「最近は衣食住がセットで密接につながっているんだなあ、とつくづく感じます。」
※「&BOOKS ファッショニスタの逸品」「&BOOKS ファッショニスタの逸品 vol.2」より引用
これらの引用は上記した5名の言葉だ。どの組み合わせになるのかと考えてみるとワクワクしないだろうか?
所有する物は、持ち主の内面を色濃く表すもの。各業界の第一線で活躍する男達の姿や、選んだもの、そして愛用品にどのような哲学やドラマがあるのかをヒントに、自分の相棒になる物を探してみよう。

今回紹介する「月3万円ビジネス」は一見副業を推奨するような内容を想像する書名だが、本書では月3万円のビジネスをいくつも営んで暮らすための事例が紹介されている。
工学博士でもある著者の藤村靖之氏は、エネルギーに依存しすぎないライフスタイルを広めるために非電化製品の発明・開発を行い、科学技術庁長官賞、発明功労賞などを受賞している。この藤村氏の思い描く、真の豊かさや仕事づくりの秘訣が本書から知ることができる。
藤村氏が本書で扱っているのは月に3万円を目安に稼ぐビジネスだ。藤村氏はこれを「分かち合いのビジネス」と呼ぶ。
「月3万円ビジネス」は、支出の少ない生活を楽しみながら、普通は見向きもしない、競争から外れたビジネスを複数営むことで生活する暮らしだ。競争を生まないビジネスなので、仲間と協力して進めることが可能で、共にノウハウを教え合える。

月3万円ビジネスは競争ビジネスと対極にある。
主な特徴は以下のような点だ。
・愉しさが大事
・無借金でつくる
・価値よりウント安い価格で売る
・経済は小さくなる
・NPOやエコビレッジと相性がいい
・社会活動とつなげる
本書で紹介されている月3万円ビジネスの実例はこのようなものだ。
・農家で余った新鮮な野菜を安く手に入れ、配達する「余剰野菜配達ビジネス」
・ステキなデザインで、安心して着ることができるマタニティウェアをシェアして作る「シェアーするマタニティウェア」
・発酵食品の手作り教室を開催する「酵母ビジネス」
・コーヒーの生豆を仕入れて焙煎し、美味しくて健康に良い豆を安く提供する「コーヒー生豆ビジネス」
このように、気軽に始められそうものから、特別な条件が必要なビジネスまで様々で、 これらの例から、自分にあったビジネスのアイデアが浮かんできそうだ。他にも本書にはいくつものビジネスが紹介されており、きっとあなたの生活の中に取り入れられるビジネスもあるはず。

月3万円ビジネスで生活するには、支出が少ない生活を楽しめなければならない。
20の実例と41のセオリーからなる著者のアイデアからは、これからの世界をどのように生きていくのかヒントが満載。
スモールハウスに住みながら、仲間と共に月3万円のビジネスを複業する生活。そんな未来を想像できる1冊だ。
「大人が作る秘密基地」の著者である影山裕樹氏は、2012年に発刊された「秘密基地の作り方」の編集を担当した。
本書では、影山氏が大人だからこそ作れる秘密基地を紹介している。
秘密基地と聞いて思い出すのは、子供の頃に日が暮れるまで遊んだ公園や山の中だろう。子供時代の思い出の中で、秘密基地はかけがえのない大切な場所だ。サードプレイスと言ってもいいかもしれない。家でも学校でもない場所で過ごす時間は、誰にとっても必要なものだ。
最近は、「神山プロジェクト」のような地方生活の紹介をよく見かける。地方生活と一緒になって連想されるのが、つながりやコミュニティ活動。私たちは自分の居場所の確保に、敏感になってきているのではないだろうか。

「大人が作る秘密基地」は、大人向けの秘密基地を紹介している1冊だ。
ここで紹介されている秘密基地には、大人だからこそ発生する、コミュニティ活動やビジネスなどの問題を解決するための要素を含んでいる。
秘密基地を作る場所・予算・目的によって紹介されるのは「セルフビルド」「廃墟・屋外」「ツリーハウス」「リフォーム」「たまり場」「公共空間」「ビジネス」の7種類。スペースや予算を考慮した実践方法が、読者の秘密基地作りをサポートしてくれる。

自分が満足する空間をどのように作るのか。そのヒントが本書には書かれている。
影山 裕樹 DU BOOKS 2014-04-23

天気がいい日には、私の部屋から富士山を望むことができます
5月にペンキ塗りや床貼りなどを終え、6月から本格的に二拠点生活がスタートしました! いまは月に1〜2回程度、仕事の合間に気分転換がてら二宮団地に足を運んでいます。
(さらに…)