小高い丘の上に立つ人生最後の安息所「Safe Haven」
あなたは人生の終盤に差し掛かった時に、一体どんな暮らしを続けたいだろうか。「最後まで人の世話にならずに自立して自由に生きたい。」多くの人がそう願うのではないか。
今回ご紹介するのは、87歳の画家の母を持つ娘が、母親のために建てたプレハブのスモールハウスだ。
家が建つのはカリフォルニアの北部に位置するソノマ。
サイズはスモールハウスと呼ぶには少しサイズが大きい1600平方フィート(約148平米強)、2つのベッドルームと2つのバスルームを完備した家だ。
87歳の女性が一人で住むのに何ら不自由を感じさせないように、将来、車椅子での移動も楽なようにできるだけ段差を廃したバリアフリーの空間となった。
年老いた親のサポートはいつから始めるべきか、というのは見極めが難しい。それは機転と勇気と同時に、飛躍と信念の両方が必要な試みだ。
この平和で緑豊かな土地を選んだ理由は、渓谷の素晴らしい眺めを望むソノマの丘の上にもともと娘夫婦が住んでいたこともあった。
「母はもともと住んでいた家に愛着があったし、それに何よりも私たち夫婦に迷惑をかけるのでは、と気にしていたの。」と娘は語る。
「だからすでに私は母が近くに住むという想定はできていたけれど、アイデアが熟すのを待つことにしたの。」
徐々に計画は形を帯び、娘夫婦の住む丘から少し下ったところに家を建てることになった。画家である母親は健康ではあったものの、やはり弱ってきている部分もあるため、ヘルパーの助けが必要だった。
彼女がこの家の建築を依頼したのが、ジャレッド・レヴィとゴードンストットが経営するConnect:Homesというカリフォルニアを拠点に活動する建築会社だ。環境に配慮した設計をする彼らが以前勤めていたのが、設計会社Marmol Radziner Prefabである。
そこで目の当たりにした様々なプレハブ住宅の問題点から、彼らはいかに効率的にプレハブ住宅を組み立て、運送し、設置するかについて様々な改善をしてきた。
今回の家の場合は148平米もある家だったため、最適と思われる5つのモデルをつなぎ合わせて作ったという。「森の中にある山小屋という感じじゃなくって、家と呼ぶにふさわしいものにしたかったんだ。」とレヴィは説明する。
娘はこの家をガラス張りの家にはしたくなかったため、自然光と空気の流れがカギとなった。レヴィとConnect:Homesのフェローとゴードン・スコットらはLEDシステムを導入し、窓やドアから埋め込んだ。「これによってたったの150ワットで家全体を灯すことが可能になった。」とスコットは語る。
娘は建築家と共に家の設計について検討しながら、自分の母親の趣味やニーズを取り入れていった。入り口の屋根つきデッキを取り払い、その代わり、リビングルームのスペースを広くとった。また、むき出しのメタルの天井ではなく、石壁を選択した。また、最も重要であるバリアフリーに配慮して、すべての段差を取り外し、収納、食洗機、ウォークインタブや効率の良いランドリールームなどを考えた。また、同居するヘルパーのためのベッドルームも設けることにした。
「様々な工夫により、土地の値段を除いた建物価格だけで1平方フィート当たりの費用が$165ドルと通常の1/3の費用に抑えることができた」とレヴィは語る。
このプロジェクトが始まって1年後に、母親が飼っている犬を連れてこの家に入居した。すでに前の家から持ってきた家具やオブジェとインテリアデザイナーが新たに追加したMeredith Rebolledo of Ma(i)sonry Napa Valleyのオブジェが母親を迎えた。娘は語る「それは本当に居心地の良い家だったわ。」
ほとんど毎日、母親は日の出の前に起き、デッキまで行って朝日が昇るのを眺める。「この家の間取りは本当に何でも楽にできるのよ。だってとってもオープンなんですもの。」と母親は語る。「私が必要だと思うものが目の前にすでに用意されているのよ。それにどこもとても明るくて、私のしわも良く見えちゃうくらいなのよ。おかげで絵に専念できるのよ。」
娘の愛情を感じながら、老後にこんな豊かな気分になれる素敵な家に住めたら最高ではないだろうか。
Via:
http://www.dwell.com/house-tours/article/
http://www.connect-homes.com/about/company
https://www.facebook.com/connecthomes